【令和に残す平成の名車たち:1】スポーツカー編のスペック・価格

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【令和に残す平成の名車たち:1】スポーツカー編のスペック・価格

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平成が始まった1989年は、国産自動車メーカーがこぞってニューモデルを発表しました。「ホンダ」は価格1,000万円クラスの高級スポーツカーである「ホンダ・NSX」を発表(翌年発売)し、「日産」はスカイラインシリーズの「R32型:スカイライン GT-R」を16年ぶりに復活させました。「トヨタ」は新型の「SW20型:MR2」を発表し、「マツダ」は現在も続いている名車、「ロードスター」を発売開始しました。1990年代に突入した後も高性能スポーツの新型モデルの「トヨタ・スープラ(A80型)」、「三菱」からは「ランサーエボリューション」や「GTO」、「スバル」は「インプレッサ WRX STi」など、スポーツカーが続々と登場したのでした。では、どのような名車としてこれからの「令和」に残されていくのか。各車のスペックや現在の中古価格を見ておきたいと思います。


「ホンダ編:NSX / シビック・タイプR / インテグラ・タイプR」

初代はもともと第2期F1参戦を機に「世界に通用するHondaの顔を持ちたい」との願いから開発された車であり、バブル景気絶頂期の1989年に発表、翌1990年9月14日の販売開始から2006年1月末までの16年間の長きにわたってフルモデルチェンジを行うことなく製造され、(フルモデルチェンジに相当する内容の改良は幾度となく行われた)2005年12月まで販売がなされたモデルです。価格は販売当初は1グレードのみの800万円(AT仕様は60万円高)で、当時の日本のメーカーの乗用車の中では最高額でした。

その後、改良や装備の追加などにより徐々に値上がりし、900万-1,300万円台となり、販売した15年間は当時のスポーツカーの新車価格では日本車最高額でした。そして、この「NSX」に登場したのが「タイプR」です。エンジンは標準車と同じV型6気筒 DOHC VTEC 3.0L C30A型であるものの、クランクシャフトのバランス精度や、ピストン及びコネクティングロッドの重量精度をより向上させ、レスポンスの向上が図られている。内部は約120kgの軽量化(遮音材や快適装備の削減、バンパー及びドアビームのアルミ化、エンジンメンテナンスリッドのアルミメッシュ化、レカロ製CFRP製フルバケット電動パワーシート、モモ製ステアリング、チタン製シフトノブ 等)が行われており、ヨー慣性モーメントの低減や重心高の低下が図られ、サスペンションセッティングもサーキット走行を視野に入れた造りでした。生産期間は約3年間。 このモデルは「NSX」のピュアスポーツ仕様として1992年に設定されたのを皮切りに、1995年にインテグラ、1997年にシビックに設定され、ホンダ製スポーツカーの顔となりました。


「NSX・インテグラR・シビックR」:平均相場

  • 「NSX(NA型)」:620万円
  • 「NSX」は、国産中古車のなかでも群を抜いて値下がりしにくいクルマでしたが、400万円を割り込む物件も珍しくなくなっている状態です。また「スカイラインGT-R」や「スープラ」と異なり、「NSX」は全体的に走行距離が少なめで、過激な改造車が少ない傾向にあるようです。しかも「ホンダ」では初代モデルの「NSX」を対象としたリフレッシュプランも実施中です。パーツ不足などの心配がないとされています。ちなみに「タイプR」のフルノーマル&極上コンディションのものは、3000万円近いタグを掲げられているようです。

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  • 「インテグラ タイプR(DC2型)」:100万円
  • 「シビック タイプR(EK9型)」:140万円
  • 「シビック・タイプR」と「インテグラ・タイプR」は、ほぼ同程度の価格帯となっているようです。しかし、物件が多くて買いやすいのは「シビック」です。相場は、プレミア価格とまでは言えないものの、走行距離10万km以上の物件が100万円以上の価格で販売されており、今でも価格は高値安定です。また、その多くはマフラー、車高調、シート交換済みなどの改造車となっており、フルノーマルの物件は200万円が相場となっています。「インテグラ」は、物件が少ないことを除けば、「シビック」と同じような状況です。こちらもガレージ保管のフルノーマル車が200万円オーバーで販売されています。両者ともに3万km以下の低走行車が極めて少ないのは、やはり実用車がベースということが挙げられます。

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「日産編:スカイラインGT-R(R32~R34型)」

平成時代の1990年代国産スポーツのイメージリーダーと言えば、「スカイラインGT-R」といえるでしょう。現在は「スカイライン」から独立して「GT-R」となったものの、今でも「スカイラインGT-R」の時代に想いを馳せるファンは少なくありません。第二世代GT-Rとされる「R32型」が1989年8月21日、8代目モデルの「スカイラインGT-R」としてデビューしています。型式は「BNR32」です。先代「KPGC110」の生産終了より実に16年ぶりとなるGT-R復活であり、ATTESA E-TS、Super HICASといった当時の最新デバイスに加え、エンジンに専用設計されたRB26DETTを搭載し、「日産・フェアレディZ(Z32型)」、「インフィニティ・Q45(G50型)」とともに、日本初の300PS車としてトリオで発売される予定でした。しかし、当時の諸事情により実施された自動車馬力規制により、いずれも日本向けは280PSとされたことは有名です。

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次期型モデルの「BCNR33」は、1995年1月6日に発売。「BCNR33」のプロトタイプモデルがニュルブルクリンクで7分59秒のタイムを記録したことで、「BNR32」に対してのタイム差から「マイナス21秒ロマン」と銘打ったキャッチコピーを掲げ、GT-Rとしては初の単体でのテレビCMを展開していました。

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「BNR34」は、1999年1月8日販売開始しており、第2世代最後にしてスカイラインGT-R名義として最後の型となりました。 先代モデルの「BCNR33」で不評のボディをホイールベースで55mm、全長で75mmサイズダウンさせ、量産車初のアドバンスドエアロシステムを採用、全体を直線基調のデザインとし、ヘッドランプも吊り目タイプのものに変更され、丸型4灯テールランプはそれまでの均一サイズから、内側のテールランプを小さくし、中心に方向指示器、制動時は外側のテールランプのみ赤く点灯するスタイルとなりました。

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「スカイラインGT-R(R32型-R34型)」:平均相場

  • 「BNR32型」:350万円
  • 「BCNR33型」:330万円
  • 「BNR34型」:730万円「25年ルール」によってアメリカへの流出が懸念され、相場が高いのは「BNR32」です。しかし、明らかに高騰しているのは「BNR34」となっているようです。第二世代GT-Rの完成形とも言われる「BNR34」は、走り、スタイルともにこの時代のスポーツカーの魅力が大いに詰まっていることから、相場が大幅に高くなっているようです。「スカイラインGT-R」の物件は走行距離8万km以上が平均走行距離。そして3割以上が10万kmを超えており、改造車、修復歴ありも少なくない状況です。実にコンディションのよい物件を探すのはとても困難な状況です。しかし、現在でも完全に入手不可能というわけではないのですが、「BNR34」は3万km以下の低走行車となれば、相場はいずれも1000万円以上です。また、「BNR32」もフルノーマルの良質な物件は、探すことはできそうです。

「トヨタ編:スープラ(A80型)・MR2(SW20型)」

1990年代における「トヨタ」のスポーツカー代表と言えば、「スープラ(A80型)」となります。1993年5月にデビューした「A80型:スープラ」は、エンジンは直6 3L 2JZ系エンジン、新開発の電子制御サブスロットルシステム「ETCS」が初搭載された(このETCSは後に改良型の1JZ-GTEへ技術転用されています)。また当時の日本産国内向け乗用車としては初となる6速MT(ドイツ・ゲトラグ社とトヨタとの共同開発)を搭載。上級モデルには17インチタイヤ・ホイールとそれに対応した大型ブレーキキャリパー(前・対向4ポット 後・対向2ポット)と大径ローターを装備。足回りは前後サスペンションがダブルウィッシュボーン方式(フロントアッパーアームがアルミ鍛造のローマウント式)。燃料タンクを重量配分や前後オーバーハングの長さを適正化すべくトランク下に移設しています。

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ミッドシップスポーツの「MR2(SW20)」も、今では貴重な存在となっています。このモデルは1989年10月にデビュー。「セリカ/コロナ/カリーナ」ベースのミッドシップモデルとなり、エンジンも「セリカ」と同じ直列4気筒の2000ccにターボチャージャーを追加した「3S-GTE」エンジンと、そのノンターボ版となるスポーツツインカムの「3S-GE」エンジンが搭載されていました。また当時世界初の試みとして、ステアリングの切れ角に応じて光軸が左右に可動する、ステアリング連動フォグランプ(黄色)を搭載していました。初期モデルでは足回りがパワーに負けているとされていましたが、マイナーチェンジ毎に改良されて後期型や最終モデルではポテンシャルが大幅に向上し、別モデルともいわれるほど変化を遂げたモデルでもあります。


「スープラ・MR2」:平均相場

  • 「スープラ(A80型)」:300万円
  • 「MR2(SW20型)」:110万円
  • 「A80型:スープラ」は、1990年代国産スポーツのなかでもっとも入手難易度が高いクルマのひとつといわれています。中古車として流通する個体のほとんどが改造車で、走行距離も10万km以上という状況です。とくにヴェイルサイド製エアロパーツ仕様カスタマイズが多いようです。さらにコンディションが不明瞭な物件も多く、とくに人気のターボ仕様「RZ」の状態のよいものは極めて入手困難となっているようです。逆に「SZ」系ならば、ホイールやマフラー交換程度のライトチューンかつ5万km前後の低走行な物件は、今でもわずかに流通しています。「MR2(SW20型)」については、極端に高額な物件はほとんどなく物件数は「スープラ」より多く、この時代のスポーツカーとしては手が出しやすいとされています。物件の大半は多走行かつ改造車なのは仕方のないですが、フルノーマルの状態のよい個体も流通しています。走行距離3万km未満だと、200万円~300万円の予算があれば入手可能とされています。もちろん、コンディションにこだわらなければ、50万円前後の予算でも見つけることが出来ます。

「マツダ編:RX-7(FD型)・ユーノスロードスター」

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「マツダ」の代表的スポーツカー、「RX-7」、そして「ロードスター」。「FD3S」として1991年12月に3代目モデルの「RX-7」が販売されました。新開発の4輪ダブルウィッシュボーン、シーケンシャルツインターボが搭載された13B型ロータリーエンジンが魅力のモデル。エンジンパワーは初期モデルで255psとなっており、初期型255psモデルのパワーウェイトレシオ(重量/出力比)は5kg/psを切っていました。後にエンジンの出力向上が行われ、1996年1月のマイナーチェンジで265ps(MT車)、1999年1月のマイナーチェンジでは280psに達し、パワーウェイトレシオは6.11kg/kW(4.50kg/ps)に達しました。

「ロードスター」は、1989年5月にアメリカで発売されたのち日本国内では同年8月に先行予約を開始し、9月1日に発売されています。当時の「マツダ」は5チャンネル体制を敷いており、その内のユーノス店の第一弾車種として「ユーノス・ロードスター」 の名称で発売されました。発売初年には国内で9307台を販売、翌年は世界で9万3626台を販売してスポーツカーとしては大ヒットとなった名車です。このロードスターの成功を受け、MG(MGF)やフィアット(バルケッタ)、BMW(Z3)、メルセデス・ベンツ(SLK)といったメーカーが中小型オープンカーを発売し、消滅しかけていたと思われていたライトウェイトスポーツカー市場が活性化されたのでした。


「RX-7・ユーノスロードスター」:平均相場

  • 「RX-7(FD3S型)」:230万円
  • 「アンフィニRX-7(FD3S型)」:170万円
  • 「RX-7(FD3S)」はアンフィニブランド時代の数値と、マツダブランド時代のを分けて平均相場を挙げています。価格の落差が大きいことが理由です。10万km~15万km以上で修復歴ありだと100万円以下の予算で買える一方、高年式かつ3万km以下の低走行車ならば500万円以上の物件も珍しくありません。以前と比べると劣悪な個体はかなり淘汰され、いま流通しているのはそれなりにメンテを受けたものが多い印象があります。それでも修復歴あり車は4割近くに上ります。コンディションにこだわったクルマ選びをするなら、新車時価格に近い300万円前後程度の予算が必要とされています。
  • 「ユーノスロードスター」:90万円
  • 「ユーノスロードスター」は、1990年代国産スポーツカーのなかでも相場が低く、かつ流通豊富なので非常に探しやすい。カスタム車が多いが、ライトチューンに留まるものが中心で、ノーマルに戻して乗ることもできる個体が多いようです。3万km以下の極端な低走行車は皆無ですが、このクルマはロータリーを積む「RX-7」とは異なり、機関系がとても丈夫なモデルです。内外装のよさそうなものを選べば、安心して長く楽しめるのがポイントです。また、最近は「ユーノスロードスター」のレストアプランを「マツダ」が実施しています。フルレストアコースはかなり高額(約500万円)ですが、ベースとなる車両さえあれば、ほぼ新車に近い状態に仕上げることが可能(現在は1.6Lモデルのみ実施中)です。また、ソフトトップなどの欠品パーツが、この機会に販売されることも決定しています。「ユーノスロードスター」のアキレス腱とも言えるソフトトップの劣化に泣かされるユーザーが多かったものの、当分は心配する必要がなくなったといえるでしょう。

「まとめ」

まとめると、「25年ルール」によって相場が影響を受けているのは「R32型GT-R」ですが、ほかの車種に関しては全ての相場が極端に跳ね上がっているわけではなさそうです。というのも、プレミアが付くほど優れたコンディションの車両の多くは、すでに中古車市場の表舞台から姿を消しており、数値に直接影響を与えていないと考えられています。

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