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【R34 GT-R】日産史上最強のスカイラインのスペック・価値
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熟成が進んだパワーユニット、重量配分、エアロダイナミクスとシリーズの完成形となった「日産・スカイライン GT-R(R34型)」。このモデルは、1999年1月8日に登場して以来、現在も人気が衰えるどころか上昇しています。この人気は「スカイライン」としては「最後のGT-R」となるために伝説的な存在となっていくことでしょう。キャッチコピーは「人に翼を」というもので異次元の世界を約束するかのようなもの。実際に集大成としての「R34型:GT-R」は、熟成されたモデルとなっています。そのデビューは、先代モデルと同様に第17回の「東京オートサロン」で発表されるというものでした。この際には、「ニスモ」からはコンプリートカーの状態で展示が行われていただけでなく、幾つかのメーカー、ショップにも事前に納車され、若干のチューニングが施された個体も展示されたのでした。
「エクステリア」:歴代モデルのオマージュデザイン
この「R34型:GT-R」では、先代モデルの「R33型:GT-R」において大型化したボディをホイールベースで55mm、全長で75mmサイズダウンさせるというリテールが施され、量産車初のアドバンスドエアロシステムを採用、全体を直線基調のデザインとし、ヘッドランプも吊り目タイプ(R30/R31)のものに変更され、リアのピラーは「R32」のような、フェンダーは「ハコスカ/ケンメリ/ジャパン」のサーフィンラインを彷彿させ、丸型4灯テールランプはそれまでの均一サイズから、内側のテールランプを小さくし、中心に方向指示器、制動時は外側のテールランプのみ赤く点灯するスタイル(C110系型:ケンメリ)となりました。
また、ナンバープレートスペース横に後退灯、リアフォグランプ(赤色)が装備という、これまでの歴代スカイラインシリーズの特徴的なデザインを融合させたようなエクステリアになっています。
しかし、エクステリアは歴代モデルのオマージュデザインかと思いきや、そこには10年間1000ラップ以上のニュルブルクリンクでのテストによって生み出された、高剛性ボディに仕上げられた証拠を見ることが出来ます。この「R34型:GT-R」の開発に合わせ、「日産」は「MRS(マルチロードシミュレーター)」というボディの動剛性解析システムも導入しており、「R33型:GT-R」に比べても、動的ねじれ剛性で56%、動的曲げ剛性では100%も剛性を向上させているのです。しかも前後の重量バランスも、「R32型:GT-R」が、およそフロント60:リヤ40だったのに対し、「R34型:GT-R(VスペックⅡ)」ではフロント55:リヤ45と、かなり理想的な前後重量配分になっています。これによってアンダーステアが強くフロントヘビーといわれた歴代の「RB型エンジン」搭載の「GT-R」と比較するとニュートラルステアに近づいたハンドリング、そしてコーナリング中のステアリングの切り足しにも応えられるシャーシとなったということです。
また「R34型:GT-R」では、レーシングカーのようにボディ下面を流れる空気を積極的に活用し、量産車で初めて本格的なマイナスリフトを達成しているのです。当時、一般的な乗用車は、時速60kmで走行時、空力の問題で60㎏の揚力=リフトフォースが発生すると言われていましたが、「R34型:GT-R」は「アドバンスド・エアロシステム」の未装着車でも、時速100㎞/h時のリフトフォースはおよそ20㎏と通常の1/3に抑えられていて、「リヤディフューザー(アドバンスド・エアロシステム)」付の「Vスペック:(フロント下部に樹脂製、リア下部に量産車初のオートクレーブを用いて焼成されたカーボンディフューザー、可変2段リアウイングスポイラー)」では、時速180kmで20㎏ものマイナスリフト=ダウンフォースとなっていたのです。
こうして、車体のパフォーマンスは非常に高度に仕上げられたものとなっていました。ちなみに2000年10月のマイナーチェンジで「Vスペック」は、「VスペックII」となり、量産車初となるカーボンボンネット(カーボン地ではなく塗装済)を採用することに加え、「NASA」が開発したV字型エアダクトが付き、軽量化を図ると共にタービン付近の温度を軽減させる効果が図られています。
「インテリア」:走りの意識させた装備
ダッシュボードの中央には従来の3連メーターに代わり、コンソール中央に「マルチファクションディスプレイ(MFD)」と呼ばれる車両の状態を確認する5.8インチのモニターが搭載され、水温、ブースト圧などを表示することが出来るようになっていました。またレブランプも搭載され設定値になると赤く光るようになっています。
スピードメーターは当時の日産車では例外的に左にタコメーター、右にスピードメーターの配置となっており、「Vスペック」系統ではタコメーターの3,000rpm以下が圧縮されている2段表示タコメーター仕様となっています。2000年10月のマイナーチェンジで各種フットペダルが「R」の文字が入った樹脂製からアルミ製のものに変更され、シフトノブも「GT-R」ロゴが入ったアルミ製ものに変更、センターコンソールのイリジウム調化などがあります。
「ドライブトレイン」:究極のRB26DETTを搭載
エンジンは「RB26DETT」型エンジンを搭載し、カタログスペックの最大出力280PSではあるものの、ギャレット社製C100-GT25型ツインボールベアリングのセラミックタービンを採用したことで、最大過給圧のアップ(0.84㎏/㎤→0.93㎏/㎤)、レブリミット=8,000rpmなどの改良で、最大トルクは2.5㎏-mアップの40kg-mを達成し、低回転域トルクの増加で通常使用時における快適性が向上しています。またエンジンのヘッドカバーは赤く塗装され「SKYLINE GT-R NISSAN」の文字が印刷されたプレートを装着(R32、R33までは黒で「NISSAN TWINCAM 24VALVE」)、「Nür」においてはゴールドのカバーが装着されています。トランスミッションはドイツゲトラグ社と共同開発した6速ミッションを装備していましたが、このミッションはバックギアにもシンクロ機構が搭載されていました。
LSDは、「R33型:GT-R」同様に「Vスペック」系統に「アクティブLSD」を採用し、「アクティブLSD」準拠の「アテーサE-TS PRO」を搭載。サスペンションは、テンションロッドが一体型のアルミ鍛造が使用され、耐久性向上と軽量化が施されています。ブレーキシステムは、ゴールドのブレンボ製を標準装備、取り付けボルトを12mm→14mmに変更し支持剛性を向上させています。2000年10月のマイナーチェンジでリアのブレーキローターが大型化(300mmから322mmへ)されました。タイヤ、ホイールは18インチ化(サイズは245/40ZR18、18×9JのBBS鍛造アルミホイール)されました。これは「R32型:GT-R」からすると、17インチから18インチにサイズアップされたことになりますが、1本当たり1㎏も軽量になっています。
「スカイライン GT-R(BNR34型)」:スペック
- 年式:1999年
- 型式:BNR34
- 全長 × 全幅 × 全高:4,600mm × 1,785mm × 1,360mm
- ホイールベース:2,665mm
- トレッド(F/R):1,480mm / 1,490mm
- 車両重量:1,560kg
- エンジン型式:RB26DETT
- エンジン形式:直列6気筒直 DOHC 24バルブ IC ツインターボ
- 排気量:2,568cc
- ボア × ストローク:86.0mm × 73.7mm
- 圧縮比:8.5
- 最高出力:206kW(280ps) / 6,800rpm
- 最大トルク:392.3N・m(40.0kgm) / 4,400rpm
- サスペンションシステム(F/R):マルチリンク
- ブレーキシステム(F/R):ベンチレーテッドディスク
- タイヤサイズ(F/R):245-40-ZR18
「中古車相場」
2002年に生産終了になったにもかかわらず、現在の中古車相場の平均は、約640万円と新車価格を上まわるほどのプライスが掲げられています。ちなみに生産終了直前の2月には最終記念車「VスペックII Nür(ニュル)」および「Mスペック Nür」が、合計1,000台販売され、予約日に即日完売となっています。このモデルは、1,000万円オーバーもしくは価格応談(ASK)という状況です。まさに価格としての価値は上昇していくことでしょう。
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