【セリカ GT-TS】トヨタはTA64型でサファリラリー3連覇

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【セリカ GT-TS】トヨタはTA64型でサファリラリー3連覇

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FRターボでラリーのの歴史に名を刻んだ「トヨタ・セリカ GT-TS」のベースモデルは1981年7月に登場しました。シャシーは「カリーナ」や「コロナ」と共通で「世界、新CELICA」のキャッチコピーが付けられていました。「トヨタ・ソアラ」が誕生したことにより、「セリカXXシリーズ(GA60/MA60型)」も含めて、エクステリアデザインは直線的なラインで鋭いウェッジシェイプのボディシルエットで4気筒系ボディ(ショートノーズ・ショートホイールベース)は先代モデル同様に「リフトバック(LB)」と「クーペ」の2タイプとなっていました。そして、エクステリアデザインで特徴的なポイントは登場当初の4気筒系ボディ全車に日本車初となる「ライズアップ(ポップアップ)式ヘッドランプ」が採用されていたことでしょう。しかし、このヘッドライトは1983年のマイナーチェンジで「リトラクタブル式ヘッドランプ(通称ブラックマスク)」に変更となっています


「GT-TS(TA64型)」:概要

ツインカム・ターボモデルの「GT-TR(TA63型)」が登場した1カ月後の1982年10月にグループBカーとなる「GT-TS(TA-64型)」が発売されました。

この車は当時のFISAのグループBカーの基となる200台生産が要求される型であり、この中から更に高度な改造を施した20台のエボリューション・モデルを製造することができました。

純粋なラリーカーのベース仕様車であり、改造を前提とした簡素なモデルのために、価格も市販量産型の「GT-TR」よりも安価な販売価格でした。同時期に「日産自動車」が同様の目的で準備した「日産・240RS」は改造を追加しなくてもよいラリー仕様でした。


「エクステリアデザイン」

ボディについていえば、スポイラーやオーバーフェンダーといった付加物は装着されておらず、フロントフェンダーの素材が鋼板から「R-RIM」と呼ばれるウレタン樹脂になったのが唯一の変更点でした。

車両重量は主にリアサスペンションの変更により標準モデルの「GT-T」よりも約35kg軽量化された1,110kgとなっていました。


「パワーユニット」

「GT-TS」のエンジンは、市販型の1,770ccの「3T-GTEU型」のボアを0.5mm拡大し、ボア:85.5mm × ストローク:78.0mmとした排気量1,791ccの「4T-GTEU型」が搭載されました。

これは競技規定でターボチャージャー付エンジンは係数1.4を掛けた値の排気量でクラス分けされるため「3T-GTEU型」では2,500cc未満のクラスに入れられてしまうことを避け、タイヤ巾のより広い3,000cc未満のクラスに入れるようにするためでした。エンジンに関する変更はこのボア拡大のみで最高出力:160hp/6,000rpm、最大トルク:21.0mkg/4,800rpmといった値は「3T-GTEU型」と同じスペックでした。


「サスペンションシステム」

当時の4気筒エンジン搭載の「セリカ」の市販車には、後輪サスペンションが上位グレードの独立型セミトレーリングアームと下位グレードの固定型4リンク式リジッドの2種類となっていました。ツインカム・ターボエンジン搭載の市販車は全て後輪サスペンションが独立型セミトレーリングアームで、「GT-TS」のサスペンションシステムは、実は改造の施工性の高さとラリー競技での整備性の高さから固定型サスペンションを採用していました。


「ワークス仕様」:概要

ベース車両製作を含めたワークス活動を開始したのは1983年のことでした。この年から始まる「グループB車両(連続する12カ月で200台生産された車両をベースに製作、内20台は大幅な改造も可能)レギュレーション」に合わせて、エボリューションモデル「GT−TS(TA64型・ラリー名はセリカ・ツインカムターボ)」を投入しています。

それまでの「RA63型」のグループ4カーを代替する競技車両として、「GT-TS」から高度な競技専用の改造を施した20台のエボリューション・モデルは、西ドイツのケルンを本拠地とする「トヨタ・チーム・ヨーロッパ(TTE)」で1984年に製造されグループBの公認を取得しています。

エンジンの開発とテストは日本で行い、車両の開発はドイツの「TTE」で行い仕上げられていきました。


「ボディ」

ボディは、前後重量配分を改善すべくエンジン、トランスミッションの位置を後方へ100mm移動させ、トランクリッド上にはトランク内に設置されたドライサンプ式オイルタンク用のオイルクーラーが搭載していました。

市販車ではライズアップ式ヘッドライトが重量と信頼性を重視した固定式となり、大きく張り出した前後のフェンダーを含む多くの外板が軽量な樹脂製に交換されていました。


「エンジン」

エンジンは、ベースの排気量1,791ccの「4T-GTEU型」をボア:89.0mm × ストローク:84.0mmとして規定いっぱいの「2,090cc(換算値2,926cc)」まで拡大させています。これによって最高出力:340ps / 8,000rpm、最大トルク:35.0mkg / 5,200rpmを発揮する「4T-GT改」へと仕上げられました。組み込まれたターボチャージャーはそれまで他の「セリカ」のレースカーで使用していた「エアリサーチ社」の物からラリー競技での実績やサービス性を考慮して「TTE」と同じドイツの「KKK製K27型」が採用されました。

吸気側のインタークーラーに備えたリリーフバルブと高度調整装置付きウェイストゲートバルブにより如何なる気圧環境下でも0.8kg/cm2の過給圧を保つことができるように設定されました。燃料供給方式はトヨタグループの「日本電装(現デンソー)製」のEFI、点火方式も「日本電装製」の電子制御ESAが装着されています。

 


「ドライブトレイン」

レース用部品を多用しており、トランスミッションは、「トヨタ」と「ヒューランド」社が共同開発したドグクラッチ式5速マニュアルトランスミッション、クラッチは「ボーグ&ベック(現ボルグワーナー)製」、デファレンシャルと後輪車軸は「ソールズベリー製」、ブレーキシステムは4ピストンキャリパーの「APロッキード製」が装着されています。

タイヤは「ピレリ製」の前165-16、後195-15という大径細身のものを採用し、ホイールは当初の「マグライト製」から後に「スピードライン製」に変更されました。


「モータースポーツの成績」

後輪駆動のTA64は参戦初年度こそ2戦目で優勝するなどパフォ−マンスを発揮アフリカのラリーで真価を発揮し、1984年のサファリラリーにワークス体制で参戦したセリカは、P. エクルント、B. ワルデガルド、S. ムナーリの3名に託され、エクルントとムナーリがドライブする2台はリタイアを喫してしまうものの、ワルデガルドがドライブする5号車が見事に優勝。トヨタに初のサファリラリーでの勝利をもたらしました。そして翌’85年はカンクネンが、’86年には再度ワルデガルドがサファリラリーで優勝し、サファリ3連覇を成し遂げ、1983・1985・1986年のアイボリーコースト・ラリー、1986年のコートジボワール・ラリーで優勝を飾っている。

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