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【ポルシェ・930ターボ改】 フルカスタムの911ビシモト仕様
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1970年代中盤に、デイトナやセブリングなど名だたるレースシーンで活躍したことで、「ポルシェ・911」は勝利と成功の象徴となりました。そして、多くのファンの間で「ナイン・イレブン」と発音されることになった「ポルシェ・911」は、特別な存在として愛されています。その「ポルシェ・911」の中で「930型」は、スーパーカーの仲間入りをしたモデルとしても知られていますが、それゆえにカスタムベースとして人気の高いモデルです。今回、登場している「ポルシェ・911」は1976年式の「930型」です。いわゆる空冷時代に登場した「ポルシェ・911」初のターボモデルです。
しかも、この個体は「ポルシェ・911」初の水冷モデルである「996型」のM96ツインターボをスワップしているカスタムマシンなのです。「クラシックなボディに最新テクノロジーを投入し、速くて、軽くて、美しい911を生み出す」というコンセプトを具現化したモデルとなっています。
「エクステリアデザイン」:クラシカル回帰
エクステリアデザインは、よりスリークでクラシカルなラインへの回帰がテーマとなっています。1974年からアメリカで開催されていたインターナショナル・レース・オブ・チャンピオンズ、通称「IROC(アイロック)」に採用された「ポルシェ・911カレラRSR」へとオマージュが捧げられています。IROCはINDYやNASCARなど、当時の主要レースで活躍したドライバーが選出され、同一仕様のストックカーで競われたU.S.モータースポーツ界のオールスター戦でした。純粋にドライバーの力量で勝負をつけようという、古き良き時代のレースです。
そして、このカスタムマシンのエクステリアデザインは、Fifteen52のデザイナーである「マット・クルック」氏との共同作業を通して方向性が定められていったということです。大きなラジエター冷却口を備えたフロントバンパーや、大型インタークーラーを包み込むホエールテールウイングなどが、IROCからインスピレーションを得たディテールです。M96ツインターボのタービンは本来、左右バンクの排気直後、つまり車体の左右サイド側に備えられるが、この個体は、Turbonetics製タービン2基をリヤエンドに装着しています。それゆえにツインターボが向かい合うような形でレイアウトされ、あえてリヤバンパーをカットすることで、それを「魅せる」手法を採用しています。
「パワーユニット」:強力なツインターボ
このカスタムマシンに装着されているTurbonetics製M96ツインターボにさらなるパワーを与えるため、AEMエレクトロニクス製のウォーター/メタノールインジェクションシステムも導入しています。これは水で希釈したメタノールを圧縮空気に吹き付け、吸気温度を下げて充填効率を高めるシステムです。条件次第ではもっと上を狙えるというパワーは、ドライバビリティとのバランスを考慮して、最高出力:850ps付近をターゲットに設定されています。AEMシリーズ2 ECUを核とするCAN-BUSシステムを構築し、スロットルバイワイヤのリニアリティも徹底的に追求されています。「996型」だけでなく、初代ボクスター/ケイマンにも搭載された水冷M96ユニットは、入手しやすいという点においても絶好の素材ということですが、独自設計のカムや強化スプリングなどを採り入れたメカチューンが施されているようです。
ツインターボをリヤエンドに取り回すアイコニックなレイアウトは、タービンが後ろ側に装備される「ポルシェ・930ターボ」に対するオマージュでもあるということです。水は気化すると体積が増えるため、ウォーター/メタノールインジェクションには燃焼行程における爆発力をアップさせる効果もあるほか、耐ノック性も高まるなど、メリットは多いということです。またM96はバリオカムおよびバリオカム・プラスと呼ばれるバルブタイミングやリフト量の可変機構を備えており、ましてウォーター/メタノールインジェクションも追加するとあっては、その制御に高度なノウハウを要するということです。
そして、「ケン・ブロック」氏とのコラボレーションやネオクラシックテイストのデザイン性で注目を集めるホイールブランド『Fifteen52』のOUTLAWシリーズを装着しています。そのデザインを担当したのは、「ポルシェ・911」のビルダーとして名高い「マグナス・ウォーカー」氏ということです。初代モデルの「ポルシェ・911」に純正採用されたことで知られる、往年のFuchsホイールをモチーフに採った鍛造2ピースホイールで、サイズは17インチです。そしてナットは日本のCRUIZEが手掛ける冷間鍛造アルミ製のポルシェ専用品が使用されています。
「インテリアデザイン」:スパルタン仕様
クロモリ製のロールケージで囲まれたスパルタンな空間が特徴的なインテリアデザインとなっています。タコメーターは11000rpmスケールのオリジナル仕様。
トランスミッションはタイプ997用の6速MTがドッキングされており、シフターもそのまま流用されている。ドライバーズシートの背後にはECUを装備しています。
「ポルシェ・930 M96ビシモト仕様」:スペック
■エンジン:M96水冷水平対向6気筒ツインターボ換装/BISIMOTO・ツインターボシステム、カスタムインタークーラー、カスタムフューエルタンク、レベル2.4カムシャフト、強化スプリング、チタン製リテーナー、スチールコンロッド、IMS(インターミディエイトシャフト)ベアリングキット、ダクタイル鋳鉄スリーブ/Turbonetics・BTX5857ターボチャージャー、RG45ウェイストゲート、Godzillaブローオフバルブ/AEMエレクトロニクス・ウォーター メタノールインジェクションキット、シリーズ2 ECU、380LPHハイフローフューエルポンプ/ARIAS PISTONS・9:1コンプレッションピストン/Five O・1000ccインジェクター/NGK・イリジウムスパークプラグ/Griffin・ラジエター、カスタムシュラウド、カスタムダクト/ARP・ヘッドスタッド、ボルト類/Burns Stainless・パイピング/VIBRANT・Vanjenクランプ、エアフィルター/WPC・メタルサーフェストリートメント&コーティング/Odyssey・エクストリーム35バッテリー/PurOL・エリートシリーズ20W-50
■ドライブトレイン:997用6速MT換装/BISIMOTO・アクション6パッククラッチ、プレシャープレート、アルミフライホイールクワイフ・LSD
■フットワーク:BISIMOTO・コイルオーバーコンバージョンサスペンション、ストラットタワーリインフォースメント/996用カスタムブレーキ/Fifteen52・Outlaw 17インチ/CRUIZE・ポルシェ専用SPLフォージドホイールナット7075S/TOYO TIRES・R888(F255/40ZR17 R315/35ZR17)
■エクステリア:Matt Crookeデザインスキーム/BISIMOTO・フェンダーマウントスパイダーミラー/カスタムIROCホエールテールウイング
■インテリア:BISIMOTO・11000rpm VDOタコメーター、カスタム16インワンゲージ、6点ロールケージ/MOMO・プロトティーポステアリングホイール/RECARO・SP-G/CROW・ハーネス
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