【スカイライン スーパーシルエット】サーキットの軌跡・スペック

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【スカイライン スーパーシルエット】サーキットの軌跡・スペック

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1980年代の自動車業界では、エンジンに対するパワーが求められモアパワー、パワーウォーズ時代と言われる。各メーカーがDOHCの採用、1気筒あたり4バルブ化、ターボチャージャー、スーパーチャージャーにインタークーラーなどの過給機を装備といった最高出力に注目が集まっていた時代でした。そして、その時代を牽引したと言っても過言ではないクルマが「日産・スカイライン(R30型)」でした。当初は、ハコスカ時代から継承されていたターボを装着したL型エンジンを搭載したモデルでしたが、DOHC16バルブのFJ20型エンジンを搭載した「スカイライン2000RS」が登場。これによってスカイラインの路線はモータースポーツ界への復帰と近づくことになります。その後、「スカイラインRSターボ」が登場し最高出力は190PSへと向上し「史上最強のスカイライン」というキャッチフレーズがつけられることになります。また1983年8月のマイナーチェンジから登場したグリルレスの特徴的なフロントエンド通称「鉄仮面」と呼ばれる後期型となり最終的インタークーラーを装備し最高出力は205PSとデビューから短期間で次々とパワーアップを図ったモデルでした。


「FJ20E型エンジン」:手組み生産で700PSに耐える設計

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FJ20Eエンジンは、ベースは商用モデルの2000ccの排気量でOHVのH20型エンジン。エンジンブロックは鋳鉄製のため700PSオーバーも可能なほど頑丈なブロックでした。このブロックにDOHC16バルブのヘッドを組み込んでいます。カムシャフト駆動は2ステージローラーチェーンを採用し、シリンダーブロック内の旧カムシャフト位置にジャックシャフトを持つ構造。シリンダーヘッドはアルミ合金製鋳物で、IN/2・EX/2の4バルブ中心にペントルーフ型燃焼室。バルブ開閉はバケット式直動タイプで、吸気ポートはS20型エンジンに類似した形状となった。バルブ挟み角が大きく、それに伴いヘッドの幅が広くなっています。一般の量産エンジン製造ラインと異なり、熟練工がひとつひとつ手作業で組み上げ、すべてが経験に裏打ちされた技術で組み上げていたため、市販車用エンジンであるにも関わらず非常に高い完成精度となっていました。

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「スカイラインスーパーシルエット」:サーキットへ帰還

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1982年5月21日に「スカイラインスーパーシルエット」の記者発表が行なわれ、1972年の「スカイライン2000GT-R(ハコスカ)」のワークス活動が終了して以来、約10年ぶりにスカイラインがサーキットに帰ってくることが明らかになりました。

日産は、富士スーパーシルエットレースに1981年はターボエンジンを搭載した「S110型シルビア&ガゼール」でエントリーしていましたが、翌1982年にはこのレースの人気を決定付ける3台のニューマシンでエントリーすることが決定。その3台は、「S110型シルビアターボ」、「910型ブルーバードターボ」遅れて8月からデビューの「長谷見昌弘」氏のドライブする「DR30型スカイラインRSターボ・スーパーシルエット」ということが明らかに。そして3台は「日産ターボ軍団」と愛称され、大人気となります。特に、「スカイラインスーパーシルエット」は、「長谷見昌弘」氏の呼びかけに応えた全国の日産プリンス系ディーラー有志が「NISSAN PDC」として後援し、強力なスポンサーのひとつとなって実現したエントリーでもあったのでした。82年に2勝、83年に4勝を挙げている。ライバルは、星野一義さんのシルビア、柳田春人さんのブルーバード。


「スカイラインスーパーシルエット」:構造

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これらのニューマシンは、それまでの量産車用モノコックを大幅に改造したマシンから、新たに鋼管パイプフレームを使ったより本格的なレースマシンに変更されていました。フレームの開発はノバ・エンジニアリングが担当。

エンジンは市販モデルの「スカイライン2000RSターボ」に搭載されていた「FJ20ET」ではなく1981年と同じく4気筒4バルブDOHCターボのLZ20Bをフロントミッドシップに搭載しています。巨大なインタークーラーをセットしギャレット・エアリサーチ社製T05Bターボチャージャーを装着し、ルーカス製メカニカルインジェクションシステムとの組合せで、最高出力は570ps以上を発生していました。

エクステリアデザインこそ市販車のスタイルを保っているものの、シャシーはパイプフレームによる完全なレーシングカーだったのです。そのため、これらグループ5カーたちは「シルエットフォーミュラ」とも呼ばれたのでした。ちなみにルーカス製メカニカルインジェクションシステムの特性から、減速時のシフトダウンで大きな火炎をエキゾーストから噴き上げる走りが日産製スーパーシルエットカーの特徴的なシーンで、これが多くのクルマ好きを魅了しました。


「スカイラインスーパーシルエット」:ポテンシャル

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当時のエンジニアである「岡寛」氏は「スカイラインスーパーシルエット」について「パイプフレームのシャシーは剛性が低くて、それに起因するアンダーステア対策に苦心しました。それを少しでも解消するために、空力パーツの試行錯誤を繰り返したんです。今と違って、レース用車両の開発ができる風洞設備がない時代だから実際に走って決めるしかありませんでした。エンジンの耐久性をあげることも課題でした。ルーカス製メカニカルインジェクションの指定燃圧は6kgf/cm2でしたが、実は15 kgf/cm2にしていたんですよ。この高い燃圧に起因するトラブルが多かった。プラグも10番という高熱価なものを使っていました。燃料の調整はプラグの焼け具合で判断していた時代ですよ。さらにフロントには巨大なインタークーラーを装着していましたから、ラジエターの置き場がなくなったんです。それでサイドラジエター方式にしました。当時は、サイドラジエターのマシンなんて世界的にみても少なかったから、かなり先進的なマシンを造っていたんですよ」とコメントしています。

また「ブルーバード・スーパーシルエット」をドライブした「柳田春人」氏は、「エンジンは、中低速トルクがなくいわゆるドッカンターボでした。1トンそこそこのボディにピーキーな570馬力のエンジンだから、じゃじゃ馬でしたよ。でも直線はとにかく速かった!」とコメントしています。


「R30型スカイライン スーパーシルエット」:スペック

  • 型式:KDR30
  • 全長:5065mm
  • 全幅:1980mm
  • 全高:1239mm
  • ホイールベース:2615mm
  • トレッド(F/R):1610mm/1650mm
  • 車両重量:1005kg
  • エンジン型式:LZ20B
  • エンジン形式:直列4気筒DOHC16バルブターボ
  • 排気量:2139cc
  • 最高出力:419kW(570ps)以上/7,600rpm
  • 最大トルク:539N・m(55kgm)以上/6,400rpm
  • サスペンション(F/R):ストラット/ウィッシュボーン
  • ブレーキ(F/R):ディスク/ディスク
  • タイヤ:270-590-16/350-700-19
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