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【B310型サニークーペ】アドバンサニーTSレース仕様スペック
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80’sボーイズレーサーと言われたストリートレーサーが好んで走らせていた「KP61:スターレット」、「CR-X」、「TE71:レビン・トレノ」、「AE86:レビン・トレノ」と言ったマシンたち。加えてTSレース、ストリートでもサーキットでも「トヨタ:スターレット」のライバルだったのが、「日産:サニー」でした。名機「A型エンジン」に軽量コンパクトFRというパッケージは、とてもバランスの取れたクルマとして人気でした。今回は、「日産:サニー」のFRモデル最後のB310型のTS仕様に注目です。
「日産:サニー(310)」:パッケージ
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1977年10月に3度目のフルモデルチェンジを実施し4代目モデル(310型)に移行。3代目B210型は、アメリカンスタイリングでしたがデザインを一転し、2代目B110型のようねシャープなスタイリングに原点回帰すると共に、エクセレントシリーズの廃止によりグレード体系がシンプル化されました。ボディタイプは先代同様、乗用モデルは2ドア/4ドアセダンとテールゲートが備わる3ドアクーペが、商用モデルは2ドア/4ドアバンがラインナップされました。直線を基調としたフォルムを持つボディのサイズは、セダンで全長3,995mm×全幅1,590mm×全高1,370mmとなり先代から全長と全幅が拡大された一方、ホイールベースは同一の2,340mmが維持されました。サスペンション形式は、フロントは先代同様のマクファーソンストラット式を踏襲し、リアはリジッド・リーフ式から4リンク・コイル式に改良。駆動方式はFRですが、これが「サニー」最後のFRモデルとなりました。発売当初搭載されたエンジンは、従来のA12型から排気量を若干拡大した1.2L直4OHVのA12A型と、先代から受け継いだ1.4L直4OHVのA14型でした。1979年10月のマイナーチェンジでバン以外のモデルがフェイスリフトを受け、スラントノーズや角形ヘッドランプの採用によりフロント廻りのイメージが一新。続いて1980年11月に実施された2度目のマイナーチェンジでは、フロントグリルのデザインと共にエンジンの変更が行われ、A12A型が1.3LのA13型に、A14型が1.5LのA15型に置換されました。
「B310型:TSアドバンサニー」:ヒストリー
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1986年全日本ジムカーナ選手権Dクラスのチャンピオンマシンで、当時のジムカーナ界のカリスマ、山本真宏選手がドライブしたレーシングマシン。実は「B310型サニークーペ」は、JCCA(日本クラシックカー協会)が主催するクラシックカーレースでも、TSカップと呼ばれる1つのレースカテゴリーが成立するほど、人気あるマシン。
「B310型:TSアドバンサニー」は、レース車両として造られたマシン。1982年にオートクリニック日産で耐久レース仕様として製作され、1983年の富士1000kmレースに出場。エントリー名は「ADVANサニー」で、Aクラス13位(163周完走)の結果。1986年11月30日、場所は静岡県富士宮市の白糸スピードランド。頂に雪を載せた富士山がくっきりと望める広いアスファルトの会場で、この年の全日本ジムカーナ選手権が開催された。大幅な車両改造が許されるDクラスに出場していた有力ドライバーが山本で、彼のマシンこそがアドバンサニー。1回目の走行でクラストップタイムをマーク。ライバルがマシンを転倒させたことでリタイアとなり、その結果、山本がアドバンサニーで初、自身で2度目の全日本Dクラスチャンピオンを獲得。翌87年シーズンもアドバンサニーで参戦した山本だったが、関東地区のシリーズ最終戦で区切りをつけ、他のマシンにスイッチ。サニーでの活動は終了。その後、尾川自動車でジムカーナDクラス仕様として再製作。同年の全日本ジムカーナ選手権Dクラス5位。84年は山本選手の活動休止により不出場。85年全日本ジムカーナ選手権Dクラス2位。86年はシーズン中にタスカエンジニアリングでエンジン搭載位置を変更。全日本ジムカーナ選手権Dクラスチャンピオンを獲得。87年は関東(C地区)ジムカーナ選手権最終戦まで参戦した。
「B310型:TSアドバンサニー」:ヒストリー
フロントバンパーは、「A175型ランサーターボ」用を流用したように見えるが、元型としてだけ利用し、新規にカーボンパネルを使ってワンオフで製作されたもので指1本で持ち上がるほどの超軽量パーツ。
ホイールのデザインは当時人気だった「アドバンA3A」。このホイールはメーカーから供給された時点で赤く塗装されており、山本スペシャルとなっている。組み合わされるのは、バイアス構造のスリックタイヤ。
後車軸の内側に据え付けられ燃料タンク(左)とバッテリーボックス(右)。バケットシートはEVA-IMSAだが、市販仕様とは違い、体を包み込むフレーム全体がカーボンケプラーでできている山本スペシャル。
カーボンファイバーパネルで作られたドアの開閉は、独特の仕掛けにより行う。運転席側は、丸く開けられた穴の奥にノブがあり、指で引っかけて開く。助手席側にはその穴もなく、レースカーのカウルなどを留めるパーツであるズースファスナーで固定。
メンテナンスやサポートなどで開ける必要がある時には、マイナスドライバーを使う。ちなみにドアウインドーはアクリル製で固定。
リアサスペンションはリジッドで、尾川自動車オリジナルダンパーを組み合わせる。ブレーキはアルミ製フィン付きドラムブレーキとなる。
ステアリングは、グリップにバックスキンが張られているEVA-CANAMをチョイス。ドアのインナーパネルには生産車と同じようなリブが付いているので、一見したところ鋼板製にも見えるが、実はドアの場合、インナーパネルもアウターパネルもカーボンファイバーパネルで製作。
必要最小限のメーターがパネルに並ぶ。左から油温計、油圧計、タコメーター、水温計。ボディのアウターパネルには、当時とても高価な素材だったカーボンファイバーパネルが使われ、車両重量は何と590㎏を実現。
また86年シーズンの途中には、エンジンとトランスミッションの搭載位置を後ろに85㎜下げる大改造を敢行。
前車軸より後ろに重量物を移すことにより、ジムカーナで最も大切なタイトターン時の車体の動きをよりよくして、タイムを0・01秒でも削ることを目指していた。
アドバンサニーは、A14型をベースエンジンとして、尾川自動車でフルチューン。1627ccの排気量を持ち、クーゲルフィッシャーのメカニカルインジェクション装着により、87年の最終仕様では198psを誇った。
点火系はスポンサーである永井電子機器製の同時点火システムを使用。ボディとエンジンはゴム製マウントなどを使わずに、直接ボルトで固定されている。クーゲルフィッシャーは、BMW2002tiiのシステムをベースに改良。ポンプはコグドベルトを介して駆動。
「日産・アドバンサニー(KHB310)1987年」:スペック
ドライバー 山本真宏
車両製作・チューナー 尾川自動車
シャシーメンテナンス タスカエンジニアリング
エンジン型式 日産A14型
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量 1627cc
圧縮比 12.5:1
最高出力 198ps/7800rpm
許容回転数 9800rpm
気化器 クーゲルフィッシャー機械式インジェクション
点火方式 ULTRA 同時点火
ミッション形式 F4W56L(NISMO-Opt.1)
1st 2.862
2nd 1.908
3rd 1.350
最終減速比 4.375
サスペンション形式 前/ストラット
後/等長4リンク式リジッド
ショック 前/KYB(ジムカーナspl.)
後/尾川自動車オリジナル
ブレーキ 前/MK63 4ポットキャリパー
ブレーキ 後/アルフィンドラム
サイドブレーキ 油圧式
デファレンシャル H165
LSD NISMO
安全タンク EVA(15ℓ)
ステアリング EVA-CANAM(バックスキン)
シート EVA-IMSA
フロントフェンダー カーボンファイバー製
ボンネット カーボンファイバー製
ドア カーボンファイバー製
リアゲート カーボンファイバー製
ホイール 前/ADVAN-A3A 8J×13(山本spl.)
後/ADVAN-A3A 9J×13(山本spl.)
タイヤ 前/ADVAN スリック 210-515-13
後/ADVAN スリック 230-515-13
車両重量 590kg
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