【スバル・インプレッサWRX】歴代モデルで振り返る最速伝説の軌跡

【スバル・インプレッサWRX】歴代モデルで振り返る最速伝説の軌跡

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ラリーをはじめとしたモータースポーツでの活躍など、インプレッサ時代を含みWRXはスバルにとってイメージリーダーの1台。しかし、2019年を期に名機EJ20ターボ+MTを搭載していたWRX STIは姿を消し、現在はEJ20ターボの後継となるFA20ターボ+CVTというパワートレーンに、運転支援システム「アイサイト」を組み合わせた、間口の広いスポーツセダンとなるWRX S4のSTIスポーツが販売されているのみとなった。WRXはSTI、S4ともに近い将来スバル新世代のSGP(スバルグローバルプラットホーム)を使ったスポーツセダンとして再出発すると思われるが、現在は充電期間的な時期ということもあるため、WRX STIの歴史を振り返り人気と実力の軌跡を辿る。


「初代モデル(1992年から2000年)」

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歴代WRX STIのベースとなるインプレッサは、レガシィの小型版として1992年に登場。レガシィの小型版というコンセプトは、当時WRC(世界ラリー選手権)にレガシィで参戦していたスバルが、次期マシンのベースとして「戦闘力向上のためレガシィを小さくしたモデルが欲しい」という目的も含まれていた。

その考えは当時ギャランでWRCに参戦してた三菱自動車も同じで、初代インプレッサと同時期に宿命のライバルであるランサーエボリューションをリリースしている。

WRX STIは、当初インプレッサのスポーツモデル並びにイメージリーダーという役割を持ち、EJ20ターボ+4WDの性能機構そのままのWRXとして登場した。その後WRXは軽いボディにパワフルなエンジンということで当時の日本車最強軍団の1台となり、WRX STIは「競技で有利になるチューニングを施したコンプリートカー」として1994年に放たれていったのだ。

特に遅れて追加されたWRX STI RAはRA(レコード・アテンプト、記録に挑戦する)が意味するように、競技ベース車のためエアコン等の快適装備を装着しない代わりに、最後のWRX STIまで続くDCCD(ドライバーズコントロールセンダーデフ)を装備していた。

DCCDの装着により走るシーンに応じた前後駆動力配分をドライバーが選べるようになったほか、ラリーやジムカーナのパーキングブレーキを使った小さなターンの際にはセンターデフがフリーとなり、クルマがクルリと向きを変えるようになるなど、戦闘力は大きく向上した。

WRX STIは1995年のバージョン ll からカタログモデルとなり、ランサーエボリューションとの死闘もあり毎年改良され、バージョンVIまで進化。また初代インプレッサWRX STIにはセダンのほか、スポーツワゴンや1997年からWRCのトップカテゴリーとなったWRカーのベースとなったクーペもあった。


「2代目モデル(2000年から2007年)」

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2000年登場の2代目インプレッサにもベース車から若干遅れてWRX STIが追加された。WRX STIに限らず2代目インプレッサは8年振りのフルモデルチェンジということもあり、ボディ剛性を飛躍的に高めるなど、クルマ自体の質感が大きく向上した。

しかし、WRX STIに関してはボディ剛性の向上などが大幅な重量増につながり、その点は一般ユーザーがロードカーとして使うにはプラスだったが、2代目インプレッサが出た直後に登場したランサーエボリューションVllの性能向上が強烈なものだったこともあり、競技車両としてのポテンシャルやイメージではランサーエボリューションに劣勢なところも否めなかった。

そのためスバルも初期モデルの登場から約1年後の2001年冬に、大幅な軽量化などを施しサーキットなどでの速さに特化したWRX STIタイプRAスペックCを追加。ランサーエボリューションVllと互角の速さを取り戻し、2002年にビッグマイナーチェンジされ俗にC型と呼ばれるモデルでは、フロントマスクの変更に加えエキゾーストマニホールドを等長にするなど数えきれないほどの改良が行われた。

さらに2004年のD型ではタイヤサイズの拡大となり、それに伴いホイールのPDCも100から114.3に変え、耐久性も向上した。

2005年のF型では2代目インプレッサとしては3つ目のフロントマスクに変更されただけでなく細かな改良が多数施される。2006年のG型ではエクステリアなどがジェントルなAラインが追加され、2代目モデルは完全燃焼で3代目モデルに引き継がれた。


「3代目モデル(2007年から2014年)」

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3代目インプレッサベースの3代目WRX STIもベース車から遅れて追加された。3代目モデルの大きな特徴は2つで、1つ目は当時WRCでスバルのドライバーだったペター・ソルベルグ選手の進言もあり、ラリーでの戦闘力を上げるため5ドアハッチバックとなった点。もう1つはクルマの土台となるプラットホームを、当時のスバル車では最新のリアサスペンションの形式となるストラットからダブルウィッシュボーンへの変更がなされたSIシャーシにスイッチしたこと。これにより走りが全体的にしなやかなものとなり、クルマとしての質感が大きく向上することになる。

そのためサーキットでのラップタイムに代表される絶対的な速さは2代目モデルのC型以降に軍配が挙がるのかもしれないが、この頃から絶対的な速さはあまり要求されない時代となっていたこともあり、3代目モデルでのコンセプト変更は大成功だったといえる。

3代目モデルは4代目モデルのS4につながるところも感じる2.5Lターボ+5速ATのAラインや、空力性能の有利さからサーキット向けというキャラクターも持つ4ドアセダンの追加があった。

2010年に4ドアセダンが追加されたタイミングから車名がインプレッサから独立したWRX STIに変わったことも目立ったが、2代目モデルまでのような大幅な改良というのはなかった。


「4代目モデル(2014年から2020年)」

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4代目モデルもプラットホームはSIシャーシを継続し、4ドアセダンのみという成り立ちで、エンジンもFA20ターボではなくEJ20ターボのままだったのは「ラリーをはじめとした競技の現場で即戦力となるよう実績のあるものを選んだため」と言われている。

4代目モデルの改良はランサーエボリューションとの死闘が終わったこともあり、2017年のD型でDCCDの制御や19インチへのタイヤサイズ拡大を伴うブレーキローター&キャリパーのサイズ拡大が目立つ程度だ。それも販売台数や法規対応を考えると「存続に必要な開発資源」が年々大きなものになっているのを考えると、やむを得ないところだったのだろう。

むしろ4代目モデルではハンドメイドされターボチャージャーも変更されたスペシャルエンジンを搭載したS207、S208、タイプRA-AといったSTIのコンプリートカーも存在感を増したことが印象的だった。

そしてWRX STIは昨年の東京モーターショーの出展直後に市販化された、エンジン内部の部品の公差をより少なくしたバランスドエンジンを搭載し、内外装をゴールドのホイールやウルトラスエード巻ステアリングでドレスアップした555台限定のファイナルエディションを花道に絶版となった。

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