【R30型スカイライン】ハコスカ再来の史上最強を名乗ったのRS

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【R30型スカイライン】ハコスカ再来の史上最強を名乗ったのRS

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1980年代は、日本の自動車メーカーにおいてパワーウォーズ時代の幕開けとなりました。「ターボチャージャー」、「スーパーチャージャー」といった過給機、「ツインカム(DOHC)」といったエンジン機構に手が加えられていき、シャシー性能が追い付かないなどという状況が見られたのも、この時代の特徴でした。この時代背景のもとパワーウォーズ時代を牽引していった名車の一台が「日産:スカイライン」のR30型でしょう。1981年8月に登場することになりますが、この「R30型:スカイライン」は、デビュー当初は先代モデル(C210型)のパワーユニットと同様の「L20型:直列6気筒 SOHC エンジン」を搭載する「GTシリーズ」と「Z18型:直列4気筒 SOHC エンジン」を搭載する「TIシリーズ」の2系列でした。また先代モデルまで続いたショートノーズなどは存在せず、ホイールベースは1種類となりました。アメリカの俳優ポール・ニューマンが広告キャラクターであったため、「ニューマン・スカイライン」としての愛称も与えられています。


「エクステリアデザイン」

1980年代初頭の流行であった、直線基調の角張ったボディシルエットが特徴となっていました。また「日産:スカイライン」の伝統のリアフェンダーの「サーフィンライン」はなくなり、リアを大きくすることで名残をデザインにしています。リアのテールライトは丸テールで伝統を残しています。

後期型になると、スモークテールに三本のスリットが入った丸テールに変更されます。対してフロントは、「GT系」はグリルがハニカム形状を採用し、「RS系」は三本グリル(前期型)、グリルレス(鉄仮面/後期型)と特徴的なデザインが採用されました。

グレード体系はボディバリエーションは、4ドアセダン・2ドアハードトップ・5ドアハッチバック・後に追加されるライトバン(エステート)の4種でした。ちなみにハッチバックはスカイライン史上初の設定でした。現在は常識となっているテンパータイヤは、この「R30型:ハッチバック」が日本初採用であり、スペアタイヤに空気圧減圧警告灯なども装備されていました。


「インテリアデザイン」

この当時の日産車の特徴であった直線基調がインテリアデザインでも採用され、プラスチックと絶壁インパネといわれたデザインは、評価が分かれました。それでも、メーターの水平指針は伝統のデザインでしたし、ショックアブソーバーの軽減力を調整できるスイッチがコンソールに配置されるなど革新的な装備も備えていました。

ちなみにメーターは、スピードとタコメーターのサイドに配されていた燃料系、水温計、電圧計(ターボ系はブースト計)などは、前期型は縦表示のスクロールタイプでしたが、後期型は、指針タイプに変更されています。


「パワートレイン」

デビュー当初は、7種類のバリエーションで「L20E型(GT) / L20ET型(GT):直列6気筒 SOHC エンジン」、「Z18S型(エステート・TI)Z18E型(TI) / Z20S型(TI) / Z20E型(TI):直列4気筒 SOHC エンジン」、「LD28型(GT):直列6気筒ディーゼルエンジン」という組み合わせでした。

これに「RS系」の「FJ20E型 / FJ20ET型:直列4気筒 DOHC エンジン」が加わることになります。このパワーユニットに組み合わされるトランスミッションは、3AT/4AT/5MT/4MT、サスペンションシステムは、ハコスカから続くフロント:マクファーソンストラット、リア:セミトレーリングアームという組み合わせでした。


「ポール・ニューマン バージョン」

「R30型:スカイライン」がマイナーチェンジした昭和58年8月の2ケ月後の昭和58年10月に「スカイライン ターボGT・E-S ポールニューマンバージョン」が設定されました。「ポール・ニューマン」は昭和56年8月のR30スカイライン登場当初からイメージキャラクターを務めており、マイナーチェンジで専用グレードの設定となりました。

この時に使われたCMコピーが「ニューマン・スカイライン」でした。GTシリーズのSタイプ最上級グレードの「ポールニューマンバージョン」は、セダンとハードトップ共に設定されていました。後期型になってのドアミラー化が標準となり、8ウェイ電動マルチバケットシートはRS系のXタイプと同じ装備で、シート地、柄などはポールニューマンバージョン専用でした。フットセレクターも標準、195/60R15 86Hタイヤに純正アルミも標準でした。専用のフロントグリル、GT赤バッチ、ボンネット、ボディー両サイドのポールニューマンバージョンのステッカー、リアの専用エンブレムなどが特徴です。


「史上最強スカイライン:RSシリーズ」

1980年代のパワーウォーズ時代を牽引する一台となった「RS」は、1981年10月にNAエンジンを搭載して登場します。ハコスカ・ケンメリ GT-R以来となる「4バルブ DOHC」を採用した、直列4気筒4バルブDOHC FJ20E型エンジン(150PS/6,000rpm、18.5kgm/4,800rpm)を搭載する「2000RS」(DR30型)としてデビューします。ハイスペックエンジンではあるものの、4気筒エンジンだったために「RS(レーシング・スポーツ)」のモデル名が与えられました。

そして、「史上最強スカイライン」として登場するのは、1983年2月のことでKKK製のターボチャージャーを装着した「FJ20ET型(190PS/6,400rpm)」を搭載した「2000ターボRS」(DR30JFT型)が登場しました。

このモデルは歴代スカイラインのどれよりも高出力であったことから「史上最強のスカイライン」というキャッチコピーが用いられることになりました。また、日産は、このモデルでハコスカ以来となるワークスとしてレース(シルエットフォーミュラ:Gr5)に復帰しています。

「ターボRS」から半年後の1983年8月マイナーチェンジにより後期型になり、大型バンパーの採用、RSの後期型は薄型ヘッドランプ、ラジエーターグリルレスのデザインにより「鉄仮面」と呼ばれることになります。また後期型はスモークテールに三本スリットの①テールに変更されています。ラグジュアリー志向のパワーランバーサポート・パワーステアリング・パワーウインド・カセットコンポを装備した豪華仕様「2000ターボRS-X」(DR30XFT型)も追加されました。そして、パワーウォーズ時代を牽引する「RS」シリーズもいよいよ最高出力200psオーバーを迎えます。

1984年2月、インタークーラー搭載モデルである「2000ターボインタークーラーRS/RS-X」(DR30JFS/DR30XFS)を追加するのです。このモデルは「ターボC」と呼ばれています。エクステリアデザインの違いはフロント左下のエプロンにインタークーラーの冷却用開口部が設けられました。また、「RS-XターボC」では、ハイタッチモケット仕様の内装が選択可能となりました。インタークーラー付きFJ20ET型エンジンはグロス表示ながら最高出力:205PS/6,400rpm、最大トルク:25.0kgm/4,400rpmを発生させるポテンシャルを備えていました。


「DR30型:スカイライン 2000RSターボC」:スペック

  • 年式:1984年
  • 型式:KDR30型
  • 全長 × 全幅 × 全高:4,620mm × 1,675mm × 1,385mm
  • ホイールベース:2,615mm
  • トレッド(F/R):1,420mm / 1,410mm
  • エンジン型式:FJ20ET
  • エンジン形式:直列4気筒 DOHC ICターボ
  • 排気量:1,990cc
  • 最高出力:205PS / 6.400rpm
  • 最大トルク:25.0kgm / 4.400rpm
  • 駆動方式:FR
  • トランスミッション:5MT
  • サスペンション(F/R):ストラット / セミトレーリングアーム
  • ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク / ディスク
  • タイヤサイズ(F/R):205-60-R15

「R30型:モデル経緯」

  • 1981年10月:直列4気筒4バルブDOHC FJ20E型エンジン(150PS/6,000rpm、18.5kgm/4,800rpm)を搭載する「2000RS」(DR30型)を追加。GT-Rの再来と期待されたが、FJ20E型が直列4気筒であるがためにGT-Rを名乗らなかったともいわれている。「4バルブなくしてDOHCは語れない」というキャッチコピーが用いられる。同時にZ18S型を搭載する「エステート」が追加。
  • 1982年10月:一部変更。「TIシリーズ」の1,800cc Z18型エンジンを直列4気筒OHC CA18型/CA18E型エンジンへ変更(FJR30型)。「TI Lエクストラ」および「GT Xエクストラ」を追加し、「2000RS」に60%偏平率タイヤを装着。
  • 1983年2月:FJ20E型にターボチャージャーを追加した、FJ20ET型(190PS/6,400rpm)を搭載した「2000ターボRS」(DR30JFT型)を追加。歴代スカイラインのどれよりも高出力であったことから「史上最強のスカイライン」というキャッチコピーが用いられる。また、日産は、このモデルにてハコスカ以来となるワークスとしてレースに復帰。
  • 1983年8月:マイナーチェンジにより後期型へ。前後の意匠変更、大型バンパーの採用等を行う。RSの後期型は薄型ヘッドランプ、ラジエーターグリルレスのデザインにより「鉄仮面」と呼ばれた。パワーランバーサポート・パワーステアリング・パワーウインド・カセットコンポを装備した豪華仕様「2000ターボRS-X」(DR30XFT型)を追加。
  • 1983年10月:日本初のAT専用グレードであるNAの豪華仕様「2000RS-X(DR30XFE型)」、および15インチアルミホイール、ブロンズガラス、専用ステッカーを装備する「2000ターボGT-E・S ポール・ニューマン・バージョン」(HR30JFT型)を追加。
  • 1983年11月:日産50周年記念限定車「50アニバーサリー バージョン」を発売。これは2ドアハードトップ2000ターボRS-Xをベースに、メッキドアミラー、専用エンブレム、「ハイタッチモケット」と呼ばれる専用の内装(後にオプション設定)を備え、白のほかにガンメタ/赤茶ツートンの専用ボディカラーも用意された。同時に特別仕様車「TI ハイ サルーン」も発売。
  • 1984年1月:「2000GT-E・Xパサージュ」(HR30GAE型)を追加。特別仕様車「TI ハイ サルーンⅡ」発売。
  • 1984年2月:インタークーラー搭載モデルである「2000ターボインタークーラーRS/RS-X」(DR30JFS/DR30XFS)を追加。このモデルは「ターボC」と呼ばれる。外観上の違いはフロント左下のエプロンにインタークーラーの冷却用開口部が設けられた。尚、RS-XターボCでは、前述のハイタッチモケット仕様の内装が選択可能となった。インタークーラー付きFJ20ET型エンジンはグロス表示ながら205PS/6,400rpm、25.0kgm/4,400rpmを発生させ、いまだに根強いファンを持つ。キャッチコピーは「クールに乗れ」。
  • 1984年8月:エンジンの点火系を変更した「プラズマスパークシリーズ」を発売。高パフォーマンスのエンジンでのイージードライブを可能とした「2000ターボインタークーラーRS-X A/T」(DR30XAS型)、および「2000ターボGT-E・II」(HR30HFT型)を追加。RS-XのATは4「パワー・エコノミー自動切換式電子制御OD付きフルロックアップ・オートマチック・トランスミッション」であった。またASCD(オートスピードコントロール)を装備し、60㎞/h~100㎞/hの範囲でセットできた。
  • 1984年10月:新塗色「ダークブルー」(111)・「シルバー」(210)・「レッドメタリック」(329)・「ブルー/グレー ツートン」(434)追加。
  • 1985年8月:モデルチェンジによりR31型に移行するが、5ドアハッチバックは廃止となる(12代目にクロスオーバーとして再登場)。エステート(バン)は1990年2月まで継続生産されるが、こちらもこのモデルを最後に廃止された(後継車はアベニールカーゴ(1990年5月 – 1999年6月)、現在はADエキスパートが販売されている。

「モータースポーツでの活躍」

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「ハコスカGT-R(PGC10 / KPGC10)」以来のモータースポーツへのカムバックとなった「R30型:スカイライン」ですが、モータースポーツへは、当時人気だった「シルエットフォーミュラ Gr5」シリーズで「スカイライン スーパーシルエット」としてサーキットに姿を現しました。

6代目スカイライン(R30型)の「RS」モデルをイメージしたワイド化されたボディに、パイプフレームで組み上げられたシャシー、そこにモータースポーツ専用の「LZ20B」型、直列4気筒DOHC 2.0リッターターボエンジンを搭載。車両重量1005kgでありながら、最高出力419kW(570PS)以上/7600rpm、最大トルク539Nm(55kgm)以上/6400rpmを発生するモンスターマシンでした。

サイド出しのマフラーから噴き出すアフターファイアーの炎が印象的でした。実際のレースでは、「トミカ・スカイライン」として日産ワークスの長谷見昌弘選手がステアリングを握り、1982年のスーパーシルエットレースで2勝、1983年には4勝という成績を残しています。


「エンターテイメント(映画・ドラマなど)」

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この「R30型」は、エンターテイメントにおいても多くのファンを魅了しました。

刑事ドラマ「西部警察」においては、大門軍団の特殊車両の前期型のRSは「赤/黒」ツートンカラーに西部警察エアロパーツのエクステリア、特殊装備によってインパクト絶大でした。また映画「首都高トライアル」シリーズにおいては、1作目では前期型の「ガンメタ/黒」の「RSターボ」、2作目では後期型の「赤/黒」の「RSターボ」が登場していました。


「中古車相場」

「RS」シリーズは、デビュー当時から人気がありファンに支えれてきたこともあり、タマ数も旧車の割に残っています。しかし、「GT系」などになると、現在では大変希少なモデルとなっており中古車市場に流通することはあまりないというのが現状です。

  • RS系:100万円~ASK
  • 平均相場:200万円前後
  • GT系:100万円~200万円
  • 平均相場:150万円前後
  • TI系:100万円前後

「R30型:カスタム」

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L型搭載モデルは、ソレックス、タコ足、マフラーなどキャブレター仕様、L28換装などメカチューンが多いようです。パーツもL型は豊富なために幅広いカスタムを施されているようです。

FJ搭載モデルであれば、2.1Lへのボアアップ、キャブレター仕様にタコ足、ストレートマフラーなどのNAメカチューン、エンジンブロックの強度が高く500psオーバーのチューニングにも耐えるとされるために、タービンの変更、インタークーラーの大型化、エキマニやウエストゲートなどハードにエンジンをチューニングしている車両もあります。また電子制御といっても精度がよくないためにAACバルブが詰まってエンジン不調をよく起こすために「パルサーGTI-R」のCPUやモーテック、FコンVプロなどの制御システムに変更しエアフロレスにしてセッティングしやすくする方法も定番です。この時代の車はマフラーの取り回しが複雑で廃棄効率が悪いために、マフラーを社外品に変更することでポテンシャルを向上させるということは必須です。足回りはブレーキをMK63など「R32型:スカイライン」を移植が定番です。そして、トランスミッションも「R32型:スカイライン」を移植することが耐久性やシフトフィールの向上となるようです。ボディ剛性は、ピラーのある4ドアの方が有利とされ、実は2ドアモデルよりもボディも軽量となっています。そのために2ドアモデルにおいては、センターバーやロールケージなどによってボディ剛性を向上させた方が良いとされています。

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