あわせて読みたい記事:【日産スカイラインGT-R(R32型)】トップシークレット仕様
あわせて読みたい記事:【マツダ・サバンナRX-7 グループB】WRC参戦モデルの価格
あわせて読みたい記事:【フェアレディZ32】世界記録のボンネビル最高速仕様のスペック
1998年3月、「スバル」はブランド誕生40周年と、3年連続でのWRCマニュファクチャラーズ・タイトル獲得を記念して「スバル・インプレッサWRX STi」の限定バージョンとして「インプレッサ22B STiバージョン」を400台限定生産ということで発表しました。
この「インプレッサ22B STiバージョン」は既にスバルを象徴する存在だった2ドアのワールドラリーカーの公道バージョンとして発売されたのでした。
非常に手の込んだ手作業による生産となった「インプレッサ22B STiバージョン』は、2ドアボディを採用する「インプレッサWRXタイプR STiバージョン」をベースに鋼板プレス製のブリスターフェンダーを前後に装着し、手作業によって行われる架装モデルであるために、リヤのフェンダーにいたっては、ホワイトボディのリヤクォーターパネルを一度切断してからブリスターフェンダーのパネルを溶接するという、平成になってからの日本の自動車メーカーではありえない手の込んだ工程を要していました。
それゆえに1日の生産台数は2台といわれていたようです。ブリスターフェンダーとなったホイールアーチに、当時においては迫力の大型リアスポイラーがエクステリアのポイントとなっていました。
1998年3月から8月にかけて、日本国内市場向けには400台の「インプレッサ22B STiバージョン」が生産されたようですが、イギリスとオーストラリア向けは、それぞれわずか16台と5台のみだったようです。イギリス向け車両はスバルのラリーチームであるプロドライブによって、最終減速比が高められ、マイル表示の速度計とイギリス仕様に変更されたヘッドライトを持つモデルとなっていたようです。しかし、プロドライブがこれら16台をなんとかイギリスで登録できるようにする前に、すでに熱心なスバリストたちの手によって、50台以上が日本からイギリスへと輸入されていたということです。
ちなみにモデル名の「22」は、排気量:1,994ccから2,212ccへと拡大されたそのエンジン排気量に由来しています。公式にはターボ付きフラット4の最高出力は280psとされていましたが、実際には300psオーバーのパワーが出ていたといわれています。そして、「B」はダンパー・サプライヤーの「ビルシュタイン」の頭文字です。そして、この車名にはもうひとつの説があるようで、「インプレッサ22B STiバージョン」とは長くスバルのWRCスポンサーをつとめたタバコブランドの555を16進数で表したものということです。
そのほかにエンジンとダンパー以外にも、クラッチはセラミックメタルのツインプレートとなり、ホイールサイズもベースとなったインプレッサWRX STiの16インチから17インチへと拡大されています。価格は発売当時「500万円(4万ポンド)」程度でしたが、現在ではおよそ「1,063万円(7万ポンド)」で取引されているようです。
ちなみに2017年に「スバル・インプレッサ 22B STI」のプロトタイプがオークションに出品された際には1,589万円を記録しました。当時実戦のパートナーだったプロドライブが開発に関与し、1997年の東京モーターショーに展示された車両だったことに加えて、展示された後に長期間保管されていたこともあり走行は51kmと新車と変わらないコンディションとシリアル・ナンバーが0のプロトタイプであることが評価されての落札価格となっていたようです。