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【IMSA 300ZX-GTS-1】Z32レーシングがレストア
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「日産:フェアレディZ」は、初代の「S30型」から多くのファンを魅了し大ヒットモデルとなっただけでなく、「サファリラリー」や「TSレース」などモータースポーツでの活躍も評価されました。そのDNAを継承し、アメリカのモータースポーツで活躍した「Z32型」はデビュー時には日本国内の280PS自主規制を促したとされるモデルであり、そのスタイリングからスポーツカー好きを魅了したモデルでした。そして今回、紹介する「Z32型:フェアレディZ・IMSA 300ZX-GTS-1」は、長らく眠りについていた1台でした。しかし、「日本のレーシングカーが元気で走る姿を再び見たい!」というオーナーの想いによりレストアされ、息を吹き返した個体です。というのも「IMSA 300ZX-GTS-1」というマシンは、アメリカの「IMSAシリーズ」のGTOクラスをメインに戦っていたマシンでした(1995年にGTS-1へクラス変更)。
「IMSA 300ZX-GTS-1」:ヒストリー
ヒストリーとしては1990年から1995年までは、アメリカのレースチーム「カニンガム・レーシング」からIMSAシリーズに参戦、1996年から1997年は日本の「JGTC選手権(現在のSUPER GT)」にも参戦していました。1994年には「セブリング12時間レース」総合優勝、「デイトナ24時間レース」総合優勝、「ル・マン24時間」レースクラス優勝という、華々しい戦歴も持っているマシンなのです。そして今回、レストアされた個体は、1994年から1995年までをIMSAシリーズで戦い、その後1997年までJGTC選手権に参戦していた車両なのです。
「レストアの経緯」
この「IMSA 300ZX-GTS-1」のオーナーであり、レストアを実施した「JMIA(日本自動車レース工業会)」会員の「株式会社PEAKS」代表の「細井」氏は、幼いころからモータースポーツが大好きで、長くモータースポーツ業界に身を置いてきた人物です。「細井」氏は、日本のレーシングカーが海外へ売却されていく様や人知れずお蔵入りとなって走れなくなっていく様子を見てとても残念に思っており、「日本のレーシングカーをもう一度レーシングスピードで走らせたい!」と業界の仲間たちに話していたそうです。すると、「自身でレストアしてみたらどうだ?」と声をかけられ、タイミングよく御殿場にガレージを持つ「チーム・ルマン」に眠っていた、この「IMSA 300ZX-GTS-1」を購入できる話が舞い込み、レストアを決意したということです。「細井」氏の願いは「レーシングカーを当時のレーシングスピードで走らせること」でした。そのため、展示目的のレストアではなく、実際に走行できるコンディションを目指してレストアされているということです。
この「IMSA 300ZX-GTS-1」は、1997年のクラッシュを最後にモータースポーツシーンから遠のいていましたが、幸いにも一度、アメリカの「カニンガム・レーシング」で修復されており、エンジンはオーバーホールされていました。日本に戻ってきたあとも、チーム・ルマンで定期的にエンジンを掛けていたためエンジンの状態はよかったそうです。しかし、エンジン以外の主要ユニットであるトランスミッションや足回りなどはすべてバラし、組み直したとのことです。「細井」氏が代表を務める「株式会社PEAKS」は、レーシングカーの部品を設計・製造している会社。そのため、部品を作ることはそれほど難しくなかったそうですが、カラーリングの再現に苦労したということです。1990年から1997年と、レーシングカーとしては長い期間、活躍していたマシンであるため、さまざまな時期の写真が混在しており、特定の仕様を再現するのに困難を極めたそうです。最終的に、1995年のセブリング12時間耐久レース仕様が再現されました。
ちなみヘッドライトを再現したステッカーは、数少ない「当時そのまま」のポイントだそうで忠実に再現されレストアされていることを知ることができます。今後はイベントで展示し、多くの人に見てもらえる機会を作りたいとのことです。しかも、柵で囲うことはせず、誰でも運転席に座れるスタイルで展示するそうです。これは、「実際にレーシングカーに触れて、そのカッコよさを肌で感じてほしい」という「細井」氏の想いからです。また、レーシングスピードで走らせるために、現在もレストアは続けられています。最終的には売却することも考えているそうですが、「ちゃんと走らせてくれる人でなければ売らない」と「細井」氏はコメントしています。また「細井」氏は、今後も可能な限り日本に眠っているレーシングカーを復活させ、「いつかはグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードのようなイベントを日本で開催したい」と、コメントしています。
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