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WRCで活躍しストリートでも速さが一級品だった「三菱:ランサーエボリューション」のルーツといえるのが、1981年に追加モデルとして登場した「三菱:ランサーEX 1800GSRターボ」でした。パワーユニットとなるエンジンは、「G62B型:1795cc直列4気筒OHC」ユニットに三菱重工製TC05型ターボチャージャーの過給器とECI(電子制御燃料噴射装置)を組み込んだ新開発エンジンを搭載していました。型式は「ランサーEX 1800GSRターボ(A175A型)」となっています。スペックは最高出力:135ps、最大トルク:20.0kg・mのパワー&トルクを発生すエンジン、組み合わされたのは専用セッティングの5速マニュアルトランスミッション、強化した足回り、さらに逆像の“TURBO”ロゴを貼った大型エアダムスカートや専用ストライプなどを装備していました。このスペックは、ベースエンジンの1.8Lが最高出力:100馬力、最大トルク:15.0kgmとなっていたのでパワーで約35%、トルクで約33%アップとなっていました。そして、1983年11月になるとマイナーチェンジを行い、ターボ付きG62B型エンジンに空冷式インタークーラーを装備することによってパワー&トルクは160ps/22.0kg・mにまで向上していました。また、サスペンションのセッティング変更やブレーキ系統の強化、ステアリングギア比の見直し、ボディのスポット溶接増し、エアロパーツの一部リファインなど完成度が向上しました。
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1981年には欧州仕様のランサーEX2000ターボをベースにした車両でWRC(世界ラリー選手権)の舞台に復帰。再デビューの起点は1981年開催のアクロポリスラリーで、このシーズンは4戦にエントリーしています。マシンの熟成が進んだ1982年シーズンでは、8月の1000湖ラリーでペンティ・アイリッカラ/ユハ・ピロネン選手組が総合3位に入賞という成績を残しています。しかし、翌年からは4WD勢が圧倒し苦戦を強いられています。
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「ボズスピード」社が手掛けた「ランサーEXターボ(A175A型:通称ランタボ)」は、徹底したレストアにより、バツグンのコンディションを保っているだけでなく、HKS製の制御システムである「F-CON Vプロ」や最新の電気式ブーストコントローラーなどは使わずに、当時のパーツでフルチューンされているのが大きなポイントといえるでしょう。
パワーユニットとなるエンジンは、HKS製の85.5φ鍛造ピストンと4G63型エンジン用クランクシャフトを組んだ2.0L仕様に仕上げられています。カムシャフトは、HKS製(IN/EX260度)に交換され、燃料系はノーマルのシングルポイントインジェクションを残したまま550ccインジェクターを2本追加し、制御システムとしてレビックでコントロールし、燃調はPFC-Fコンで制御されています。
そこにTD05-18Gタービンを組みあわせ、最大ブースト圧1.2キロ時に最高出力:320psを発揮するセッティングが施されています。そして、「ランサーEXターボ(ランタボ)」はエアフロからの信号がフィードバック制御の補正程度にしか使われていないため(基本はスロットル開度とエンジン回転数で燃調を制御)、撤去してもエンジンを始動できるということです。そのため、PFC-Fコンで燃調をセッティングするだけで、エアフロレス仕様にすることができるということです。
ボディ剛性の低さが目立つボディは、補強すると補強していない部分にしわ寄せがくるため、5点式ロールケージを這わせたくらいでその他に特別なことはしていないということです。ダンパーもそれに合わせたセッティングで、低めの減衰力でしっかりストロークさせることで荷重移動をしやすくされています。
インテリアはスパルタン仕様です。メーター類はブースト圧や油温計にプラスして工業用の排気温計を導入しているのがポイントです。これは設定温度に達しなくても、明らかに異常なスピードで温度が上昇したときなどにもワーニングランプが点灯する。