【スタリオン4WDラリー】市販されなかった幻のスペシャルマシン
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「三菱自動車」の幻のラリーマシンである「三菱・スタリオン 4WDラリー」は、当時のグループB規定車両で競われていた「WRC(世界ラリー選手権)」への参戦とホモロゲーション用車両の市販を視野に入れて開発されたモデルで、1983年の東京モーターショーにおいて展示されました。ドライブトレインとなるエンジンは最高出力:360ps、最大:トルク32.0kg-mを発生させるSOHCヘッドの排気量:2,091ccにインタークーラーターボ付き シリウスDASH3×2エンジンが搭載され、4WDシステムにはビスカップリング式4WDを採用されていました。しかし、実際に開発されたマシンには、この「シリウス・DASH3 エンジン」ではなく、「三菱・ランサーEX2000ターボ(通称:ランタボ)」に搭載された2バルブの「G63型」エンジンをベースに2,140ccにまで排気量をアップさせ、更なるチューニングが施された「G63B’型」が搭載されていたようです。
迫力のエクステリアデザインは、フロントのオーバーハングが切り詰められ、丸型ヘッドランプと大型フォグランプを装着し、FRP製のボンネットにエアインテークが設けられていました。また、フロント・リアともにオーバーフェンダーが装着され、リアスポイラーに内蔵されたオイルクーラーなどが特徴となっていました。1983年2月にテスト1号車の「T1」マシンが、4月に2号車の「T2」マシンが完成し精力的なテストが行われ、仮想敵とされた当時のWRCの最強マシンであった「アウディ・クワトロ」を上回るコーナーリングスピードをマークするなど、高いポテンシャルの一角を見せていました。
翌年となる1984年に市販車生産計画の中止が決定するも、その後も各種ラリーのプロトタイプクラス出場と後継モデルの為の技術開発のため開発は続けられ、同年8月のミルピステ・ラリーのホモロゲーションなしでも参加できるエクスペリメンタルに出場し、クラス優勝を飾っています。その後も、11月のRACラリーには特別枠のプロトタイプクラスに参戦し完走するなど各種ラリーレースに参戦していました。その後、「三菱・スタリオン 4WDラリー」で培われたハイスピード4WDの技術は、後の「三菱・ギャランVR-4」や「三菱・ランサーエボリューション」、「三菱・GTO」に活かされることになっていきました。なお、同モデルの総生産台数は5台と極めて少なく、しかもその内現存するのは3台(日本に2台、イギリスに東京モーターショー仕様が1台)だけと、「幻の一台」となっています。
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