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1982年5月14日に「ヘラクレスの愛馬、アリオンが今、星になって帰ってきた(車名の Starion は、英 Star と同Arion ) 」のキャッチコピーでデビューした「三菱:スタリオン」。デビューした当初はパワーユニットに「G63B」型の直列4気筒SOHC2バルブ、サイレントシャフト付き2,000ccECIターボ(タービンは三菱TC05-12Aを採用)エンジンと、同キャブレター式自然吸気エンジンの2種類でスタートしました。
後に、日本車の市販車で初の空冷式インタークーラーターボを装備するモデルで、可変バルブ機構式3バルブエンジン+インタークーラーターボの「G63B」型:シリウスDASH3×2エンジンを積んだ「2000GSR-V」、3ナンバーサイズとなるブリスターフェンダーを採用した「2000GSR-VR」、サイレントシャフト付き2,600ccの「G54B」型エンジンにインタークーラーターボを装着した2バルブエンジン(シリウスDASH3×2ではない)を積む「2600GSR-VR」が登場しました。ポテンシャルとしてはアメリカ市場を意識していたため、低〜中回転域を重視したトルク重視のエンジンセッティングとなっているのが特徴で、2,600ccエンジンの最高出力は175psであったものの、最大トルクは32.0kg-mを発揮していました。そして、アメリカ市場を考慮し「クライスラー」社にもOEM供給され、「ダッジ」と「プリムス」から「コンクエスト(Conquest)」のモデル名で販売されていました。 全世界での販売を狙い200キロオーバーの巡航性能なども盛り込まれて設計されており、WRCなどの国際ラリーにも積極参戦し、グループBラリーに向け4WDモデルなどの開発が進められていました。さらに映画「キャノン・ボール」では「ジャッキーチェン」の愛車として登場した他、テレビドラマ「ゴリラ」ではガルウイング化された車両が主役級マシンとして採用されるなど、多くのファンを魅了してきたモデルです。今回、紹介するカスタムマシンは北米仕様の2.6Lブリスターフェンダーモデル、つまり「コンクエスト(Conquest)」です。そしてカスタマイズを施したのは、最新のメカニズムをインストールしエンジン換装チューニングを得意とする「C&Yスポーツ」社です。
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今回のカスタムマシンのベースモデルは、2.0LのG63B型インタークーラー付きターボエンジンを搭載したワイドボディの2000GSR-VR。車両型式はA184A。このモデルは1987年に限定50台で発売し、実際には約70台が生産されたモデル。全幅はナローボディの1695mmに対し、ワイドボディは1745mmの3ナンバーサイズ。ただし、同じワイドボディでも2600GSR-VRとはフロントスポイラーの形状が異なっている。この希少モデルのSOHCエンジンにギャランVR-4のDOHCヘッド流用している。
同じG63系エンジンとはいえ、横置き用にレイアウトされたヘッドを縦置きブロックに組み合わせるには、ブロック側の水穴加工や冷却水の取り回し変更が不可欠。そしてDOHC化において最大の壁となるのがインマニの加工。一般的にはVR-4用をベースに逆転させるが、この車両は、ランサーエボリューションIII以降のインマニを削り出しのポート変換アダプターを介して装着している。腰下は東名製1mmオーバーサイズピストン装着で2043ccに排気量アップ。コンロッドは純正を鏡面加工、クランクシャフトはバランス取りしたものが組み込まれる。また、ウォーターポンプ加工によってウォーターラインも独自の取り回しとしている点に注目だタービンは純正のTD05よりも大型のTD06Hをセット。エキマニをワンオフ製作してマニ上取付けとしている。それに合わせてインタークーラーも大容量のエボⅣ用を流用。パワーはノーマルの170psから365psまで向上している。この他、エンジン制御の要となるエアフロメーターは、エボⅥ純正のホットワイヤータイプ。インタークーラーはエボⅣ純正。ドライブトレインもミッションとデフ、ドライブシャフトまでフルに2600GSR-VR用を総移植。前後ブレーキキャリパー&ローターはGTO用に変更。パワーを主張する砲弾型マフラーはステンレス製のワンオフ品。ミッションやデフ、ドライブシャフトは2600GSR-VR用を流用。クラッチはFC3S用の強化品を加工して流用している。
追加メーター、ロールバーも装着されたインテリア。純正メーターは中央にブースト計を配したアナログ3眼タイプで、コーンソールに各種スイッチを配置。2000GSR-VRは5速MTのみの設定。