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市販車初のターボ車は、1973年に登場した「BMW:2002ターボ」。国産車では1979年の「日産:セドリック(5代目 430型)」が最初のモデルでした。1980年代は自動車メーカーにおけるパワーウォーズが勃発し、各自動車メーカーがターボチャージャーやスーパーチャージャーを装着したモデルが発表されました。とりわけ排気ガスの勢いでタービンを回し、その回転力でコンプレッサーを回して吸入空気を圧縮して、実質的に排気量アップと同じ効果を生み出すターボチャージャーは多くのモデルに装着されており、このターボの特性に多くの人が魅了されていきました。特性としてはターボの容量が大きければ、より大きなパワーが得られるが、反面、排気ガスの勢いが弱い領域=低回転域ではターボの働きが弱く、過給が不足し十分なトルクを発生しない。しかし、ある程度、エンジンの回転数が高まると、排気ガスの勢いが増し、ターボも元気よく回り出して、大きなトルクを発揮してくれるというものでした。 ターボはもともと航空機用の技術で、船舶にも広く使われているが、旅客機や船舶と違い、クルマの場合、頻繁に加速と減速を繰り返すので、エンジンにはパワーだけでなくレスポンスが要求されます。そのため、クルマ用のターボエンジンは、排気量にあった大き過ぎないターボを選ぶのが原則で、小さなターボを2つにしてツインターボ化したり、セラミックターボで軽くしたり、軸受けをボールベアリングにしたり、羽根の形状を工夫したりして、よりレスポンスのいいドライバビリティのいいエンジンになるよう、工夫と改良を重ねてきました。そんな使い勝手のいいターボエンジンができ上がる前、初期のターボエンジン搭載車は、ターボの制御が未熟で、過給がかからない負圧の領域では、トルク不足が顕著で加速は鈍く、過給がかかりはじめると、ドンといきなりトルクが出るクルマがあって、こうした特性を“ドッカンターボ”と呼んでいました。扱いづらいし、褒められたものではないのだが、ターボの効果が体感しやすかったことから、当時は魅力を感じていた人も少なくなかったのです。では、1980年代~1990年代に登場した「ドッカンターボ」の代表車種と呼ばれるモデルを振り返ってみたいと思います。
1983年に「史上最強のスカイライン」というキャッチフレーズで追加された、「R30型:スカイラインRS」のターボモデルです。
「ケンメリGT-R(KPGC110型)」以来のDOHCエンジンであるFJ20エンジンにターボを装着し、当時最強の最高出力:190馬力を達成し、翌年には、インタークーラーターボの「ターボC」(205馬力)がデビューし、スカイライン史上最初の200馬力オーバーになりました。しかし、2000~3000回転はトルク不足が顕著でした。しかし、4000回転を超えると目の覚める加速力を発揮し、それがスカイラインファンを魅了しました。いまでも後期型の「鉄仮面」は人気があるモデルです。
初代モデルの「ホンダ:シティ」。そして追加モデルの「ブルドッグ」は1983年に登場した「ホンダ:シティ ターボII」の愛称でした。
エンジン回転数が3,000rpm以下の時にアクセルを全開にすると、10秒間だけ過給圧が10%アップする「スクランブルブースト」と呼ばれる、一種のオーバーテイクボタンが標準装備で、ドッカンターボの特性を積極的に楽しめる仕様になっていたのがじつにユニークなモデルです。インタークーラーターボで最高出力:110馬力を発生。ただし車重は735kgと超軽量でした。ボンネットのパワーバジルと前後のオーバーフェンダーが象徴的だったエクステリアデザイン。サーキットでは横転するマシンの状況が多々ありました。
ランエボシリーズのルーツ、「三菱:ランサーEX1800ターボGT」、通称「ランタボ」が、走り屋たちにとって最初のターボモデルでした。
「ランタボ」のターボチャージャーは、もちろん世界的なブランドでもある三菱重工製のTC05型ターボチャージャーを装着していました。前期型は1800ccで最高出力:135馬力、19年に登場した1800GSRは、水冷式インタークーラー付で最高出力:160馬力へと向上させていました。
ドッカンターボといえば、このクルマを抜きには語れない象徴的なモデルです。1988年デビューで、V6の3シッターエンジンにターボを装着していました。
当時としては大パワーの最高出力:255馬力を発生し、ATに任せてアクセルを床まで踏んづければ、リヤがグッと沈み込んで、スポーツカー顔負けの加速を誇りました。3ナンバーの大型ボディのフル加速は大迫力で、人気車種になりました。そういう意味では、リヤサスが柔らかく、加速時に沈みやすいのも、ドッカンターボの大事な味柄だったかもしれません。
平成元年にデビューしたスターレットのターボモデル、「トヨタ:スターレットターボGT」も過激なクルマでした。
車両重量830kgの車体に、DOHC1.3リッターターボの135馬力を搭載。FFでは十分なトラクションが得られず、完全にパワーが車体に勝っていた一台でした。路面が濡れていたり、ブーストアップなどのチューニングが施されているなら、容易にホイールスピンが起こってしまうモデルです。