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世界的な大ヒット映画『ワイルド・スピード』シリーズ。2001年から始まったカーアクション作品で、日本のファンからは『ワイスピ』という愛称で親しまれ、既に公開されている8作品の累計興行収入は、なんと5,400億円を突破しているモンスター映画。多くの名車、旧車、スーパーカーが登場し、しかもカスタマイズされたマシンがカーアクションを繰り広げることでファンを魅了しています。最新作にしてシリーズ9作目の『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』は、2020年1月31日に予告編が公開されると、24時間で5億回の再生回数を突破し世界的に次回作への期待と「ワイルドスピード」シリーズの人気の高さを示しました。毎回、世界的な名車、旧車のカスタムマシンが登場し多くのクルマファンを魅了している映画ですが、今回はシリーズの3作目のカスタムマシンに注目しました。「ワイルドスピード×3 Tokyo Drift」に関する逮捕事件についてです。
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「ワイルドスピード」シリーズの中でも異色を放っているのが、2006年に公開されたシリーズ3作目の『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』でしょう。本作の主人公は、シリーズの主人公であるドミニク・トレットでもブライアン・オコナーでもなく、米アリゾナから転校してきた高校生のショーンという設定。さらに、物語の舞台もアメリカから日本へと変え、新たな伝説が刻まれることとなった作品です。また『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』では、シリーズの人気キャラクター、ハンが初登場したシリーズでもありました。また、日本が舞台ということもあり、妻夫木聡や北川景子、真木よう子、そして伝説の元レーシングドライバーの土屋圭市など、数々の日本人キャストも出演した作品でもありました。
そして、『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』では、渋谷のセンター街など、世界でも有名な日本の景色が映し出されています。町並みや雰囲気からも日本の要素をたくさん感じられる作品となっていますが、実はその風景には大きな秘密が隠されているというのです。
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『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』の監督で、映画『スター・トレック BEYOND』やドラマ『S.W.A.T.』などの監督も務めている「ジャスティン・リン」は、東京が舞台の本作を、日本で撮影したいと考えていました。具体的には、日本で最も混雑した場所の一つである渋谷のスクランブル交差点で、車が猛スピードで駆け抜ける絵を撮りたかったということです。
しかし現実的には、東京は外国映画にとって撮影の許可を取るのが最も困難な場所の一つとして知られています。「ジャスティン・リン」監督も、映画スタジオのユニバーサルもそのことについては承知済みでした。実際、日本を舞台にしたほとんどの海外映画は、日本ではない別の場所で撮影されています。1967年に公開された映画『007は二度死ぬ』は日本が舞台となっているけれど、実はそのころからずっと日本での撮影は規制が厳しいのです。交渉のプロセスには費用がたくさんかかる上に、面倒ごとが多いため、日本で撮影することはかなり少ないということです。2003年に「ソフィア・コッポラ」監督が映画『ロスト・イン・トランスレーション』を日本で撮影するために、長い時間をかけて交渉を続けたケースもあるものの、「ジャスティン・リン」監督は当時まだ新人だったため、交渉することができなかったというのです。そのため、実は『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』はほとんどアメリカのロサンゼルスで撮影されているということです。
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しかし、どうしても撮影を諦めきれなかった「ジャスティン・リン」監督は、日本ロケを無許可で敢行します。驚くべきことに、現場で「何か」が起こったときのために罪をかぶるダミーのスタッフまで用意して、渋谷での撮影を行なったということなのです。
撮影直後、すぐに警察がやってきてクルーはエリア外に追い出されることに。そのとき責任者である「ジャスティン・リン」監督を逮捕しようとしたため、ダミーのスタッフが「私がリンです」と名乗りを上げ、警察で夜を明かしたそうです。このようにして、「ジャスティン・リン」監督はなんとか映像を撮ることはできたけれど、結局ほとんどの渋谷のシーンは特殊効果で作成されました。一連の騒動については、「ジャスティン・リン」監督監督自らアメリカのDigital Spyで明かしています。