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「ホンダ:シビック」シリーズは、初代モデルから「トヨタ:スターレット(KP47)」、「日産:サニー(B110)」などと良きライバルとしてモータースポーツで活躍してきました。3代目モデルとなると「トヨタ:レビン/トレノ(AE86)」との熾烈な戦いとなっていきました。1985年、FIA(国際自動車連盟)が定めるグループA規定によって全日本ツーリングカー選手権(JTC)が開幕しました。そのシリーズは、レース参戦マシンはボディ外装の変更は認められないため、街中を走っているクルマと同じ見た目のレースマシンがサーキットで活躍するため人気となりました。 エンジン排気量によって3つのクラス分けが行われ、排気量が小さく、最も身近に感じられたクラス(ディビジョン1)では「カローラ・レビン(AE86型)」がシリーズ初年度ということもあり、2リッター・ターボのマシンを抑えて総合優勝を果たす活躍を見せていました。そのクラスに、「ホンダ:シビック」がシーズン途中よりエントリーを開始することになります。
ベースモデルとなったのは3代目モデルの「ワンダー・シビック」。ホンダにとってS800以来のDOHCとなる1.6リッターZC型エンジンを搭載し、1984年に追加された3ドアの「シビックSi(AT型)」でした。
「無限」によって製作されたマシンは、後に日本人初のF1レギュラー・ドライバーとなる「中嶋悟」などのドライブによって総合優勝も果たしているが、シリーズの栄冠を獲得することはできていません。翌1986年は「AE86:レビン」に加え、駆動方式に「シビック」と同じFFを採用した「カローラFX(AE82型)」もライバルとして台頭してきます。シーズン通じてカローラ勢が2度総合優勝を飾り、この年も「シビック」は栄冠を逃しています。
続く1987年は大きく流れが変わります。後に不動のシビック使いペアとなる中子修/岡田秀樹組が圧倒的強さでクラス6戦全勝を飾ったのです。ホンダに初のマニュファクチャラー&ドライバーのダブルタイトルをもたらしました。1987年は4代目の「グランド・シビック」にモデルチェンジしたこともあり、市販モデルも高い人気を誇った「ワンダー・シビック」はレース・シーンでも有終の美を飾ることになりました。
ホンダのレース車開発の「無限」は、もともと素性の良さで評価の高い「シビック・1600Si(AT型)」を1985年のグループA規定による全日本ツーリングカー選手権に投入します。
フロントに横置き搭載されたZC型エンジンは、1.6 L直4DOHC。ノーマルスペックはグロス値で最高出力135ps/6500rom、最大トルク15.5kgm/5000rpmというもの。これをアルミ鍛造のハイコンプレッションピストンや、カムシャフトのプロファイル変更、H型断面の軽量コンロッドなどで、ネット値で最高出力170ps~180ps(後期型:225ps以上)/7500rpm~8500rpm、最大トルク16.0kgm(後期型:20.0kgm以上)/7000rpmまでチューニングしていました。
サスペンションはストラット/トーションビームのノーマル形状を維持するが、フロントロアアームはレース用の強化タイプが採用される。ショックアブソーバはショーワ製で減衰力調整機構付きを装着。フロントストラットの傾きを大きくつけることでネガティブキャンバーとしているのはアンダーステア対策です。
ブレーキはノーマルではリアがドラムになるが、前後ともディスクブレーキ。フロントはロッキードの4ポットキャリパーとベンチレーテッドディスクの組み合わせ。リアはシングルピストンとソリッドディスクの組み合わせとなっています。
ホイールはセンターロック式でフロント/7J-15、リア/6.5J-15を採用しています。車重はグループA規定で800kgだが、もともと軽いためにウエイトを積み規定に合わせる方向となった。
クラスのライバルとなるAE86がだいたい840kg前後ということでした。