【RMオークション】最古のポルシェ・タイプ64のスペック・価格

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【RMオークション】最古のポルシェ・タイプ64のスペック・価格

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「ポルシェ」のルーツとされている現存する「世界最古」のポルシェである1939年式の「ポルシェ・タイプ64」。この「タイプ64」は別名「60K10」とも「ベルリンローマ速度記録車」とも呼ばれ、ポルシェが1938-1939年にかけて3台のみ製造したモデルです。なお、「速度記録車」の名の通り、「ベルリン-ローマラリー」において最速を狙ったクルマで、その意図としては「ドイツの国力アピール」だったと言われます。


「ベースモデルは、kdfワーゲン」

ベースとなったのは「フォルクスワーゲン・タイプ1(KdFワーゲン)」つまり「ビートル」でした。「フォルクスワーゲン・タイプ1」そのものは、1933年にポルシェ創業者、「フェルディナント・ポルシェ」がヒトラーと協力して作り上げたクルマですが、ヒトラーは(国力誇示のため)さらなる高性能車の製造を「フェルディナント・ポルシェ」に指示し、出来上がったのがこの「ポルシェ・タイプ64」というモデルになるのです。

基本構造は「フォルクスワーゲン・タイプ1」に準じており、しかし「タイプ1」を「より軽く、よりパワフルに」改造したもので、スパッツなど空力改善パーツが取り付けられているのが「ポルシェ・タイプ64」の特徴(このあたりの”ハイパフォーマンスモデル”製造についての方針は当時から今に至るまで変わってない)です。

なお、ポルシェ自身は1948年に製造を開始した「356」をブランドのルーツとしており(よって2018年には70周年キャンペーンを大々的に展開した)、つまりこの「ポルシェ・タイプ64(1939)」をその歴史から葬り去り、なかったことにしている、ということになるようです。この「ポルシェ・タイプ64」もポルシェのエンブレムを装着した「立派なポルシェ」ではありますが、あまりにナチとの関係が深いクルマであること、そして「フェルディナント・ポルシェ」が終戦後に「ヒトラーに協力した」という罪にて戦犯として逮捕されたことから「歴史的に認めたくない」のかもしれません。

なお、「事実上、最初のポルシェ製スポーツカー」でもある「ポルシェ・タイプ64」のベースが「フォルクスワーゲン・ビートル」であることから、「ポルシェはビタミン剤を飲みすぎた(今風に言うと”ドーピング”)ビートル」と揶揄されたこともあるモデルです。


「ポテンシャル:最高出力・最高速度」

「ポルシェ・タイプ64」のエンジンは(タイプ1のエンジンをチューンした)1,131cc、出力は40HP、重量は585キロ、テストにおける最高速度は時速140キロとされています。ですが第二次大戦が勃発したことで1939年9月に予定されていたレースは中止され、「ポルシェ・タイプ64」はその性能を示す場を失っています。

そして3台のみ製造された「ポルシェ・タイプ64」のうち2台は第二次大戦中(1939-1945)に破壊され、残るのはこの1台のみということです。実際には終戦後しばらくは2台が残っていた説もあるようです。


「ポルシェ・タイプ64:経緯」

今回オークションに登場するのは「3番目」に製造された「ポルシェ・タイプ64」で、1944-1948年の間に「フェルディナント・ポルシェ」、そして息子の「フェリー・ポルシェ」によって所有されることになり、「日常の足」として使用されていたという記録も残ります。

ちなみにこの時期、シュトゥットガルト本社は接収されており、一時的に(最初の工場があった)オーストリアのグミュントに移転していました。なお、もともとこのクルマには「PORSCHE」のロゴはなかったようですが、1947年に「フェルディナント・ポルシェ」がオーストリアで登録を行う際に(PORSCHEロゴを)付与したとされ、ポルシェ創業者親子はこのクルマを「れっきとしたポルシェ」だと認めていたということです。

そしてその後、「ポルシェ・タイプ64」はオーストリア人の手に渡り、後日このオーナーがポルシェに「自身の所有するタイプ64を買い取るよう」申し入れるもポルシェはこれを拒否したということです。そういった経緯からもポルシェがこのクルマを闇に葬りたいと考えているのだと推測できますが、この「ポルシェ・タイプ64」の設計チームはそのまま後に「ポルシェ・356」を設計しており、そのためデザインも「ポルシェ・356」と高い類似性を持っています。

「ポルシェ・タイプ64」は「フォルクスワーゲン・タイプ1(ビートル)とポルシェ・356とをつなぐミッシングリンク」といっても良いといえます。つまり、この「フォルクスワーゲン・タイプ1」がなければ、のちの「ポルシェ・356」や「ポルシェ・911」は存在しなった、ということになるのかもしれません。現在のポルシェはこのクルマを「ポルシェのルーツ」だとは認めないかもしれないものの、ポルシェ創業者はこれに自ら「PORSCHE」のエンブレムを与えており、かつ自身の名義にて登録し愛用していたというのは紛れもない事実です。そして多くのポルシェ・エンスージアストが”ナチスとの関係性を考慮しても「ポルシェ・タイプ64」が「真のポルシェ第一号」だと認識していると思われます。


「ポルシェ・タイプ64:価格」

「ポルシェ・タイプ64」が売りに出されるのは「初」でありますが、世界に一台、そして現存する最古のポルシェであるということを鑑みるに、相当な値段がつけられることになりそうです。ちなみに競売大手の「サザビーズ」は、この「ポルシェ・タイプ64」の予想落札価格について1939~40年に3台だけ製造された「ポルシェ・タイプ64」は、現存するのは1台だけといい、落札価格は2千万ドル(約22億円)を超えると予想しているということです。

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