あわせて読みたい記事:【B110型サニーGX-5】高回転OHV搭載しTSレースで活躍
あわせて読みたい記事:【スターレット ワークス】KP47トムス137E搭載:スペック
あわせて読みたい記事:【ケンメリGT-R】C110型スカイラインレーシングのスペック
「日産・サニー」が、ボーイズレーサーとして大人気となったのは2代目モデルのB110型からといえるでしょう。当時、「ツーリングカーレース(TSクラス)」のベース車としても大きな成功を収めており、生産中止後も長期に渡ってレースフィールドで強豪モデルとしての地位を保ち続けたことでも知られています。特に「GX」シリーズは、スポーティモデルとして人気でしたが、中でも1972年8月に発表された「1200GX」シリーズに5速MT搭載車「GX5」は、「56A型トランスミッション」を搭載していることが特徴で、1速が左手前に来るシフトパターンで、5速もオーバードライブでは無く、1.0:1.0となるクロースレシオであり、「5速直結」、「GXミッション」などと通称され、レーシングパターンのトランスミッションを搭載していました。110型のサニーに搭載されたエンジンは、A型エンジンですが、レース用にチューニングされたA型エンジンは、燃料噴射装置の効果もあり、自然吸気のOHVで排気量:1,300ccながら、そのレース末期には最高出力:175ps / 約10,000rpmを搾り出していたといわれています。OHVというエンジンながら超高回転のエンジンフィーリングであり、実用向けの原設計からは想像しがたいほどの驚異的なポテンシャルを発揮していたのでした。またB110型は、シャシーも軽量で運動性が良く、エクステリアデザインは空気抵抗が少なく、リーフ式サスペンション(リーフスプリングに吊られたリジッドアクスル)ながら、高いトラクションとコーナリング性能を発揮する足回りなどとの相乗効果で新鋭のDOHCマシン(KP47型:トヨタ・スターレット)を下すレースも多くありました。こうした、功績から「ハコスカGT-R(KPGC10 / PGC10)」の最大のライバルだった「マツダ・RX-3 / ロータリークーペ」が搭載していた「ロータリーエンジン」を日産でも搭載する開発が進められていました。
日産のロータリーといえば、1975年に登場した2代目シルビアに搭載される予定だった、という噂が有名ですが、実は1972年に開催された第19回東京モーターショーに実際にロータリーエンジンを搭載した車両が出品されていました。それが、B110型のサニーに搭載されたロータリーエンジン仕様コンセプトモデルなのです。ベースモデルとなったのは「B110型:サニーエクセレントクーペ」で、500ccの2ローター、ペリフェラルポートを採用し、ダウンドラフト4バレルキャブレターにツインプラグなどの仕様と発表されていました。コンパクトなボディ、空気抵抗に優れたエクステリアデザイン、レースにおいて実績のあるパワートレインなど非常に魅力的な「ロータリーエンジン」との組み合わせでしたが、第一次石油危機などの影響もあって市販されることはありませんでした。まさに幻のモデルとなったのでした。