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スポーツカーというカテゴリーは、1913年に誕生しました。そもそもカテゴリーという概念がなかった初期の自動車業界において、スポーツカーというカテゴリーを創出したのは1913年にデビューした、イスパノスイザだったそうです。その後、多くのスポーツカーが自動車産業に華を添えることになりますが、実用面で見れば、かならずしも必要なカテゴリーではなく、社会情勢、景気、会社の方針変更などの影響を受け、いくつものスポーツカーが開発凍結や発売延期になりました。今回は、「コンセプトモデル:スポーツカー編 市販が期待された車リスト1」と題して下記のコンセプトカーを挙げたいと思います。
「シトロエンGT by CITROEN」
実は、この「シトロエンGT by CITROEN」というのは人気のカーレースゲームの「グランツーリスモ5 プロローグspecIII」で登場したシトロエンのスーパーカーです。この車両は、2008年のパリモーターショーに展示され、市販計画も存在していました。デモ車両がロンドン市内を走行するなど、市販に向けて期待は高まっていたのですが、収益性を理由に販売が中止されました。それもそのはずで、2008年といえばリーマンショックの年です。察するに、量販車の販売低迷、シトロエン社の収益悪化などにより、「GTbyCITROEN」に投資する資金を確保できなくなったといったところではないかと思われます。
「日産 MID4 / MID4-II」
2代目から7代目モデルの「スカイライン」の開発に携わった「桜井眞一郎」氏が開発した幻のスポーツカーが、「日産・MID4(ミッドフォー)」です。プロトタイプで終わったものの、初代モデルと2代目モデルが存在します。初代モデルのデビューは、1985年のフランクフルトモーターショーでした。モデル名が示す通りミドに「VG30DE」型エンジン、最高出力:230ps / 6,000rpm、最大トルク:28.5kgm / 4,000rpmを横置きで搭載し、フルタイム4WDの駆動方式に4WSも搭載したプロトタイプモデルでした。
「ヤマハ・OX99-11」
2輪メーカーの「ヤマハ発動機」が1991年に発表した「ヤマハ・OX99-11」は、F1用のV型12気筒エンジンを搭載したロードゴーイングスポーツカーでした。エンジンは、排気量:3.500ccでV型12気筒DOHC、すでに2輪用エンジンに採用されていた5バルブを採用した60バルブエンジンという非常にハイスペックなエンジンに仕上げられていました。というのも当時、「ヤマハ発動機」がF1チームに供給していた「OX99」がベースになっていたのでした。
そのポテンシャルは、最高出力:450ps / 10,000rpm、最大トルク:40kgfm / 9,000rpmという超高回転型エンジンでした。駆動方式はMRで、車両重量はわずかに850kgとなっており、パワーウエイトレシオは1.9kg/ps弱で性能も本格派で、まさにレーシングマシンといっても過言ではない仕様でした。100万ドルをベースにする価格で、ロンドンで生産し、1994年のデリバリーを予定していましたが、バブル崩壊が実態経済にまで波及し、「ヤマハ発動機」の経営が悪化したため、1993年に計画が終了してしまいました。そのために1台も販売することはありませんでした。
「童夢・零(ドウム・ゼロ)」
日本初のスーパーカーメーカーになる可能性があったのが「童夢」でした。その第1号モデルとなるコンセプトカーが、「童夢・零」です。1978年のジュネーブショーで公開されました。入念なテストを重ねて、「零」の型式認定を受けて量産に入る段階まで計画は進んでいましたが、「運輸省(現在の国土交通省に相当)」が認可を降ろしませんでした。その理由は、「童夢」の運営会社が自動車メーカーではなく自動車産業関連メーカーであったためといわれています。
「ランボルギーニ・アステリオン」
2014年のパリモーターショーで発表された「ランボルギーニ・アステリオン」は、現在進行中の幻の1台です。「ランボルギーニ」社としては初のPHEVとして開発されましたが、当時のランボルギーニ経営陣がPHEVに興味を示さず、2018年現在も市販にはいたってません。こちらはランボルギーニ経営陣の考えや社会情勢の変化で、いつ市販されてもおかしくないモデルといえるでしょう。
「コンセプトモデル:スポーツカー編 市販が期待された車リスト1」から振り返ると数年、発表される年度が変わっていれば、市販化されていたかもしれないモデルばかりです。しかし、だからこそ多くのクルマ好きの間で忘れられることなく幻のスーパーカーとして魅了しているのでしょう。