【WRCで活躍した国産4WDベースモデル】スペックと現在の価格

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【WRCで活躍した国産4WDベースモデル】スペックと現在の価格

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軽量な車体にハイパワーエンジンを搭載し、現在でも人気が衰えないWRCベースモデル。その代表モデルとしてライバル関係で切磋琢磨した「三菱:ランサーエボリューション」シリーズ、「スバル:インプレッサ」シリーズ、そして「トヨタ:セリカ」シリーズ。どのモデルもWRCで活躍しチャンピオンを獲得した名車です。どのようなモデルがあり、現在どのような価格帯で中古車が取引されているのか見てみましょう。


「三菱:ランサーエボリューションV」

  • 中古車相場:80万~200万円
  • 1998年1月発売 総生産台数7617台
  • エンジン:2L、直4ターボ:280ps/38.0kgm

全幅1770mmというワイドボディを初めて採用したエボV。当時国産280psスポーツカーのなかで抜群の加速性能と走行安定性をみせつけた。「全盛期のWRC」というフレーズで思い出される国産車はインプレッサ/ランエボ/セリカGT-Fourなわけだが、まずは三菱のランエボ。1998年シーズン途中からWRCに投入された「ランサーエボリューションV」は、市販車に比較的近い「グループA」規定の車両でありながら、改造範囲がかなり広いWRカーたちを向こうに回して計4戦で優勝。三菱としては初となるマニュファクチャラーズタイトルを獲得するとともに、エースドライバーだった「トミ・マキネン」はドライバーズタイトルを獲得した。そんなランエボVの市販バージョンは全幅1770 mmのワイドボディを初採用し、前身である「ランエボIV」より2kgm大きい38.0kgmの最大トルクをマーク。現在の中古車相場は、走行距離が延びている個体は80万~150万円といったところだが、距離少なめなモノだと200万円前後。ミントコンディションな(超程度がいい)物件は400万円近くの値札が付くこともあるようです。


「三菱:ランサーエボリューションVI」

  • 中古車相場/80万~250万円
  • 1999年1月発売 総生産台数7594台
  • エンジン:2L、直4ターボ:280ps/38.0kgm

「エボV」をベースに、さらに高次元な細部の熟成によるポテンシャルアップを図るとともに1999WRCラリーレギュレーションへ対応するための外観変更を含めた内外観のリフレッシュを図るため開発された。空気抵抗および冷却性能、またフロントリフトの改善を目的として、ナンバープレート位置を中央から左側に変更、フォグランプの小径化などによる前面開口部形状の拡大、リアウイングの2段化で空力が改善。前モデルの「エボV」で、硬めにセッティングされた足回りが街乗りには向かないことが不評であったため、フロントサスのロールセンター軸をエボV比で30mm低く設定することで、多少ソフトなセッティングに変更。しかし競技目的には向かず、全日本ラリーなどでは「エボV」に勝つことができないという珍現象が起こった。「ランサーエボリューションVI」のワークスマシンは翌1999年シーズンの第1戦「ラリー・モンテカルロ」からWRCにフル参戦し、その年は計5戦で優勝。「トミ・マキネン」は前年に続いて見事ドライバーズタイトルを獲得したが、マニュファクチャラーズタイトルは惜しくもトヨタが獲得するに至った。そして、1999年1月に発売された「ランエボVI」の市販バージョンはエンジンのパワー&トルクこそ「ランエボV」と同じだが、冷却系の改善により耐久性が向上し、競技用グレードである「RS」にはチタンアルミ合金製タービンが採用された。またナンバープレートの位置を中央から左側に変更されたことや、リアウイングが2段化されたことなども「ランエボVI」の特徴となる。現在の中古車相場は「ランエボVよりちょい高いぐらい」というニュアンスで、距離が延びている個体は80万~160万円ぐらい、走行距離が比較的短めの個体は170万~250万円あたりが目安となる。


「三菱:ランサーエボリューションVI トミー・マキネンエディション」

  • 中古車相場:240万~350万円
  • 2000年1月発売 総生産台数2911台
  • エンジン:2L、直4ターボ:280ps/38.0kgm

三菱のWRCワークスドライバー、「トミ・マキネン」の4年連続ドライバーズ・チャンピオン獲得を記念して、同選手の名前を冠した特別仕様車。比較的高速なターマック(舗装路)ラリーを意識して前部のバンパー形状を見直し、フォグランプ設置部の廃止により空力を改善。足回りは従来より10 mmダウンしたターマック仕様サスペンションを採用した。インテリアは黒色と赤色が基調でシフトノブとシフトレバーブーツおよびステアリングはレッドステッチが施されたものを採用。計器類も赤い文字盤となり、TOMMI MAKINENと書かれた赤いレカロ社製シートも採用された。当時の三菱のワークスドライバー、「トミ・マキネン」選手が4年連続ドライバーズタイトルを獲得したことを記念して作られた特別仕様車で、カーマニアの間での通称は「ランエボ6.5」。 またマキネン選手の名前は日本では「トミ・マキネン」と表記されるのが一般的だが、特別仕様車の車名は音引き(棒)付きの「トミー・マキネンエディション」であった。通常使用向けグレードのGSRは従来より10 mmダウンさせたターマック(舗装路)仕様サスペンションを採用し、ハイレスポンスチタンアルミ合金ターボチャージャーの採用により中低速トルクとレスポンスが大幅に向上した。そのほかにもさまざまな点が改善された「トミー・マキネンエディション」の中古車は今なお人気があるため、中古車相場も240万~350万円あたりと、「ランエボVI」より100万円は高い。また通常のGSRでもきわめて走行距離が少ない個体や、WRCのワークスマシンをイメージした「スペシャルカラーリングパッケージ」装着車は、400万~500万円付近のプライスタグが付くこともめずらしくない。


「スバル:インプレッサ 22B-STIバージョン」

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  • 中古車相場:1000万~1200万円
  • 1998年3月発売 総生産台数400台
  • 2L、直4ターボ:280ps/37.0kgm

WRCでも市販車の販売でもランエボと火花を散らしていた「スバル インプレッサ」。歴代インプレッサのなかでも特に印象深いのがコレ、1998年3月に400台限定で発売された「インプレッサ 22B-STIバージョン(通称:22B)」。価格は破格の500万円。この「22B」は、WRCで3連覇を達成した「インプレッサ ワールドラリーカー1997」のイメージを忠実に再現したロードモデルで、E型クーペにWRカーをイメージした専用フェンダーやバンパー、リアウイングなどを架装。ワイドフェンダー化に伴い全幅は1690mmから1770mmに拡大されている。もちろん手作業によって架装された鋼板プレス製のブリスターフェンダーが特徴。インテリアは専用のマットブラック仕上げのダッシュボードで、WRカーのインテリアと同様、ダ防眩のための仕上げ。またエンジンもSTIが22B用として専用チューン&ボアアップした2.2LのEJ22改が搭載された。当時は自主規制があったため最高出力こそ280psだが、低中速トルクが大幅に改善されているのがEJ22改の特徴。手組みでバランス取りされた名器EJ22改エンジンは280ps自主規制の時代だったこともあり、280ps/37.0kgmにとどまるが、吹け上がりがスムーズで、切れ味のいいエンジン。このようにスペシャル感たっぷりの「22B」は新車発売時もわずか2日間で完売してしまったのだが、その中古車相場も今なおかなり高額。流通台数はきわめて少ないが、たまに市場に出てくる個体はおおむね1000万円前後、またはそれ以上となるケースがほとんど。


「スバル:インプレッサWRX STiバージョンIV」

  • 中古車相場:80万~180万円
  • 1997年9月発売
  • エンジン:2L、フラット4ターボ:280ps/36.0kgm

新設定されたクーペの「インプレッサWRX タイプR STiバージョンIV」。最高出力280psを維持しながら低中速域の一段と向上させたSTI専用のチューニングエンジンBOXER MASTER-4を搭載。最大トルクを36.0kgmまで高めた。一部改良を受けてSTiバージョンIVに進化。エンジンは最大トルクが36kgmに達し、タイプRA STiのリアブレーキが15インチ対向2ポットになったほか、クーペのタイプR STiバージョンIVが新設定されたのがポイント。往年のWRCにおけるスバルワークスの息吹を今に感じたいのであれば、上記の22Bを探して買うのが一番ではある。だがそのタマ数はきわめて少なく、あったとしても「1000万円級」の予算は普通に考えて無理なため、もしもGC8(初代インプ)が欲しいなら「STiバージョンIV」あたりを探すのが現実的だろう。初代インプレッサWRXのSTiバージョンがカタログモデルに昇格したのはスバルがドライバーズ/マニュファクチャラーズのダブルタイトルを獲得した1995年から。そして、それがバージョンII、バージョンIIIへと進化していき、1997年9月に登場したのがバージョンIV。EJ20エンジンは最大トルクが36.0kgmに達し、タイプRA STiのリアブレーキが15インチ対向2ポットになったほか、クーペにもタイプR STiバージョンIVが新設定された。こちらの中古車相場は今となっては比較的お手頃で、セダンが約80万~130万円、クーペのタイプR STiバージョンIVで約150万~180万円付近というのが流通の中心。ただし流通量は少なめであり、ほとんどの物件が走行10万kmを大きく超えてもいる。


「スバル:インプレッサS202 STIバージョン」

  • 中古車相場:180万円前後
  • 2002年6月 総生産台数限定400台
  • エンジン:2L、フラット4ターボ:320ps/39.2kgm

2代目モデルの「インプレッサWRX」をベースにした、初のSTIコンプリートモデルがこの「S202」です。通常モデルから90kg軽量化されたWRX タイプRA スペックCをベースに、オンロードスポーツとしての性能をさらに向上させた。 ボールベアリングターボなどで強化されたタイプRA スペックCのエンジンは吸気系の見直しと、チタン製超低圧マフラー採用の上に、専用ECUによって高回転域の伸び感を重視した仕様となり、最高出力は320ps/39.2kgm。 1992年に登場したGC8こと初代インプレッサもその役割を終え、2000年8月にはフルモデルチェンジで2代目(GD)へと移行。そしてWRCのほうも、2代目インプレッサをベースとするワールドラリーカーで戦われるようになった。この2代目インプレッサ(GD)はヘッドライトの形状が丸目→涙目→鷹目へと目まぐるしく変化するわけだが、2001年に「リチャード・バーンズ」がドライバーズタイトルを獲得した際にドライブしていたのは丸目のWRカー。リアサスペンションにピロボールブッシュのラテラルリンク、トレーリングリンクを組み込み、リアサスの作動をリニアでシャープにした。バネ下重量の軽量化にもこだわり、鍛造アルミホイールとアルマイト処理+スリット入りのブレーキディスクとした。2段階角度調整式のウィングタイプリアスポイラーはリアルカーボン製。「S202」は、驚異のパワーウェイトレシオ 4.15kg/psと高次元のベストバランスを実現した。ただ、「S202」の現在の中古車相場は180万円前後といったところだが、いかんせん流通量がきわめて少ない。


「スバル:インプレッサ S203」

  • 中古車相場:130万~230万円
  • 2004年12月 総生産台数限定555台
  • エンジン:2L、フラット4ターボ:320ps/43.0kgm

「S203」よりベースモデルがspec CからSTiとなった。専用の減衰力4段可変式ストラット、ピロボール式リアサスペンションリンク、ドライカーボン製フロントアンダースカート、専用リアウイング、BBS社製18インチ鍛造アルミホイール、STI・レカロ共同開発の専用ドライカーボン製リクライニング機構付フロントバケットシートなどを装備。角度2段可変式専用リアスポイラーを装備。2002年の途中、2代目インプレッサ(GD)のヘッドライトは前述の丸目から通称「涙目」と呼ばれるデザインに変更。それと同時にWRCを戦うワークスマシンのほうも涙目のワールドラリーカーに移行した。2003年にはスバルワークスの「ペター・ソルベルク」選手が進化型のWRカーを駆って14戦中4勝をマークし、見事ドライバーズタイトルを獲得した。この時期の市販バージョンに乗るのであれば、最注目は2004年12月に発売された「スバルインプレッサ S203」。こちらもWRCベース車両ではないが、より極みを求めたいならこのモデル。これは涙目インプのWRX STIをスバルワークスであるSTiがチューニングした555台限定モデルで、搭載エンジンは最高出力320ps、最大トルク43.0kgmという日本車離れしたスペック。その回転フィールも非常になめらかで、まるで4L級多気筒エンジンのごときプレミアム感があるとされています。「S203」の中古車相場は約130万~220万円といったあたりが一般的だが、走行1万km台などのミントコンディションな物件は500万円以上になることもあるようです。


「トヨタ:セリカGT-Four(ST165)」

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  • 中古車相場:150万~220万円
  • 1986年10月
  • 2L、直4ターボ:185ps/24.5kgm

「セリカGT-FOUR」としては初代となるモデル。1990年に国産車として初のWRCタイトル(ドライバーズタイトル)を獲得したのは、「カルロス・サインツ」がドライブしたこの「ST165型:セリカGT-Four」だった。4WDシステムはベベルギヤ式センターデフとメカニカルでフロック(後期型はビスカスカップリング)の組み合わせ。ボディは大型カラードバンパー、丸型フォグランプ、大型ロッカーモールなどを採用し、リアガーニッシュ、サイドエクステンションパネルなどをボディ同色としたのがFWDモデルとの違い。市販バージョンのST165型セリカGT-Fourが販売されたのは1986年から1989年で、当時はそれなり以上の数が売れたものだったが、今やその流通量はきわめて希少。


「トヨタ:セリカGT-FOUR RC(ST185)」

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  • 中古車相場:200万円以上
  • 1991年9月 RCは世界限定5000台、日本限定1800台
  • エンジン:2L、直4ターボ:235ps/31.0kgm

丸いエアインテークがST185型のセリカGT-FOUR RCの証。RCとはラリーコンペティションの略 。 1991年9月にWRC用のホモロゲーションモデルであるセリカGT-FOUR RC(ラリー・コンペティション)を日本国内限定1800台で販売。メタルタービンや、水冷式のインタークーラーを採用し、戦闘力がアップ 。 ST185型セリカ GT-FOURにより、1992年(サインツ)、1993年(ユハ・カンクネン)、1994年(ディディエ・オリオール)と3年連続でトヨタのドライバーがWRCチャンピオンに輝いた。またトヨタは1993年~1994年と2年連続でマニュファクチャラー選手権を制覇。ST185型セリカ GT-FOURはWRCで通算16勝を挙げ、トヨタの数々のラリーカーの中で最も成功を収めたモデルとなっている。1989年9月に市販バージョンのセリカがT180型にフルモデルチェンジし、同時にフルタイム4WDのGT-FourもST185型へ変更となると、1991年9月にはWRCを戦うグループAマシンを作るためのホモロゲーションモデル「GT-FOUR RC」を発売。翌1992年シーズンからこれのグループAマシンが出走し、同年はカルロス・サインツがドライバーズタイトルを獲得。翌1993年シーズンはユハ・カンクネンがドライバーズタイトルを獲得すると同時に、日本車メーカーとしては初のWRCマニュファクチャラーズタイトルをトヨタにもたらした。RCではない「通常のGT-FOUR」もかなり希少だが、こちらは少数ながらいちおう流通はしていて、現在の相場はおおむね170万円前後となっている。


「トヨタ:セリカGT-FOUR(ST205)」

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  • 中古車相場:80万~240万円
  • 1994年2月 WRC仕様車は世界限定2500台のうち国内2100台
  • 2L、直4ターボ:255ps/31.0kgm

セリカでのWRCの最後のベース車両。WRC仕様はリアウイングがゲタ付きで高くなっていた。3S-GTEエンジンはタービンのサイズアップ、インタークーラーの大型化、インテークバルブのリフト量アップ、インテークマニホールドのサージタンク容量アップなどにより最高出力が20psアップの255psに達している。1993年10月になると、市販版のトヨタ セリカは6代目のT200型にフルモデルチェンジを実施。そしてやや遅れて1994年2月には「次のグループAセリカ」のベースとなるST205型セリカGT-FOURが発売された。旋回時のグリップを大幅に高める「スーパーストラットサスペンション」を採用したST205型ベースのグループAラリーカーは、1994年シーズン途中のラリー・オーストラリアから出場。しかし大型化されたST205は、その重量ゆえにWRCでは苦戦。勝てたのは1995年のツールド・コルスだけで、レギュレーション違反による制裁なども受けながら、1995年にワークスとしての活動を終えた。

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