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初代モデル「フェアレディZ」のエクステリアデザインは優雅で美しいボディシルエットが描かれました。さらに「フェアレディZ」のシャシーポテンシャルは高度なもので、軽量なモノコックボディに、前後輪ともストラット式サスペンションによる四輪独立懸架を備え、市場で先行する「ジャガー・Eタイプ」や「ポルシェ・911」などと競えるほどに仕上げられました。「フェアレディZ」に搭載されたL型直列6気筒エンジンは、SOHC動弁機構を備えた2000ccクラスの最新式ではあったものの、素性は鋳鉄シリンダーブロックにターンフロー燃焼室を組み合わせた手堅い実用型エンジンでした。またアメリカ仕様は2.400ccへの排気量拡大でトルクを太らせたL24型エンジン採用でパワー対策していました。
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先代モデルの「SP310 / SR311:フェアレディ」の時代から、GTクラスでは日本車唯一無二の存在だった「フェアレディ」シリーズ。フルモデルチェンジで「フェアレディZ」となった「S30型」の初代「Z」は、1970年1月に「スカイライン GT-R(PGC10 / KPGC10)」と同じ「S20型(直列6気筒DOHC24バルブ)」エンジンを搭載した「フェアレディZ432」が鈴鹿でサーキットデビューを果たしました。しかし、「S20」エンジンとシャシーのバランスが悪く総合力で勝るという理由から、半年後にSOHC 2.4Lの「L24」型を積む「フェアレディ240Z」に主役を交代することになります。当初はGT部門で戦績を残しましたが、「富士GC(グランチャンピオン)」シリーズの創成期には、純レーシングカーのグループ7に混じって参戦し、豪雨のレースでは「柳田春人」氏がグループ7を退けて総合優勝を果たすこともあったほどのポテンシャルを発揮していました。「スカイラインGT-R(PGC10 / KPGC10)」の撤退後はスーパーツーリングに参戦し、同レースが終了する1978年いっぱいまで「マツダ:サバンナRX-3」と一騎討ちを演じていました。そして汎用性の高いL型エンジンの特徴を生かし、2.6L/2.8L仕様や、追浜(日産の特殊車両部第一実験室)が開発したR390型クロスフローヘッド(通称:LYヘッド)も開発され、実戦で使われたのでした。
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「S30系:フェアレディZ」であれば、オリジナルは「L型」エンジン、希少な「432/432R」で「S20型」エンジンが搭載されています。しかし、このカスタムマシンのボンネットに収められているのは、レース用オプションパーツの「LYヘッド」を搭載しているのです。この「LYヘッド」というのは、ターンフローで燃焼効率のよくなかった「L型」エンジンを根本的に見直す形で開発されたもので、クロスフロー化された「LYヘッド」は、市販モデルには設定されなかった幻のレース用パーツとなっています。
ボルトオンの改造キットではなくクランク・フライホイール・カムチェーンのコマ数や動弁機構も異なるために改造は大掛かりなものとなるパーツです。また、燃料供給がミクニ・ソレックスPHH50φが指定となっているために燃料ポンプの交換も必要となっています。マニュアル指定の組み込みを行ったLY28型ではSOHC2バルブのまま、最高出力:300PS/7,600rpm、最大トルク:32.0kg·m/6,400rpmのスペックを誇ります。実際に資料によれば、この「LYヘッド」というのは「L28型」エンジンと組み合わされることで、NAのままで最高出力:300psを発揮した、とされています。市販パーツとはいえ、この「LYヘッド」を組み込んだL型エンジンは生粋のレーシングユニットと言っても過言ではない性能を発揮していたとされています。ちなみにヘッドカバーにはマグネシウム、バルブは中空のナトリウム封入式とされるなど、当時の最先端の技術や素材が使われています。そして、この幻とされた「LYヘッド」はレース用オプションとして価格は300万円以上で取引されていたようです。