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1978年8月にデビューした2代目フェアレディZ(S130系)は、北米で爆発的ヒットとなった初代モデルの「S30型:フェアレディZ」のスタイリングコンセプトを受け継ぎ、より車格が高められたモデルです。先代のロングノーズ・ショートデッキスタイルを継承しながら、2代目はややワイドサイズとなり、エンジンも2.0Lの「200Z」と2.8Lの「280Z」の2つのL型エンジンを設定していました。先代を正常進化させたスタイルであったものの、リアサスペンションがセミトレーリングアームに変更された影響で、燃料タンクとスペアタイヤ収納部がより後方へ移動し、リアオーバーハングが拡大しています。大型化や装備の充実により車重は増したものの、エンジンをL型のターボモデルや大排気量モデルが設定されることにより走行性能の向上も図られたモデルでもありました。
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S130型が活躍していた当時の最新装備として注目を集めたのがターボモデルでしたが、まだそのノウハウも普及しておらず純正ですらドッカンフィールだったため、チューニングシーンではやはりL型3L、3.1LといったNAチューンが主流でした。また当時、多くのチューナーが排気量アップ+大型タービン仕様などにも挑んだものの、制御系パーツが未熟な時代だったためにターボラグが大きく、全域で実用的な性能を備えたチューニングカーは多くなかった時代でもありました。実際、ターボチューンが完全に安定したのは1990年代からでしょう。
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今回の「S130型:フェアレディZ」のカスタムマシンは、定番のL型+キャブチューンからはじまり、インジェクション+F-CON Vプロへと進化を果たし、最終的にモアパワー(この車両の場合はサーキットでの走行タイム)を求め、HKSの大型スーパーチャージャーを組み込んで仕上げられた個体です。
最新の技術を折り込むことで、過給機チューンを取り入れながらも狙い通りのNAのようにスムーズにパワーが伸びるというチューンドエンジンに仕上げることができたということです。過給機チューンと聞くと、レスポンスなどNAチューンに劣る要素が懸念されがちですが、その心配は無用で、従来のボルトオンターボとは違い排気系の抵抗が少ないスーパーチャージャー仕様の場合、NAなみの燃調や点火時期設定が可能だからです。くわえて、クランク出力からの過給機駆動となるため、アクセル(回転数)に過給圧が連動してターボのようなラグが発生しません。つねにアクセルを踏み込んだ瞬間から狙ったパワーを生み出すことができるのです。
L型エンジン本体は、カメアリのピストン&コンロッドにLDクランクを組み込んだ3.1L仕様となっており、NA時代には12.5:1だった圧縮比は、過給に対応するため約10.2:1まで落とされています。プレートをワンオフし装着されたスーパーチャージャーはGTS8550で、5000rpm時に0.5キロ、8000rpm時に約0.7キロの過給をするようセットアップされています。プーリー比のセットアップと、ブローオフバルブを使ったリリーフでブースト圧をコントロールしています。点火系はRBエンジン用のピックアップを使いダイレクトグニッション化されており、強く安定した点火力は過給エンジンには欠かせない装備です。
ポテンシャルはチューンドLの加速力を3速、4速までしっかりと持続できるものとなっており、大幅に排気量をアップしたかのような自然で力強い出力特性に仕上がっているということです。フロントにはエンドレス製、リヤにはBCNR33用のブレーキキャリパーを装備してストッピングパワーも強化しています。製作した「J&K」社によると、スーパーチャージャー化のカスタム費用は、制御系(Vプロやインジェクション化)や点火系(ダイレクトイグニッション化)などが整っているならば、およそ60万円〜とのことです。
重量バランスを高めるためにラジエターはラゲッジスペースに移設されており、各部からフレッシュエアを導いています。フロントセクションのボンネット先端部には、インタークーラーやオイルクーラーなどがレイアウトされているものの、車体後方に移動されたラジエターの関係で効率も高く見た目もスッキリした仕上がりです。
インテリアは、不足するボディ剛性を向上させるために4点(+斜行バー)+サイドバーのロールケージを投入しています。また、カーペットははがされドア内張りはアルミ板で製作、ウインドウはポリカーボネイト化されるなどして軽量化もなされています。タコメーターはオートメーターのスポーツコンプ。シフトインジケーターランプも装備。イグニッションの主電源はミサイルスイッチ、セルモーターはプッシュスターターで作動させるように仕上げられています。