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「Nostalgic 2 Days 2018」において数々の名車が並ぶ中、往年の名車「トヨタ・スポーツ800(通称:ヨタハチ)」にも注目が集まっていました。その中でも存在感を放っていたのが、トヨタブースの一台で、「Toyota Gazoo Racing」の手でレストアされた「スポーツ800」です。しかも、ただの「ヨタハチ」ではなく、ベース車自体がそもそも当時のワークスレーサーという超希少なモデルなのです。さらに、1966年に開催された鈴鹿耐久レースの先駆け「第1回 鈴鹿500キロレース」でワンツーフィニッシュを飾ったうちの一台だということです。つまり「トヨタ」のモータースポーツ史にとっても価値あるマシンが、現代のカラーリングをまとって展示されていたのです。「Gazoo Racing」カラーをまとったこのマシンのヒストリーは考え深いものがあります。「トヨタ・スポーツ800」とは、1965年から69年まで販売された同社初のスポーツカーであり、当初は市販化する予定がなかったといわれており、あまり開発費が割けなかったためか、コンポーネントのほとんどを当時の大衆車、「トヨタ・パブリカ 800」から流用もしくは強化して使用しているのです。エンジンも一から設計することが許されず、「トヨタ・パブリカ800」のものを強化して搭載しているが、それでも最大出力は45psと、ライバル車の「ホンダ・S600(最高出力:57ps)」と比べても非力なスペックでした。それでも、「ヨタハチ」は最高速:155km/hとスポーツカーの名に恥じない性能を誇っていました。その秘密は非力なエンジンを活かす空力特性に優れたボディと軽量な車体でした。
元航空技術者が手掛けたという丸みを帯びたデザインは、全長:3,580 mm × 全幅:1,465 mm × 全高:1,175 mmという今の軽自動車と変わらないコンパクトなサイズで限界まで空力抵抗を低減させることを意図したものでした。機能美を追い求めた結果、愛らしさがでてきたというのは実に興味深いデザインです。車重もわずか580㎏ということもあり、加速に優れるだけでなく燃費も良いということです。前述の鈴鹿500kmで使用されたマシンは一度もピットインすることなく優勝した上、30%も燃料を残していたというほどです。実際に「トヨタ・スポーツ800」を所有しているオーナーによれば、リッター16km程度は走るというから、「ヨタハチ」はエコカーともいえるポテンシャルを備えているのです。この「トヨタ・スポーツ800 GR CONCEPT」は、当時のレーシングカーマシンで耐久レースで使用できるように艤装品をはじめ改造跡が至る所にあり、市販車とはまったく異なるといっても過言ではないチューニングが施されています。「トヨタ・スポーツ800 GR CONCEPT」 プロジェクトリーダーである、トヨタ自動車の「小川裕之」氏は、レストアするにあたって、先人たちの工夫を知るいい経験になったということで下記のようなコメントをしています。
「見たことのない改造ばかり。当時の姿を再現するためにはマシンを作り上げた先輩たちが『なぜそうしたのか』を読み取らなければいけません。クルマを通して当時のメカニックの苦労や思いが伝わってくるようでしたね。コンセプトは『当時の味を残しつつ、しっかり走れる』こと。単に復元するだけでなく、今だからこそできるチューニングを施して、旧車だからといって遠慮することなく楽しく走れるマシンに仕上げました」
エンジンは当時の高回転型のセッティングを活かしつつ、各部品の加工精度の向上とエンジンバランスとりを行うことで高回転の伸びを強化しています。チタン製のメガホンマフラーと組み合わせることで最高出力は70psに達しています。ボディ補強に加え、サスペンションもGazoo Racingでワークスマシンを担当するメカニックがチューニングしており、旋回性能を高めたセッティングが施されています。実際、昨年12月に開かれたメディア向けの試乗会では、はじけるようなサウンドを響かせながら快走を見せ、参加者をうならせていたようです。 今後はヒルクライムレースへも出場させてみたいと語る「小川」氏は「ドライバーが楽しめるのはもちろんですが、こんな小さな車が頑張っている姿を見て、みんながニコッとしてくれたらうれしいですね」とコメントしています。