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世界中の自動車メーカーがニューモデルの開発でトライしている「ニュルブルクリンクサーキット」のタイムトライアル。もちろん、上位は、ポルシェやランボルギーニなどスポーツモデルとして開発された車両が多いものの、SUVモデルやセダンといったカテゴリーもタイムアタックを行なっています。今回は新たな記録をメルセデス・ベンツが発表。それが、メルセデス・ベンツによると「AMG GT 63Sが、ニュルブルクリンクを7分23秒009秒で走り、新たなる記録を打ち立てた」と発表したのです。
これは2018年にメルセデスAMG GT 63Sが記録したタイムより2.3秒速く、当時との違いは「AMGエアロダイナミクスパッケージ」、そしてミシュラン・パイロットスポーツカップ2タイヤを装着しているということにとどまると報じられています。また、興味深いのが、このタイムはメルセデスAMGによると「高級サルーンでは最速」という発表だということ。「高級サルーンでは」というくくりがあるのは、「4ドア」としてカテゴライズしてしまうとジャガーXE プロジェクト8の7:18.361という記録があるためで、これを除外するために「高級サルーン」とコメントしているようです。
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実際にジャガーXE SVプロジェクト8のニュルブルクリンク最速タイムアタックを行なった車両は「ノーマル」のままではあるものの、オプションの「トラックパック」「ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2」タイヤを装着し、ドライブモードを「トラック」に入れ、さらにはフロントスポイラーとリアスポイラーの角度を”最大のダウンフォースが得られる”角度に調整してのアタックを行なっています。ジャガーXE SVプロジェクト8は市販車では、あるもののXEグレードをベースに、ジャガーのカスタム車制作部門「SVO（スペシャル・ビークル・オペレーションズ）」が300台限定にて製造したものです。
ジャガーXE SVプロジェクト8のスペックを見るとエンジンは5リッターV8スーパーチャージド（600馬力）、これに8速ATを組み合わせて駆動方式は4WD、0-100キロ加速は3.3秒、最高速度はじつに時速321キロに達します（価格は2250万円）。出力向上に加えて軽量化、剛性アップが施され、「4ドアセダン」なのにリアシートがない2シーターというクルマです。とわいえアメリカ市場向けだけは4シーターとして生産されています。ですからジャガーXE プロジェクト8はベースモデルは、ジャガーXEという高級サルーンではあるものの、仕様地によってリアシートを取り外したりという過激な仕様を持つスポーツカーであり、現実的にこれを「高級サルーン」と称するのは難しいのもまた事実なのです。
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また、新しい計測方法が採用されていることも見過ごすことのできない要素です。ニュルブルクリンクのタイム計測については複数方法があり、これまで一般的だったのは「グランドスタンドT（ターン）13の終わりから計測を開始し、T13の始まりで計測を終了する」。これは走行距離はちょっと短くなる（20.6キロ）のでタイム計測的に有利であり、多くの自動車メーカーそしてカーメディアが採用する方法です。ただし2019年にニュルブルクリンクGmbHは旧来の方法ではなく、「T13の同じところを計測開始と終了のポイントとし、この方法にて計測したタイムを公式として認定する」と制定。これによって走行距離は20.6キロから20.8キロへと伸び（正確には232メートル）、しかし今回メルセデスAMGが発表した7:23.009は「以前の方法」によるもので、新しい方法だと7:27.800という数字となるそうです。
参考までに、ポルシェが新型パナメーラにて記録した7:29.81は「新しい方法」によるもので、以前の計測手法だと7:25.04となり、それまでニュルブルクリンク最速サルーンであったメルセデスAMG GT 63S（当時）の記録である7:25.41をわずかながら更新していた、ということになります。
当面ニュルブルクリンクのタイムについては「旧方式」「新方式」とが混在することになりそうです。
それにしてもメルセデスAMG GT 63Sが、ニュルブルクリンクを7分23秒009秒という最速タイム記録、今後どこまでタイムが縮まっていくのか興味深いです。