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世界を驚かせたコンセプトモデルの一台に「メルセデス・ベンツC111」が存在しますが、およそ50年の時を経て走行とのことで注目されています。この「メルセデス・ベンツC111」の第一世代は1969年のフランクフルト・モーターショーへと出展され、ウェッジシェイプやガルウイングの採用が話題を呼んだクルマでした。このコンセプトモデルから5年後の1974年に「ランボルギーニ・カウンタック」の登場していますので、当時としては斬新で衝撃的だったことでしょう。当時かなり多くの顧客の興味を惹きつけたと言われ、中には白紙の小切手を「メルセデス・ベンツ」に送って「メルセデス・ベンツC111を購入するから好きな金額を書き込んでくれ」と伝えた人もいたようです。「メルセデス・ベンツ」は、様々なテストを行うために試作車を16台作り、実際に市販を行う予定だったとされますが、結局のところ市販には至らずコンセプトモデルで終わっています。その理由について「メルセデス・ベンツ」は語らないものの、ひとつは「グラスファイバー製ボディの生産性が悪かった」、もうひとつは「エンジン」そのものにあったのでは、と言われています。
実は、「メルセデ・スベンツC111」のエンジンについては「ロータリーエンジン」が予定されており、1969年に発表されたモデルは3ロータリーターボ/280馬力エンジンを搭載していたようです。その後1970年には4ローター搭載で350馬力を発生するモデルも発表しています。
この4ローターモデルは0-100キロ加速を4.9秒でこなし、最高速度は時速300km/hを記録しています。当時の「ランボルギーニ・ミウラP400S」の0-100キロ加速が6.9秒であったことを考えると、ずば抜けたスペックを誇っていたことがわかります。
しかし、ロータリーエンジンの燃費の悪さ、ローターの摩耗といった点から1973年にはロータリーエンジン搭載をあきらめてガソリンエンジンのV型8気筒にスイッチした「メルセデス・ベンツC111/2」を制作しています。
こちらは「350SL(R107)」に搭載される3.5リッターM117型エンジンを搭載し、出力はロータリーエンジンに比べて150馬力も劣る200馬力です。このエンジン出力スペックから考えると、当時は出力を上げる手段としてロータリーエンジンが選択されたと思われます。
その後、「メルセデス・ベンツC111」はディーゼルエンジン搭載モデルの「メルセデス・ベンツC111/2D」へとチェンジされます。これは5気筒OM617ターボディーゼル(190馬力)エンジンを搭載し、60時間を4人のドライバーで走るという世界記録も樹立しています。この中には平均速度記録-252km/h-など16の世界記録が含まれているようです。ただしこのターボディーゼルエンジンでは「メルセデス・ベンツ」の求めるような性能を発揮できず、その後1979年には、4.8リッターV型8気筒ターボ(500馬力)を積んだ「メルセデス・ベンツC111/4も」登場し、これはイタリアのナルド・サーキットにて時速400キロをマークしたとも言われています。
「メルセデス・ベンツ」は、10年間も「メルセデス・ベンツC111」のテストを繰り返していたということになりますが、オリジナルとなるミドシップレイアウトのスポーツカーは「プロジェクト・ワン」に至るまで発売されることはなかったのでした。当時のかなり製品化が難しかったという経験が「メルセデス・ベンツ」からミッドシップレイアウトのスポーツマシンが登場を遅らせたのかもしれません。コンセプトカーだと「メルセデス・ベンツC112」、「メルセデス・ベンツCW311」というミドシップカーが存在しています。1999年にはレーシングカーベースの「メルセデス・ベンツCLK-GTR」も存在しています。
「メルセデス・ベンツC111」の構造やインテリアは、ミドシップなのでフロントは低く、フロントフードには二基のラジエターを装備しています。ホイールは15インチサイズでヘッドライトはリトラクタブル(ポップアップ)を採用していました。
インテリアは非常に豪華で、テストカーながらも当時としては珍しいエアコンや、高級オーディオシステムを備えるようです。