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クルマ好きのマンガの代表作とされる「湾岸ミッドナイト」。登場する人物、そして車のヒストリーが描かれており、それが読者を惹きつけ続けています。今回は、首都高最速の称号に命をかけた者たちの物語、「湾岸MIDNIGHT(以下、湾岸ミッドナイト)」に出てくる主人公の愛車「日産:フェアレディZ(S30型:悪魔のZ)」に挑戦したクルマたちの一部をご紹介します。
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メカニックだった「原田」は、愛車にかかる多額のチューニング費用を捻出するために高収入な運送屋へ転職し、湾岸で名をはせるようになります。原田の愛車は3代目の「フェアレディZ」(Z31型)で、ピークパワー追求のため大型のTD08-29Bシングルタービン仕様で500馬力を絞り出しています。しかし、主人公アキオのライバルである「ブラックバード」との湾岸最高速バトルの際に、セッティングの甘さからエンジンをブローさせてしまい、原田はこれを機にチューニングについて悟っていきます。湾岸Midnightの連載が開始された頃は、ノーマルのままでも280馬力を発揮する3リッターV型6気筒DOHCツインターボの「VG30DETT型」エンジンを搭載した4代目フェアレディZ(Z32型)がメインになっていましたので、Z31型の登場は作者である楠みちはる氏の個人的な思い入れにより登場させたのかもしれません。
1983年に登場したフェアレディZ(Z31型)は、V型6気筒エンジンを初めて搭載したフェアレディZです。ヨーロッパ製の名門スポーツカーを凌ぐ性能を目標として開発されました。
当時の国産車で最強となる230馬力を発する3リッターV型6気筒SOHCターボ「VG30ET」エンジンを搭載したモデルの欧州仕様は、最高速度が250km/hに達するほどのパフォーマンスで、3リッター直列6気筒DOHCターボの「7M-GTEU型」エンジンを搭載するトヨタ「スープラ3000GT」(MA70型)が登場するまでは国内最速を誇っていました。
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湾岸MidnightにはスカイラインGT-Rを駆るキャラクターが複数登場しますが、「平本洸一」は輸入車ディーラー「グリーンオート」に勤務していました。以前はチューニングを施したフェアレディZ(S130型)で湾岸を走っていましたが、自分のクルマを処分したあとは妊娠中の妻がいることでスピードの世界から遠ざかっていました。しかし、アキオが乗る「悪魔のZ」に出会ってしまったことで、スピードに対する熱い思いが再燃し、貯めていた独立開業資金に手を付けてスカイラインGT-R(BNR32)を手に入れ、自分の手でTD06SH-20Gのツインターボ仕様にモディファイし、悪魔のZを追走します。それが原因で妻に別れを告げられてしまいました。
再び走り出した平本ですが、バトル中の大切な場面で妻と子どもへの思いがよぎり、ここぞというところでアクセルを踏み切れず、悪魔のZを越えることはできませんでした。その後、妻と子供を追いかけてスピードの世界から離れていきます。ベースとなったスカイラインGT-R (BNR32型)は、1989年に発売されました。搭載されたエンジンは名機として名高い2.6リッター直列6気筒DOHCツインターボ「RB26DETT」です。
モータースポーツ参戦を前提に開発されたこのエンジンは、最高出力280馬力と36kgmのトルクを発生。FRベースのトルク可変型4WDシステム「アテーサ E-TS」で路面状況応じたトラクションを得ることが可能で、当時の日産の技術を全てつぎ込んで開発され、発売当時は圧倒的な速さを誇りました。ここ数年で海外の人気が急騰し高値で取引されているため、多くの中古車が日本から出てしまっています。
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「スピードファクトリーFLATレーシング」という、スカイラインGT-R専門チューニングショップ代表の「黒木隆之」は、谷田部で200マイル(321.86km/h)を叩き出した気鋭のチューナー集団「R200CLUB」に所属していた実績のあるチューナーでした。効率優先の仕事を嫌い得意客のクルマだけ見ていた黒木でしたが、「悪魔のZ」に魅せられ、10年のショップ運営で得たノウハウをすべてつぎ込んだ「スカイラインGT-R V-spec」(BCNR33型)を作り上げます。HKS 56Tタービン換装により約800馬力を絞り出し、ブラックバードと呼ばれる島達也のポルシェ「911ターボ」を凌駕するほどのクルマに仕上げましたが、各ショップの経営が悪化していく環境や、仲間の裏切りなどからR200CLUBを脱退します。
作中で描かれているスカイラインGT-R V-spec(BCNR33)は、「GT-R」の名前をスカイラインに復活させたBNR32の後継車として1995年に登場しました。搭載されているエンジンはBNR32型と同じく最高出力280馬力を発揮する2.6リッター直列6気筒DOHCツインターボエンジン「RB26DETT」で、トルク可変型の4WDシステム「アテーサ E-TS」も備えていました。しかし、BNR32に比べて大型化されたことで軽快さが薄れ、発売直後の人気は高くありませんでした。しかし、シャシの熟成が進みロングホイールベース化されたBCNR33型は高速域での安定度が高く、最高速向けのクルマなので、この作品には一番マッチするGT-Rではないでしょうか。
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チューニングショップ「ゼロ」に所属していた経歴を持つ自動車評論家の「城島洸一」は、城島が司会を務める自動車番組「ドライブGOGO」に出演した「秋川零奈」からアキオと「悪魔のZ」の存在を知らされたことで、チューニングカーへの熱い思いがよみがえりました。ロータリーエンジン搭載車より速く走れるクルマがあるとわかっていながらも、思い入れが深いサバンナRX-7(FC3S型)にこだわり、過去に自分がゼロで仕上げたサバンナRX-7を探し出して譲り受け、450馬力を発揮する状態で悪魔のZとブラックバードの撃墜を狙います。1985年に発売されたサバンナRX-7(FC3S型)は、初代サバンナRX-7(SA22C型)から刷新されたシャシを持ち、最高出力185馬力の13Bロータリーツインスクロールターボエンジンをフロントミッドシップに搭載。ポルシェ「944」を脅かす運動性能を持って登場し、国内はもちろん海外でも高く評価されました。
モデル途中ではハードにチューニングされたサスペンションを備え、2シーター化された限定車「∞(アンフィニ)」や、電動ソフトトップを有する「カブリオレ」なども追加されています。作中では、初めて乗った悪魔のZを華麗に乗りこなす城島のドライビングテクニックを、地獄のチューナー・北見が「チューニングカーがわかっている」と評価するシーンがあります。「頭文字(イニシャル)D;しげの秀一」に登場するFC3S型RX-7をドライブする高橋涼介も、ずば抜けたドライビングテクニックを持つキャラクターとして描かれていますので、漫画作家達の眼からは「FC3Sは、卓越したドライビングテクニックをもつドライバーが乗るもの」に見えるのかもしれません。
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ロータリー車のチューニングを得意とする「スピードファクトリー RGO」のRGOは「Racing Gang Ota」の略称で、ロータリーエンジンがブローする寸前の最もパワーが出る状態を維持するチューニングは「大田マジック」と呼ばれていました。その大田の誘いでRGOに所属していた「マサキ」は、サバンナRX-7(FC3S型)で谷田部最高速を競っていましたが、谷田部で事故を起こしてからは最高速の世界からは遠ざかっていました。しかし、湾岸線で悪魔のZに遭遇したことで「本物のチューンド」に魅せられてしまいます。その後、大田の組んだRX-7(FD3S型)で湾岸にカムバックし、悪魔のZとブラックバードを相手に首都高速・都心環状線(C1)の赤坂ストレート300km/hに挑戦しますが、バトル中にエンジンをブローさせ、あわやクラッシュ寸前になります。
1991年に登場したアンフィニRX-7(FD3S型)は、先代のサバンナRX-7(FC3S型)とまったく異なる新開発のシャーシに、255馬力を発揮するシーケンシャルツインターボで武装した「13B」型ロータリーエンジンをフロントミッドシップに搭載したピュアスポーツカーで、モデル末期には280馬力までパワーが引き上げられました。デビュー直後のモデルはリアタイヤが簡単にブレイクする「テールハッピー」なクルマでしたが、マイナーチェンジごとに熟成され「日本が世界に誇れるハンドリングマシン」と呼ばれるまでに熟成しました。現在ではスカイラインGT-Rやスープラと同様に海外での人気が急騰し、高値で取引されるようになっていますが、レシプロエンジンに比べてメンテナンスに気を使うロータリーエンジンのため、程度の良い個体を探すのが困難になっています。