【セリカGT-FOUR】ST205のWRC・パイクスピーク戦績

あわせて読みたい記事:【セリカ GT-TS】トヨタはTA64型でサファリラリー3連覇

あわせて読みたい記事:【WRC 名車列伝】初期のラリーで活躍したFR・FFモデルたち

あわせて読みたい記事:【セリカLBターボ グループ5】伝説のシュニッツァー仕様の軌跡

6代目モデルのセリカは、より一層高められたスポーツ性を特徴とし、シャシーは新設計、剛性力の向上に加え軽量化も図られ1993年10月にデビューしました。それまでのリトラクタブルヘッドライトから丸目4灯のフロントフェイス、3ナンバーサイズのボディ幅、流麗なシルエットが特徴的なエクステリアデザインとなりました。


「パワーユニット」

エンジンラインナップは、ハイメカツインカムの「3S-FE型:140ps」、スポーティツインカムの「3S-GE型:MT:180ps/AT:170ps」となっていました。とりわけ、このモデルのサスペンションシステムには走りを意識した初採用のスーパーストラットサスペンション装着モデルも用意されました。しかも、スーパーストラットモデルのMT車にはビスカスLSDが搭載され、オプションでスポーツABSも選択可能とし、更なるスポーツドライビングを実現していました。また2ドアクーペも用意され、アメリカやカナダ等の北米地域で販売されていました。


「グレード設定」

グレード設定は、「3S-FE搭載:SS-I」、「3S-GE搭載:SS-II」そして「SS-II」に初採用のスーパーストラットサスペンション装着モデルが存在していました。しかし、1997年12月にはエンジン改良等の大幅なマイナーチェンジが行われ、特に「SS-II」、「SS-III」に搭載される「3S-GE型」エンジンはVVT-i採用のBEAMSとなったことが挙げられます。VVT-i採用に伴って、オイルポンプの吐出量の増量化、オイル通路の新設、プーリーの追加、タイミングベルトカバーの形状変更、タイミングベルトの歯数・材質の最適化、ECUの変更、シリンダーヘッドガスケットのメタル化や、シリンダーヘッドの形状変更、バルブ挟み角の変更、ピストンの軽量化、インジェクター噴射口数の増加、ダイレクトイグニッションの採用、熱線式エアフロメーターの採用、サージタンク容量の拡大、フライホイールの軽量化、スロットルボア径の拡大、インテークポートにポートファンネル形状の採用、ステンレス製エキマニの採用、エキマニの等長化、触媒の小型化、新ダイアグノーシスの採用(国際規格化)、熱害警告装置の廃止(全グレード)などの変更が加えられています。その結果、最高出力は、200psまで向上させています。


「GT-FOUR(ST205型)」

1994年2月にWRCホモロゲーションモデルの「GT-FOUR(ST205型)」が登場しました。搭載されたエンジンはツインカムターボの「3S-GTE型」エンジンでレーザークラッドバルブシートや、インジェクター容量の拡大(430cc→540cc)、メタルガスケットの採用、Dジェトロ燃料供給方式や水冷式インタークーラーなどの装備により最高出力:255psを発生していました。駆動方式は先代同様フルタイム4WDで、スーパーストラットサスペンションを装着しブレーキも対向4ポット(前)、対向2ポット(後)のアルミキャリパー4輪ベンチレーテッドディスクとなり制動力も向上させています。また、大型リヤスポイラーやフードエアスクープ、ウォータースプレー、ミスファイアリングシステムなどを装備したWRC仕様モデルは国内限定で2,100台販売されました。この「GT-FOUR」は、「TTE」の「オベ・アンダーソン」監督の意見を取り入れて造られている特別なモデルでした。


「GT-FOUR(ST205型)」:スペック

  • 全長 × 全幅 × 全高(mm):4,420 × 1,750 × 1,305
  • ホイールベース(mm):2,535
  • 車両重量(kg):1,380
  • エンジン型式:3S-GTE
  • エンジン形式: 直列4気筒DOHC16バルブ ICターボ
  • 総排気量(cc):1,998cc
  • 最高出力:255ps/6,000rpm
  • 最大トルク:31.0kgm/4,000pm
  • トランスミッション:5MT
  • 駆動方式:4WD
  • サスペンションシステム(F/R):スーパーストラット・コイル
  • ブレーキシステム(F/R):ベンチレーテッドディスク

「モータースポーツでの活躍」

「世界ラリー選手権(WRC)」では、1994年の1000湖ラリーから参戦予定でしたが、スーパーストラットサスによるハンドリングの開発が進まず、ラリー・オーストラリアでのデビューとなっています。トヨタとしては、1994年は前半がセンダうモデルの「ST185」であったこともあり、2年連続2冠制覇となりました。ちなみに、この年は「ディディエ・オリオール」氏がフランス人初のドライバーズチャンピオンに輝いています。

その後「ST205型」は、重い車体と決まらないハンドリングによって、WRCの勝利は1995年のツール・ド・コルスのみでした。

更に同年のラリー・カタルーニャで、リストリクターに車両規定に違反する細工が施されていたことが発覚しています。

これはターボの負圧でリストリクターがスライドし、その隙間から多量の吸気を得られるというものでした。

その結果、この年の全ポイント剥奪およびWRCへの1年間の出場停止処分がFIAによって下され、「ST205型」でのトヨタのWRC活動は2年足らずで終了してしまいました。

それ以降はグループA規定におけるエントリー減少に危機感を持ったFIAがWRカー規定への移行を決定しており、結局セリカでのワークス活動は1995年が最後となってしまっています。

それでも、パイクスピーク・ヒルクライムでは「ロッド・ミレン」氏のドライブにより「田嶋伸博(モンスター田嶋)」を破って1994・96・97年に総合優勝を果たしています。また「アルミン・シュバルツ」氏が「ヨーロッパラリー選手権(ERC)」で総合チャンピオンを獲得している他、「JGTC」のGT300クラスでもRACING PROJECT BANDOHが運用し、2度の優勝を挙げています。


「ST205型:トヨタ・セリカ ラリー」:スペック

  • 全長:4424mm
  • 全幅:1770mm
  • 全高:1350mm
  • ホイールベース:2545mm
  • 車両重量:1200kg
  • エンジン型式:水冷直列4気筒DOHCターボチャージャー(3S-GTE改)
  • 排気量:1988cm3
  • 最高出力:217kW(295PS)/5600rpm
  • サスペンション:スーパーストラット(フロント)/マクファーソンストラット(リア)
cimashimashimanchu