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世界的な日本の国産名車として知られる「ダットサン(日産):フェアレディZ」は、1969年に先代モデルとなるオープンボディの「ダットサン:フェアレディ(SR311/SP310)」の後継モデルとしてデビューしました。デビューに至るまでの開発は、1960年代当時、アメリカ日産の社長であった「片山豊」氏でした。「ダットサン・フェアレディ(SR311)」でモータースポーツでは成功を収めていたものの、市場では年々厳しくなる北米の安全基準に適合できなくなると考え開発がスタートしました。自身はインタビューで「ジャガー・Eタイプのような車を造ってくれ」と要望を出したと述べており、初代モデル「フェアレディZ」のエクステリアデザインは優雅で美しいボディシルエットが描かれました。さらに「フェアレディZ」のシャシーポテンシャルは高度なもので、軽量なモノコックボディに、前後輪ともストラット式サスペンションによる四輪独立懸架を備え、市場で先行する「ジャガー・Eタイプ」や「ポルシェ・911」などと競えるほどに仕上げられました。
今回、登場するカスタムマシンである「S30型:フェアレディZ」は、「S30Z」のチューニングにおいては、定番のL型エンジンチューンではなく、ライバルとも言えるロータリーエンジンを搭載しているカスタムマシンなのです。しかも3ローターターボを搭載しているのです。
このカスタムマシンを製作したのは、三重県にある「コモンスナッパー」社です。このショップは、もともとカスタム系に強いショップとして知られていましたが、「ジャパニーズ・プロ・ツーリング」というスタイルを提唱し、旧車の異色チューンに精力を注いでいる実力派ショップです。この「S30Z」もショップの流儀に沿って開発されたものなのです。
パワーユニットとなるエンジンは、注目の3ローターエンジンであり、前後重量配分を考えてフロントミッドに搭載しています。その際、排気系(タービン)パーツと干渉してしまうステアリング機構は、輸出仕様のパーツを使いレフトハンダー(左ハンドル化)へとコンバートしています。
このロータリーエンジンに組み合わせるタービンは「T88-33D」です。制御システムはHKS製F-CON Vプロによるもので、最高出力は500psを発生させています。実は、このスペックというのはエンジン本体の耐久性を考慮した数値だということです。
それでも3ローターターボのトルクフィールは驚愕のポテンシャルを発揮するということです。この高出力を安定発揮させるためのクーリングチューンも徹底しており、ワンオフのアルミラジエターとブリッツ製のインタークーラーをVマウント化して配置しています。
このカスタムマシンは、オリジナルホイールのプロモーション用ショーカーとして「魅せる・驚かせる」ために作られたのはもちろん、サーキットを本気で走らせる(主に派手なドリフトをしたい)ことも目的としているということです。
そのため、インテリアには溶接留めのロールケージが張り巡らされ、シャーシ主要部分にはスポット増しも施されています。またサイドブレーキも競技ドリフト車の多くが採用している油圧式を投入して、確実にリヤタイヤをロックできる仕様に仕上げられています。
足回りにおいても、フルチューン仕様です。フロントサスペンションは「Y33型:セドリック」のストラットやハブまわりを加工装着して5穴化、「R33型:スカイライン」のブレンボ製ブレーキ装備を可能としています。
ホイールはオリジナルの「バラマンディ・デザイン」で、軽量・高剛性・スタイリングの要素を高い次元でバランスさせたフル鍛造3ピースとなっています。サイズはフロント9J-10、リヤ9.5J-30(17インチ)でタイヤにはフェデラル595RSをセットしています。
電動パワステ化やサイド出しの刺激的なマフラー&ウエストゲート、エンジンルームのワイヤータックなど、自由度が高く刺激的な作り込みが細部に散りばめられています。