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「ダットサン(日産):フェアレディZ」は、1969年、日本国内ではSUツインキャブレターを装備したSOHCのL20型と、当時の旧プリンス系で開発されスカイライン2000GT-Rに搭載されていたソレックスツインチョークキャブレターを3基装備したDOHCのS20型の2種類の直6 2.0 Lエンジンが設定されてデビューしました。総生産台数が55万台という日産スポーツの大ヒットモデルとなり、今や世界的な日本の国産名車として知られる「ダットサン(日産):フェアレディZ」として現代でもチューニングマシンとして人気を誇っています。今回のカスタムマシンは、この「S30型:フェアレディZ」の中でも特別な「240ZG」のカスタムマシンです。
「スタジオ・サトー(studio sato)」社の「240ZG」は、「TSレース」が盛んだった当時、「日産大森(現NISMO)」からレース用オプションパーツとしてクロスフロータイプのヘッド(LYヘッド)が供給されていた「フェアレディZ」のワークス系レース車両が搭載していたスペシャルエンジンへのオマージュともいえるエンジンチューンが施されています。実際、ワークスパーツともいえる「LYヘッド」は一部、一般ユーザーにも販売された様子もあるものの、ヘッドだけで約300万円もしたため一般にはほとんど出回らず、今では幻とも言われているエンジンです。現在では「LYヘッド」の現存数はおそらく10機ほどであり、実働状態の搭載車はわずかの5台とも言われているほど貴重なパーツです。このような幻のヘッドを、「RB20E」型エンジンのヘッドをベースに見事に再現し搭載したのが、「スタジオ・サトー(studio sato)」社の「240ZG」です。
RB系エンジンというのは、当時の日産の生産ラインの都合によりL型6気筒エンジンと気等間ピッチ等が共通で、「RB20」型特有の7点支持カムシャフトは、ヘッド中心からリフターを介してロッカーアームを作動させ、LYヘッドよりカム位置を下げた、ある意味進化したエンジンと言える存在なのです。
そのために「スタジオ・サトー(studio sato)」社は、L型エンジンの腰下に「RB20E」のヘッドを組み合わせ、「LYヘッド」を彷彿とさせるクロスフローヘッドのL型エンジンの製作を計画し完成させているのです。組み合わされるキャブレターは、ウェーバー製50Φキャブレターですが、ベンチュリー径やジェットの微調整、あるいは2号機以降で、ハイコンプピストンの投入などをしていけば最高出力:400psに迫る可能性もあるということです。
このRB改ヘッド搭載のエンジンは「CF-L」エンジンと名付けられ、「スタジオ・サトー(studio sato)」社でヘッドコンプリート販売されることになっているということです。その費用はキャブやタコ足を含まない、最低限のヘッドを搭載するための加工やパーツや鋳物の製作物を含めて、仕様により120万円~になるとのことです。目標出力はビックバルブ、76度カムシャフトに一般的なL型3.1L仕様ブロックの組み合わせで300ps程度ということです。それ以上の出力を狙うならば、ピストントップ形状を専用設計した高圧縮ピストンを使う必要があるとのことです。ちなみに、このエンジンの腰下はプレーリーピストン、L20コンロッド、LDクランクという一般的な組み合わせです。
タペットカバーや、フロントカバー、オイルパン、インマニなどはこのエンジンを製作するために鋳型から起こしてアルミ鋳造で製作したものということです。タペットカバーの形状は、もちろん「LYヘッド」をモチーフに製作されています。オイルパンは、エンジンの傾きを変更するために必要となって製作されました。アルミ鋳物のため、ブロック剛性アップにもひと役かっているようです。「RB」エンジンはベルト駆動のため、カムギヤなどは交換されL型と同じチェーン駆動に改造されるなど、実際に組み合わせるには多くの加工が必要です。
フロントには「FD3S型:RX-7」の4ポットキャリパーを使い制動力をアップさせています。また、ターンフロー化した際にキャブと干渉してしまう可能性があったためマスターバックはキャンセルされています。
インテリアデザインはシンプルで機能的なもので、ダットサンコンペハンドル、セミバケットシート、純正置き換えのメーターなど。
トランスミッションは、逆に傾いたエンジンとちょうど角度があったDR30用5速マニュアルが搭載されています。