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日本の国産旧車の王道として数えられることが多い「日産・スカイラインGT-R(KPGC10/PGC10)」通称:ハコスカGT-R。その伝説、スタイリング、チューニングの可能性など多くの人を魅了するポテンシャルは数えきれないかもしれません。そのような中でもハコスカレーシングともなれば、さらに希少な個体となります。しかし、今回のカスタムマシンはハコスカレーシングをさらにチューニングしているというのです。まずは、「ハコスカ」のヒストリーを振り返ってみましょう。
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1968年の10月に開催された東京モーターショ ーで、レーシング・マシンである「R380」用のGR8型 エンジンをディチューンした2リッター直6 DOHCの「S20」ユニットを搭載した「スカイライ ンGTレーシング仕様」を参考出品として公開しました。そして、1969年2月にその市販バージョンである「スカイライン GT-R(PGC10型)」がデビューしています。レースデビューは1969年5月に開催された「JAFグランプリTSレース」となっています。日産村山工場で製作された4台のワー クスマシンがレースに参戦しましたが、結果は、当初は2位というものでした。しかしその後トップでゴールした「トヨタ1600GT」の失格裁定(走路妨害)という裁定がくだされ繰り上げによる優勝という形にはなったものの、それ以降 のレースでは圧倒的なエンジンパワーでライバルを圧倒し、前述の通り連戦連勝を飾っていくことになりました。さらに1970年にスカイラインに2ドア・ハード トップが追加されると、GT-Rも2ドアの KPGC10型へとアップグレードされます。4ドアに比べ70mm短いホイールベースと20kg軽くなった車体の効果でコーナリング性能が向上し格段に速さが増しています。同時にレース仕様もさらなる進化を遂げ、エンジンもチューニングがルーカス製機械式イン ジェクションを装着しドライサンプ化され、排気量:1,989cc 直列6気筒 DOHC 24バルブの「S20」ユニットは、最終的に最高出力264ps/8,400rpm、最大トルク21.0kg-m/6,800rpmを発生したといわれています。そして1972年1月の「富士300キロスピード レース・スーパーツーリングレース」で、「高橋国光」氏がスカイラインGT-Rの国内レース通算50勝を達成。 最終的には国内レースで57勝を飾り、現代にまで続くGT-R神話を作り上げたのでした。
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市販モデルはソレックス40PHHキャブが3連装着されていたが、日産ワークスや一部の強豪チームが使うレースマシンには、ルーカス製のインジェクションシステムが備わるエンジンが供給された。
今回の個体はレース車両ベースのハコスカGT-R。まさにその“特別”なパワーユニットが搭載。しかも、ルーカス製インジェクションのスライドバルブの機械式の作動には、手順があるというのです。
スタータースイッチを押す係が一人、スタート時の予備燃料をファンネル部分に吹きかける係が一人、万が一に備えて消火器を構える係の3人体制でエンジンを掛ける必要があるという、気難しいエンジンだったようです。
このインジェクションシステムを改良するためにBNR32スカイラインのシステムを組み込んでHKSのF-CON Vプロで制御するチューニングが施されているようです。
パーツの流用としてはBNR32から移植されたパーツとしては、クランク角センサー、スロットルポジションセンサー、インジェクター、パワートランジスター、水温センサーなど。まずクランク角センサーはデスビ部を改造してスロットルの脇にセット。また、アールズのホース先にはフューエルデリバリーパイプと444ccインジェクターが装備されている。そしてスライドバルブのスロットルを作動させる部分には、スロットルポジションセンサーを装着。
圧力は各気筒のインマニから取る。タンクの下にあるのがF-CON Vプロの圧力センサー。燃料や点火のコントロールで重要な水温補正も行えるように、ラジエターへ繋がる部分には水温センサーを設置。
BNR32パワートランジスターを流用し、F-CON Vプロ制御の同時点火システムを構築。
室内は、スパルタンなレース仕様。トランクにはフロア貫通で100LのATL安全タンク、ボッシュの燃料ポンプやコレクタータンクも並ぶ。