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映画「007」シリーズにおいて毎回注目されるのが、ボンドカーと言えるでしょう。1964年に公開された「007 ゴールドフィンガー」においては、「DB5」がベースとされており、ゴールドフィンガーの撮影用に作られたDB5は合計で4台でした。そのうちの一台目がオークションに出品されて注目されました。カスタムの内容は映画仕様そのものです。リアトランク前の防弾スクリーン、シート射出機能、カーナビゲーションシステム(レーダー兼用)、オイルスプレー、格納式マシンガン、煙幕が装備されています。
この個体は世界に13拠点あるアストンマーティンのヘリテージスペシャリストのひとつ、ルースエンジニアリングによって4年かけてレストアされた、とのことです。このナンバー「BMT216A」はイギリスでのシーンにて使用されたものです。ちなみに回転ナンバープレートを装備してナンバーを変更でき、スイス、フランスのシーンではまた異なるナンバーを使用していました。
下記のリア写真は煙幕を発生したところです。そしてトランク前には防弾スクリーンですが、実際に弾を受けた風の加工が施されていることは注目です。
興味深いことにこのDB5は、実際にはゴールドフィンガー本編の撮影には使用されず、ゴールドフィンガー、そして次回作「007サンダーボール作戦」のプロモーションに使用されたようです。またDB5は、合法に公道走行可能ということです。これも興味深いもので、アストンマーティンが「復刻」すると発表した「新車の」DB5は公道走行できないのです。実際に、今回落札されたアストンマーティンを公道で走行させることは無いかと思いますが、イベント等への参加を考えると登録できたほうがポイントは高いということです。ちなみに「007ゴールドフィンガー」に使用されたアストンマーティンDB5は上述の通り4台で、うち撮影に使用されたのが2台、プロモーションに使用されたのが今回の個体を含めて2台だとされています。撮影に使用されたうちの一台は長年行方不明だったものの2018年に発見され、もう一台は2010年に開催されたオークションにて4億5000万円の値をつけており、コレクターのハリー・イエッギー氏が購入し管理しているということです。プロモーション用の2台のうち、一台は個人コレクターが2006年に2億3000万円で購入し、もう一台はオランダはハーグにある博物館に所蔵されていると報じられていますが、今回の個体がその「どちら」なのかは不明ということです。
こちらが「シート射出」のためにルーフを外した状態の写真です。
バンパーガードもギミックがありますが、もちろんフロントにも内蔵されています。
マシンガン(30口径、ブローニング機関銃)もウインカー奥に内蔵していますが、もちろん実弾は撃てず、発射音を再現するにとどまります。なお、このマシンガンを除いて、すべての「特別装備」は完全に動作する、とのことです。
ミラーに内蔵されているレーダー用アンテナの写真。
インテリアに注目するとカーナビゲーションとレーダー探知機が装着されています。ホーマー(携帯発信機)からの電波を受信し表示します。
当時の「DAVID BROWN」文字入りアストンマーティン・エンブレム。
トランク内にはすべてのギミックを作動させるためのアクチュエーター等が内蔵されています。
インテリアの全貌です。座席下には拳銃や手榴弾などが格納(シートの上に出してあるセット)しています。
センターコンソールを開くと各種装置を作動させるスイッチが並んでいます。
もちろんメーターはスミス製が装着されています。表示は「キロ計」ではなく「マイル計」のようです。
こちらがシフトレバーに内蔵されたシート射出用スイッチ。
気になる1964年の007映画「ゴールドフィンガー」の撮影に使用されたアストンマーティンDB5のオークション落札価格ですが、RMサザビースの開催したオークションにおいて、6,385,000ドル、邦貨換算で約6億7000万円で落札されています。予想落札価格は400万ドルから600万ドルの間と見られていたものの、これを大きく超えた額で落札されたことになり、「通常の」DB5の420万ドルという落札記録を上回ったのみならず、ボンドカーとしても史上最高額での落札になったと報じられています。