あわせて読みたい記事:【ニスモ GT-R LM】ルマン公認のため唯一製作されたR33
あわせて読みたい記事:【セリカLBターボ グループ5】伝説のシュニッツァー仕様の軌跡
あわせて読みたい記事:【インプレッサ 22B STi】伝説の限定マシンのスペックとは
「NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社)」が、発表したスペシャルマシンとなる「スカイラインGT-R(BNR34)」ベースのコンプリートカーである「NISMO R34GT-R Z-tune」は20台限定モデルとして発売された貴重なモデルでした。
1989年の「R32型:スカイラインGT-R」の登場以来、「R33型」、「R34型」にわたって約15年間のレースシーンで数々の勝利を重ねてきた2ndジェネレーションの「スカイラインGT-R」は、その名機「RB26DETT」エンジンとアテーサE-TSを組み合わせたその先進的なメカニズムによって常にその時代をリードし、幾多もの勝利を手中に収めたくさんのGT-Rファンを魅了し続けてきました。そして、その2ndジェネレーションスカイラインGT-Rの完成形というべきR34型をベースに「Gr-A」、「N1」、「GT500」、「Nur仕様」等のレース車両を開発し、さらに自らもレース参加活動を続けてきた「ニスモ」が、15年にわたって蓄積した技術とノウハウを余すことなく投入し、「世界最強のロードゴーイングカー」、そして「TOP OF THE GT-R」をキーワードに造り上げたコンプリートカーが「NISMO R34GT-R Z-tune」なのです。 「NISMO R34GT-R Z-tune」は、2000年にその基本コンセプトを決定し、プロトタイプ車を用いての開発・テスト、そして各パーツの実戦投入・改良が続けられ、「ニスモ」が創立20周年を迎え、限定20台で登場しました。
「NISMO R34GT-R Z-tune」は、「ニスモ」が厳選したアプルーブドカーをベースに製作されるコンプリートカーとなっていました。走行距離は30,000km以下に限られており、ボディの状態等の諸条件をクリアした車両は改造部位を一度分解し、ボディ補強等の作業を行った後に塗装し再度組み上げらるという徹底したカスタマイズが施されていました。また「ニスモ」によれば、エンジンの製作から車両の組み立てに至るすべての作業は、熟練のメカニックがレース車両同様のハンドメイドで行うことにより、量産車では実現できない「精度」、「スペック」を実現しているとのことです。
「NISMO R34GT-R Z-tune」の圧倒的な動力性能を実現する心臓部が「RB26DETT改 Z2」エンジンです。そのポテンシャルは、368kW.(500ps)/540N・m(55kg.f・m)以上の高い出力/トルクを発生し、かつロードゴーイングカーとして必要な高い耐久性を実現するため、組み込まれるエンジンパーツにもレース用エンジンのノウハウが直接活用され、ロードゴーイングカーとしては過剰なまでのハイクオリティパーツが使用されています。またエンジンは20基すべてにシリアルナンバーが与えられ、将来にわたってデータ管理が行われることとなっていました。
「GTエンジンブロック」:2001年以降のGT500用エンジンは2.8Lで参戦してきましたが、2.8Lエンジンのビックボア(φ87mm)と、ハイブーストを実現する為、N1仕様のエンジンブロックに対して、各部の剛性を向上させたエンジンブロックが必要となりました。今回の「Z2」のエンジンブロックはこのノウハウを生かしたものが採用されました。
「GTクランクシャフト」:「GTエンジンブロック」と同様にGT500用エンジンに使用された他、ニュルブルクリンク24時間耐久レース仕様等、多くのカテゴリーのレースに実際に採用され、その性能・耐久性が確認されたロングストローク・クランクシャフトです。スタンダード比4mmアップのロングストローク(77.7mm)を実現する事に加え、製造方法に型鍛造+フィレットロール加工を採用することにより、高い耐久性を実現しています。
「ピストン」:「RB26DETT改 Z2」専用の鍛造ピストンを採用、最大ブースト圧0.15MPa(1.5kg./cm.)で368kW(500ps)/540N・m(55kgf.・m)以上という圧倒的なエンジン性能とエンジンレスポンスの向上を実現するため、軽量・高剛性のクーリングチャネル付き鍛造ピストンを専用に開発しています。
「GTコンロッド」:121.5mmのディメンションを持つコンロッドは、「GTクランクシャフト」同様にGT500の他、ニュルブルクリンク24時間耐久レース仕様等で実際に採用されたコンロッドです。材質にSNCM439材を採用することで軽量かつ高い強度を確保しています。
「ターボチャージャー」:2001年以降のGT500車両、そして2004年のニュルブルクリンク24時間耐久レース仕様車に使用した実績をもつ、IHI製ターボチャージャーを採用しました(スペックは異なります)。軸受け部にボールベアリング式を採用することにより、大型のターボチャージャーで発生しやすいレスポンスの低下を抑えながら、ハイブースト時の圧倒的なターボフィーリングを実現しています。
「エキゾースト」:拡大された排気量とハイブーストにより増大した排気ガスを効率的に洗浄、排出するため、キャタライザー性能の向上とパイプ形状と口径を最適化しており、材質にチタン(Frチューブはステンレス)を採用することで大幅な軽量化を達成していました。
「軽量・高剛性」なボディシェル:車両の骨格というべきボディにはの強靭なボディを実現するため、ドア開口部へのスポット溶接の追加に加え、溶接熱によるボディの変形が発生しやすい部位にはCFRP成型品の貼付を接着方式で行っていました。
「SACHS」社製 Z-tuneスペシャルサスペンション:ハンドリング性能に大きく影響するサスペンションパーツには、GT500車両でも使用実績のある「SACHS製」ダンパー(車高、減衰力・3way調整式)をベースに「Z-tune」専用にチューニングし、Sタイヤ装着によるクローズドサーキットでのハイスピード走行に加え、スポーツラジアル装着によるストリート走行まで、幅広い走行状況に対応できるようにしていました。
「brembo」社との共同開発 Z-tuneスペシャルブレーキ:Sタイヤ装着時の目標性能を1.6Gとして開発されたブレーキシステムは、「brembo」社との共同開発で生み出されたモノブロック6ピストンキャリパー(フロント用)をはじめ、φ365mmのローター径を持つ2ピ-ス・フロントブレーキローター、(株)KIRYUと共同で開発されたφ355mm1ピース・リアブレーキローター等のパーツにより構成され、さらにこれらのハイパフォーマンスパーツの性能を生かしきるため、ABS制御ユニットを専用にチューニング。また、アテーサET-S、アクティブL.S.D.については、エンジン出力の向上にともない、フロントへのトルク配分の適正化、リデファレンシャルの効きの向上をはかる等のチューニングを行うことにより、ベース車両である「スカイラインGT-R(BNR34)」が本来持っているハンドリングの良さを忠実に再現。
レースの信頼性をロードにブリヂストン製タイヤ&RAYS社製ホイール:車両と路面の唯一の接点であるタイヤ&ホイールにはニスモのレース活動を長年にわたってサポートし続けるブリヂストン製とRAYS製を採用。タイヤは公道走行時には「POTENZA REO1R 265/35R18」そしてクローズド・サーキットでのスポーツ走行時には新開発「POTENZA RE55S 265/35R18」を装着する事により、走行シーンに応じた最高のパフォーマンスを発揮。またホイールには新規に共同開発した軽量鍛造アルミホール「LM GT4″GT500モデル”」のブラックカラーを採用。GT500レース車両同様のリム形状/カラーを持つこのホイールをベースにリム幅・オフセットを「Z-tune」専用にリサイズ(18×9.5J OFF+5)。
駆動系では、クラッチ 「SUPER COPPERMIX TWIN」、カーボン製プロペラシャフト、デフオイルクーラーを採用:パワートレーンパーツの代表であるクラッチには、「441kw.(600ps)/589N・m(70kg.・m)対応」そして「究極の扱いやすさ」をキーワードに新開発した「SUPER COPPERMIX TWIN」を採用しました。「NISMO R34GT-R Z-tune」のために開発された言っても過言ではないこの新型クラッチは、ディスク部にカッパー(銅)を最適量ブレンドした高摩擦材を採用することにより、熱による摩擦μ低下やディスクの変形、メタル材を活用したクラッチに起こりやすい「ジャダー」の発生抑制に成功。高摩擦材のディスクを採用することによりクラッチカバーの圧着力を下げることが可能となりクラッチペダル踏力の低減も実現。そしてプロペラシャフトにはCFRP製を採用。STD比5.26kg.の軽量化(STD:12.52kg.)を達成し、運動性能の向上に貢献しています。また高速連続走行時のトランスミッションおよびリアデファレンシャルの油温を最適化するため、専用のオイルクーラーを装着。クローズド・サーキットでの連続走行においても安定した性能を発揮し、耐久性の向上にも貢献しています。
軽量・高剛性のドライカーボン製パーツ:エクステリアでの最大の特徴は、この車両専用に開発されたCFRP製のフロントバンパー、フロントブリスターフェンダー、ボンネット等のエアロダイナミクスパーツです。これらのCFRP製ボディパーツは車両前部の軽量化に加え、フロントバンパーはエンジン、ブレーキへの効率的なエアの導入を、そしてフロントブリスターフェンダーは拡大されたトレッドに対応するため、片側15mmワイド化、さらにエンジンルーム内のエアをフェンダー内から排出する機能を備えています。ボンネットは、高速走行時のラム圧効果による吸入空気量を確保するエアダクト付、車両前部のダウンフォースを生み出すフロントアンダースポイラー等、この車両に装着されるすべてのエアロダイナミクスパーツは空気を見方にするアイテムです。また、専用ボディカラー(シルバー)、専用エンブレム&プレートも用意。
高品質なインテリア:さらにインテリアにもレザーシートや320km/hフルスケールホワイトメーター、データロガー&ラップタイム計測機能付きマルチファンクションディスプレイ(MFD)を採用しています。