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「トヨタ自動車」が「WRC(世界ラリー選手権)」に復帰して活躍していることが、メディアで取り上げられて日本国内においてもラリーのモータースポーツも活気があふれている様子ですが、そのラリー歴史は伝統的なものがあります。なんといってもドライバーの世界一を決める「F1GP」と、クルマの世界一を決める「WSC(スポーツカー世界選手権)」は、ともに1950年代序盤に始まっているものの、それ以前から例えば、モンテカルロ・ラリーは1911年から開催されていました、そして、それを世界的に組織立てたシリーズとしてラリーの世界一を決める「WRC(世界ラリー選手権)」が始まったのが1973年なのです。とはいっても、FIAが統括するようになりレギュレーションも統一されていたものの、当初はグループ2やグループ4など、市販車をベースにチューニングしたラリーカーが主役でした。では、当初のWRCにおいて活躍した名車たちを振り返ってみましょう。
戦前に設立されたイギリス・ドイツの「フォード」が統合され、ヨーロッパ・フォードが誕生した1967年にデビューした、小型乗用車が「フォード・エスコート」です。リジッドのリアアクスルをリーフスプリングで吊る後輪駆動という、まさに古典的なFRのシャシー構成であり、大衆車そのものでしたが、ラリーカーとしてのポテンシャルは高かったようです。ベースモデルは、排気量:1.100ccと1.300ccの直列4気筒OHVの構造でしたが、スポーツモデルとしてコスワース製の1.600cc BDAを搭載した「エスコートRS1600」が登場しました。そして1975年には2代目モデルに移行し「エスコートRS1800」も1.800ccから最終的には2.000ccまで拡大され、各地のラリー競技で大活躍しました。
イタリアのトップメーカー、フィアット社の製品の多くのクルマがラリーカーのベースになっています。その中でもチューニングメーカーの「アバルト」が手掛けたモデルは優秀なリザルト結果を残していることも評価されています。そのモデルたちの中で有名な2台がスポーティな「アバルト124スパイダー」も、4ドアセダンモデルの「アバルト131」といえるでしょう。この2台は、ベースモデルはインパクトのあるスペックではないものの「アバルト」がチューニングすることによってポテンシャルは大幅に向上しています。特に「アバルト131」は、マニュファクチャラーズで3度も戴冠した傑作でした。
1969年にフィアット傘下に入った「ランチア」が、ラリーで勝つために生み出したクルマが「ランチャ・ストラトス」です。2座クーペでキャビン背後にエンジンを搭載するミッドシップ・レイアウトを採用しています。そのパワーユニットは、フェラーリ製で「フェラーリ・ディーノ246GT」に搭載されていたのと基本的に同じ4カムのV型6気筒エンジンですが、ラリーで威力をより発揮しやすいように中低回転域のトルク特性を考えてチューニングし直されています。またホイールベースが短いことでクルマの回答性が高まっており、これもラリーカーとして大きな武器となっていました。1974年のサンレモでWRC初優勝を飾り、同年早くもチャンピオンマシンとなっています。
航空機や軍需品のメーカーとして知られた「サーブ」ですが、戦後になって自動車産業に進出し、1950年には2サイクルエンジンで前輪を駆動する「サーブ・92」を発売していました。その「サーブ・92」の発展モデルとして1960年に登場したのが「サーブ・96」で、当初は「サーブ・92」と同様に2サイクルエンジンを搭載していたものの、1967年にはフォード・タウナス用の4ストロークV型4気筒エンジンに換装した「サーブ・96V4」を発表しています。2サイクル時代よりはパワーアップしていたものの絶対的にはまだ非力でしたが、軽量なボディと熟成されたハンドリングを武器に、モンテカルロやRACラリーで連勝を飾っています。
1968年に登場した「プジョー」の中型セダンが「プジョー・504」です。前身モデルの「プジョー・404」では後輪がリジッドでしたが、この「プジョー・504」では4輪独立懸架を採用し、サスペンションシステムは向上しました。デザインは「ピニンファリーナ」が手掛けたこともあって、スタイリングも美しいと評判になったモデルでした。しかし、「ルノー」や「ボルボ」と共同開発したV型6気筒エンジンを搭載、グループ4規定に則ってチューニングされたラリーカーは、特にアフリカ大陸で威力を発揮、サファリラリーでも1975年と1978年の2度、総合優勝に輝いています。