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世界中のモーターファンを魅了し続ける「ポルシェ」がその70周年を記念し、「ポルシェ・356」から現代の「ポルシェ・911」に至るまでの「スポーツカーの軌跡」を紹介するコンテンツを公開しました。エクステリアデザインの変化というよりも車体重量やエンジン性能、タイヤサイズなどいくつかの項目に分けられており、それぞれ図解されてわかりやすい内容となっています。振り返ると、「ポルシェ」社のモデルヒストリーは大幅な変更もあれば、変わっていない部分があったりします。そのようなことを考えると、「ポルシェ・911」というモデルはデビューした70年前に基本的な構造が仕上げられていたということもわかります。以下が「ポルシェ」の公開した、「スポーツカー70年」の軌跡
となっています。
「ポルシェ」初のスポーツカーというのは、「ポルシェ・356」となりますが重量はわずか600kgです。その後重量は増加し、「993型」世代で大きく増えています。しかし、その後の増加幅はかなり抑えられています。安全性などの重量増しもあったものの軽量化技術が進歩し、重量が抑えられていると思われます。これによると現代の「ポルシェ・911」の車体重量は1400kgほどとなり「ポルシェ・356」の2.5倍ほどの重量となっていることもわかります。
「ポルシェ・911」は「リアエンジン」という特殊なレイアウトを持ち、それの持つネガティブな点(オーバーステアや接地感覚、重量配分など)を打ち消そうとした段階で発展したのが「タイヤ技術」といえます。「ポルシェ・911」の歴史はタイヤの歴史だとも言えそうですが、リアタイヤは125から295へ、そしてフロントタイヤも185あたりから245へと拡大しています。今後も継続して拡大しグリップ力もアップされていくことでしょう。
モデルチェンジの度に伸びているもの、どうしてもパッケージング的制約があって大きく伸ばせないのがホイールベースということになります。次期型となる「ポルシェ・911(992型)」では、エンジンがより車体中央に押し込まれるとされ、その状況下でリアサスペンションに割けるスペースをどう確保するのか、という部分が課題とされており注目されています。
ディスクブレーキに移ってからは大きな変更がなく、それでも素材(カーボンセラミック)やピストン数など細かいところで進化が見られます。今後は「カイエン」に採用される「タングステンコーティング」や、「ブレンボ」社の開発した軽量ブレーキ、そして電気式ブレーキなど大きな改革があるかもしれません。
こちらは制動つまり停止する距離です。左が最新世代の「ポルシェ・991.2」ですが、「ポルシェ・964」に比較して短縮できたのは6メートルほどです。「ポルシェ・964」世代以降は車体重量が大きく増加しており、そのためにどうしても「止まりにくい」という結果になっていると思われます。
大幅に改善されているのが「ニュルブルクリンク」のタイムです。制動力はさほど変化がなく、となると「加速力」「コーナリングスピード」が飛躍的に向上した、ということになりそうです。1963年の「ポルシェ・911」に比較して、現行の「ポルシェ・911」は「2分半も」タイムを短縮しています。
リヤサスペンションも大きく変わったところのひとつです。「ポルシェ・356B」の時代ですでにトーションビームではなくマルチリンクシステムを採用していたのも驚きですが、サブフレームやサスアームなど構成部品の形状が大きく変化し、最新モデルでは(オプションですが)後輪ステアリングも装備されます。
フロントサスペンションも進化著しく、「ポルシェ・964」世代からコイルスプリングへ変更されています。ただし基本構造(ストラット)はあまり変わっておらず、リアサスペンション同様に「ポルシェ・356」時代に「基本が完成していた」ということになります。
こちらはシャシーコントロールデバイスですが、こちらが向上するのは当然といえます。「ポルシェ・997」世代で「PASM」が登場し、「ポルシェ・991」世代では「PDCC」や「EPS」も装備しています。今後、この傾向も加速することになりそうです。
「ポルシェ」のヒストリーは基本設計がしっかりとしていれば、長年にわたり変更を大幅に加えることなくとも最新技術を装着するだけでポテンシャルは大きく向上することを教えてくれます。