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世界の名車「マクラーレン F1」は、「マクラーレン」の創始者である「ブルース・マクラーレン」の果たせなかった、「マクラーレンの名を冠したロードゴーイングカー」を具現化した車です。設計はブラバムやマクラーレンのF1マシンの設計者である、自動車デザイナーの「ゴードン・マレー」の手によるもので、「ゴードン・マレー」の嗜好や思想を充分に反映させたデザインとなっています。エクステリアデザインは「ピーター・スティーヴンス」です。新車価格は当時日本円にして約1億円であったが、それでも売れば売るだけ赤字になるというほどコストが惜しみなく注ぎ込まれた車です。F1登場以前のスーパーカーにはフェラーリ・F40、ポルシェ・959などがあったが、F40はランチア・LC2、959はポルシェ962Cの双方共にグループCレーシングカーから転用されたターボ過給された準レーシングカーエンジンであり、居住性よりも性能を優先させた「公道を走れる準レーシングカー」と言っても過言ではないものでした。
「マクラーレン F1」は、プロトタイプ含めて106台が製造されたそうですが、そのうち公道走行可能なのはマクラーレンによれば、わずか64台ということです。
今回の「マクラーレン F1 HDF」というモデルは、カスタマイズされた個体で通常モデルとは異なるフロントスポイラー、ルーバー付きのフロントフェンダー、そしてリアウイングを持つことが外観の特徴です。しかも、この個体を特別なものとしているのはそのエンジンです。このエンジンは「LMスペック」を持ちますが、上述通り「LM」は1995年にマクラーレンF1がル・マンにて優勝を飾ったことを記念して5台のみが発売されたもので、エンジンは最高出力:636馬力から最高出力:680馬力へとパワーアップされたものです。
なお、この出力向上はレブリミットを1000回転引き上げることで達成されており、これによって発生する熱量を処理するためにラジエターを2個追加し、さらにはトランスミッションクーラー、専用エキゾーストシステムが与えられています。もちろんエンジンフードは放熱性(熱伝導率)を考慮して「順金張り」となっています。ナンバーは「ニュージーランド」登録で、「MCL F1」。
この「マクラーレン F1 HDF」として知られる個体で、もともとはミッドナイトブルーのボディカラー、ブラックのインテリアを持っていたものです。ただ、2番めのオーナーがこの車両をマクラーレンに送り、そこで「LMスペック」へと改装を受けた、と記録されています。
この個体は以前に「マクラーレン」が公式に「超レアモデル」として紹介したことがあり、「2台のうちのもう一台」は2015年に16億円くらいで落札されたことあったようです。そして外観とエンジンだけではなく「到るところ」に手が入っているのも「マクラーレン F1 HDF」の特徴で、レーススペックのダンパーとスプリングが装着され、18インチサイズの「マクラーレン F1 GTRホイール」への交換がなされています。
なお、「マクラーレン」いわく、この「ハイダウンフォース」エアロキット装着によって「ル・マンで優勝した「マクラーレンF1 GTR」よりも高いダウンフォースを獲得している」とされています。
新しくペイントされたボディカラーは「プラチナム・グレー」、インテリアは「クリーム」で、これにベージュとブラウンのレザーが組み合わせられています。
インテリアカラー同色、F1ロゴ入りのラゲッジセットも付属。このクルマで長距離ツーリングに出かける人はまずいないと思いますが、所有する満足感を高めてくれるアイテムでもあります。
「マクラーレン F1」ならではの「3シーター」を採用していますが、これの乗り降りはかなり難しく、そのため「マクラーレン F1」のマニュアルには「乗降方法」も記載してあるほどです。エンブレムもスペシャルバージョンのようで、レッドのトリムが与えられています。
なお、エンブレム周辺を見るとプロテクションフィルムが施工されていて、つまり前オーナーはこのクルマをコレクション用としてではなく「実際に乗る」ことを考えていた模様です。実際に走行距離は「21,500キロ」を刻み、マクラーレンF1としては、かなり走っている個体のようです。そのほか、リアディフューザー、リアフェイシアも特別性のようです。
インテリアで特徴的なのはシートは「デイトナシート」っぽい横ラインとパンチングが見られます。ステアリングホイールは「14インチ」と小径ステアリングが装着されています。
スイッチ類のパネルもカーボン。
フェンダーにはオーバーフェンダーが装着されています。
センタートンネルも特別製。「マクラーレンF1サービス・プログラムのマネージャー」である「ハロルド・ダーモット」氏は、このクルマのオーナーに対して「このナンバー018は製造されたF1のうち、もっとも特別なクルマである」と手紙を書いたことがあるといいます。