【クモの巣】 今後の「再生医療」に希望となる研究結果とは一体?

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【クモの巣】 今後の「再生医療」に希望となる研究結果とは一体?

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イギリスのオックスフォード大学の屋根の上に設けられた一画に不思議な光景を見ることが気出ます。その一角というのは温室に改築した室内で、十数匹のジョロウグモが巣を張っているというのです。世話をするのは「フリッツ・ボールラス」教授で40年以上にわたり「クモ」と付き合っており、その力に深い造詣を持つというのです。

なんと「クモ」の紡ぐ糸というのは、同じ重量で比較した場合には鉄を上回る強度がある一方、極めて柔軟なのです。しかも糸の生成にはそれほどエネルギーを必要としません。多くの「クモ」は、その糸を食べて再利用し、毎日のように新しい網を生み出しているというから驚きです。

「フリッツ・ボールラス」教授は、こうした「クモ」の力を人体に活用したい考えです。現在は「クモ糸」からインプラントを作製する研究に取り組んでおり、再生医療のあり方を一変させる可能性も秘めているということです。

「フリッツ・ボールラス」教授は、オックスフォード大学の学生だった1960年代に、当初は伝書バトの飛行パターンを研究していました。しかし大学の研究で取り上げられることの少なかった「クモ」に興味が移ったというのです。「駆け出しの頃は複雑なシステムに魅了された」とコメントしています。

幾何学的で複雑な構造を持つ「クモ」の網に引かれ、その仕組みを解明したくなったというのです。

「クモ」について最初の論文を発表したのは1976年のことです。これに続けて、「クモ」の巣の特徴や機能を解明する画期的な研究を次々に発表しました。世界各地でフィールド調査を行い、希少な「クモ」を追い求めて中米パナマや太平洋のパプアニューギニアにも長期滞在しています。

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「フリッツ・ボールラス」教授の発見を受けて、さまざまな共同調査の依頼が舞い込んだようです。「クモ」の網の構造に基づいた建物を建築家と一緒に設計したほか、アメリカ軍の依頼で「LSD」などの麻薬が「クモ」の巣の生成に与える影響を調査したこともあるようです。「クモ」は非常に神経質なため、カフェインが最も悪い影響を及ぼしたということです。上記の写真は「LSD」の研究資料です。

実は「クモ」の網は、「出血」と「感染を防ぐ効果」があるとされ、古代ギリシャ以来、「傷口に塗り込む形で治療」に用いられてきました。イギリスのオックスフォード大学の「フリッツ・ボールラス」教授は、傷口を覆う「創傷被覆材(ドレッシング材)」を「クモ」の糸から作って動物実験を実施しました。そして、「クモ」の糸がホスト組織と支障なく融合することを発見しました。

「フリッツ・ボールラス」教授は、「クモ糸は生物適合性に優れているため、傷口が拒絶反応を起こすことはない」と指摘しています。「クモ」の網から採取したばかりの未洗浄の糸でも傷口を閉じる効果が期待でき、後で取り除く必要もないということです。

続いて「クモ」の糸そのものの分析を行ったところ、内部に特殊なたんぱく質構造があり、圧力や変形に対する耐性を備えていることが判明し、これが「クモ」の糸に特有の強度や柔軟性につながっていることを特定することができました。

ジョロウグモは用途の異なる7種類の糸を紡いでいることも明らかになったということです。中でも「クモ」が垂れ下がるのに使う引き糸が最も強靱(きょうじん)なことが分かり、新型の生体インプラントのモデルとして使われるようになっているということです。

しかし、「クモ」の糸を大量生産することは不可能です。糸は麻酔を施したクモから1本1本採取するしかなく、共食いする性質があるため集団飼育もできないということです。

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それで「フリッツ・ボールラス」教授は、代わりに「蚕」の力を借りることにしました。「蚕」は、大量飼育により年間15万トンの生糸を紡ぐことができ、5000年以上にわたり高級織物の材料に使われてきたものです。

ただ、「蚕」の生み出す生糸は、「クモ」の糸のような強度を持っていないうえに有毒な粘着物質が含まれており、外科手術には不向きということです。

それでも「フリッツ・ボールラス」教授は、これを手がかりに、「クモ」の糸と似たたんぱく質構造を持つ生糸を生み出す野生種の「蚕」の存在を突き止めることに成功しました。この「蚕」の遺伝子解析を行い、「クモ」の引き糸の構造と比較し、有毒物質を取り除いたうえで、強靱(きょうじん)できれいな物質として再構成し「スパイドレックス」と名付けました。

「クモ」の糸などを活用する試みは商業的にも注目され、医療品開発のための会社も設立できるようになりました。「スパイドレックス」の活用方法を試行錯誤した末、最終的に狙いを定めたのが「膝の置換手術」ということです。「膝の置換手術」は、アメリカだけで年60万件が行われており、今後も増加が予想されています。

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プラスチックなどを埋め込む方法もあるが、最終的にはインプラントを除去する必要があり重大な合併症を伴う恐れがあったようです。そこでイギリスのオックスフォード大学の「フリッツ・ボールラス」教授の研究チームは2社目のスピンオフ企業を設立しました。「膝軟骨」の代わりとなる柔軟な物質の開発を進めているということです。このインプラントを足場として細胞が成長し、「骨組織」が再生していく仕組みです。現在は、インプラントの臨床試験を行っている段階ということです。「フリッツ・ボールラス」教授は、ここまでの進展に満足しており、2018年までに実用化に結びつける見通しを描いているようです。神経の修復に関しても別会社を通じて同様の構想が進んでいるようです。研究チームはこれを中枢神経系に応用して、深刻な脊椎(せきつい)損傷によって引き起こされるまひの治療に役立てたい考えを持っているようです。

「クモ」の糸に基づく再生医療には新たな可能性が広がっており、毎日のように新研究が発表されています。「クモ」の「DNA」を「ヤギ」に埋めこんだり酵母から糸を生成するといった試みのほか、縫合糸や移植片などへの活用も進んでいるようです。「フリッツ・ボールラス」教授の研究チームは現在、自転車のヘルメットや航空機の機材などのテーマに取り組んでいるようです。効率性の高い「クモ」の糸紡ぎの方法を高度な製造業に生かすための研究も進行中です。「フリッツ・ボールラス」教授は「クモが何百万年も前から生息してきた。研究は始まったばかりだ。」とコメントしています。

今後の研究発表に期待が高まっています。

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名前:シマシマ 
出身:福岡(1979年生)

博多の豚骨ラーメンと博多明太子で育ち、自然界に興味を持ち、島の生活に憧れ、国境の島「対馬」に移動。現在、「自営」を行なっており、家族で島の美しい海や山、面白い動植物に囲まれ、島のライフスタイルを楽しんでいます。車やバイクも好きなので趣味で遊んでいます。島のライフスタイルや気になる情報などをご紹介しています。