【フェアレディZ・S30/S31】悪魔のZのベースは初代モデル

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【フェアレディZ・S30/S31】悪魔のZのベースは初代モデル

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「S30型/S31型:フェアレディZ」:開発コンセプト

世界的な日本の国産名車として知られる「ダットサン(日産):フェアレディZ」は、1969年に先代モデルとなるオープンボディの「ダットサン:フェアレディ(SR311/SP310)」の後継モデルとしてデビューしました。デビューに至るまでの開発は、1960年代当時、アメリカ日産の社長であった「片山豊」氏でした。「ダットサン・フェアレディ(SR311)」でモータースポーツでは成功を収めていたものの、市場では年々厳しくなる北米の安全基準に適合できなくなると考え開発がスタートしました。自身はインタビューで「ジャガー・Eタイプのような車を造ってくれ」と要望を出したと述べており、初代モデル「フェアレディZ」のエクステリアデザインは優雅で美しいボディシルエットが描かれました。さらに「フェアレディZ」のシャシーポテンシャルは高度なもので、軽量なモノコックボディに、前後輪ともストラット式サスペンションによる四輪独立懸架を備え、市場で先行する「ジャガー・Eタイプ」や「ポルシェ・911」などと競えるほどに仕上げられました。


「エクステリアデザイン」:ロングノーズ・ショートデッキ

「ジャガー」のようなシルエットを目指したエクステリアデザインは、丸目2灯のフロントから伸びやかな曲線を描きながらリアへと伸びるボディシルエット、フロントのグリルやボンネットはスポーティモデルらしく、ボディサイドは低く構えて見えるようなデザインとなっています。

  • (出典:www.teavalley.jp)

リアのコンビネーションランプもシンプルながら無駄のない機能美となっています。テールエンドの縦2本だしのマフラー(縦ディアル)がスポーティモデルの証です。

  • (出典:www.teavalley.jp)

「インテリアデザイン」:スパルタンな仕様

  • (出典:bingosports.co.jp)

「S30型系」はスポーティモデルゆえにインテリアデザインはスパルタンな仕様です。ダッシュパネルもドライバーをその気にさせる5眼メーターに直立のシフトノブと硬派な印象です。

  • (出典:bingosports.co.jp)

「L型&S20型」:名機を搭載

「フェアレディZ」に搭載されたL型直列6気筒エンジンは、SOHC動弁機構を備えた2000ccクラスの最新式ではあったものの、素性は鋳鉄シリンダーブロックにターンフロー燃焼室を組み合わせた手堅い実用型エンジンでした。またアメリカ仕様は2.400ccへの排気量拡大でトルクを太らせたL24型エンジン採用でパワー対策していました。

  • (出典:bingosports.co.jp)

名機:L型エンジンは耐久性、低速域からのトルクに富み、大排気量アメリカ車同様に実用域で扱いやすいエンジンでした。「ジャガー」や「ポルシェ」の高性能であるものの複雑なパワーユニットに対して、シンプルな設計のおかげで手荒な取り扱いにも耐え、信頼性が高く整備も容易ということもあり、アメリカ市場でのユーザーニーズに合致したユニットでした。こうした特性ゆえに多くのチューニングベースとされ、多くの名チューナーを育て上げました。この面では、実用車向け量産エンジンをチューニングして搭載していたかつてのイギリス製スポーツカーの良き伝統を受け継いでおり、「フェアレディZ」に実用型スポーツカーとしての優れた特性を与えることになりました。

  • (出典:bingosports.co.jp)

またレーシングマシン直系のパワーユニットとなるエンジン、S20型搭載のDOHCモデル(PS30型)は「フェアレディZ432」として登場しました。


「当時の新車販売価格・現在の中古価格」

日本国内における当時の新車販売価格が廉価版の「Z」が84万円、「Z-L」が105万円とスポーツカーとしては比較的安価であったことで爆発的にヒットした。「432」は182万円、後に追加された「240ZG」は150万円。ヨーロッパ製の高級GTに匹敵するスペックと魅力あるスタイルを兼ね備えながら、格段に廉価であったことで、北米市場を中心に大ヒットしました。

日産(DATSUN)のイメージリーダーカーとして、足掛け10年もの長期に渡って生産され、世界総販売台数55万台(うち日本国内販売8万台)という、当時のスポーツカーとしては空前の記録を樹立しています。「ダッツン・ズィー」の愛称で親しまれ、日産自動車の輸出モデルの総称でもある「DATSUN」の名を世界に知らしめ、日産の海外進出の活路を拓いた日産の記念碑的車両となりました。現在でも日本国内はもとより世界的にクラシックカーとしての人気や知名度は高く、現在の中古価格相場は下記の通りです。

フェアレディZ(S30型/S31型):250万円~ASK(1,000万円オーバー)


「S30型/S31型(1969年-1978年)」:モデルヒストリー

  • 1969年:日本国内ではSUツインキャブレターを装備したSOHCのL20型と、当時の旧プリンス系で開発されスカイライン2000GT-Rに搭載されていたソレックスツインチョークキャブレターを3基装備したDOHCのS20型の2種類の直6 2.0 Lエンジンが設定されてデビューしました。L型搭載のSOHCモデル(S30型)にはベースモデルで4速MT搭載の「フェアレディZ」と、5速MTを搭載し、AMラジオ付きカーステレオ、助手席フットレスト、リクライニングシートなどの装備を充実させた「フェアレディZ-L」、S20型搭載のDOHCモデル(PS30型)は「フェアレディZ432」として登場しました。ちなみに「432」とは、「4バルブ・3キャブレター・2カムシャフト」を意味しており、搭載されるS20型エンジンの構造に由来したモデル名でした。さらに特別モデルとして、競技用ベース車両として、ヒーターすらオプションとなり、キャブレータにエアクリーナーはなくファンネルのみが付き、FRP製エンジンフード、アクリル製ウィンドウを採用するなどの軽量化が施された「フェアレディZ432-R」も存在しました。これには「運輸省(当時)に対し登録してナンバーを取得しないことを条件に型式認可をもらった」「購入者は競技のみに使用する旨の念書が取られた」などという(真偽不明の)逸話もあるほどで生産台数は30数台といわれており超希少なモデルとなっています。そして同年、輸出仕様としてアメリカとイギリスでは2.4LのL24型エンジンを搭載した「ダットサン240Z」(HLS30 / HS30型)を発売しています。
  • 1970年:フェアレディZ-L」に3速AT(ニッサンフルオートマチック)車を追加し、それまでハイオクガソリン仕様のみでしたが、レギュラーガソリン仕様車も全グレードに追加発売されました。L20型は、ハイオクガソリン仕様130ps、レギュラーガソリン仕様125ps。S20型はハイオクガソリン仕様160ps、レギュラーガソリン仕様155psというスペックとなりました。
  • 1971年:ベースモデルの「フェアレディZ」にも3速AT車を追加するとともにマイナーチェンジが施されています。それまで輸出専用であったL24型エンジンを搭載した「フェアレディ240Z」「フェアレディ240Z-L」「フェアレディ240Z-G」を日本国内でも追加発売しています。240Z-Gには「グランドノーズ」(後年の通称“Gノーズ”:ただしカタログでは“エアロダイナ・ノーズ”)と呼ばれるFRP製のフロントバンパー一体型のエアロパーツとオーバーフェンダーが装着されました。
  • 1973年:2.000ccモデルの「Zシリーズ」をマイナーチェンジし昭和48年排出ガス規制適合、ダッシュボードの意匠変更とテールランプとリアガーニッシュの変更が施され、バックランプがガーニッシュ内に配置されました。そして、この年に残念ながら公害問題やガソリン高騰などにより、「フェアレディ・Z432」シリーズと日本国内の「フェアレディ・240Z」シリーズの2モデルの生産を中止しています。
  • 1974年:全長を310mm延長した、4人乗りモデル(GS30、1月17日発表・発売)である2by2(ツー・バイ・ツー)が登場しています。輸出モデルは従前の2.400ccから2.600ccのL26型エンジンの変更で排気量アップした「ダットサン260Z(RLS30型)」が登場しています。「260Z」は一部を国内基準に適合させ、当時右側通行だった沖縄で販売されていました。日本国内でもL26型エンジンを搭載した「フェアレディ260Z」の発売を予定していたが、オイルショックなどの影響で発売されることはありませんでした。
  • 1975年:型式が「A-S30・A-GS30」となりました。これは昭和50年排出ガス規制の施行に伴い、SUツインキャブからL20E型(ドイツ・ボッシュ開発のL-ジェトロニック式電子制御燃料噴射装置・ニッサンEGI)に変更、同時に排気系に触媒を有する、排気ガス浄化システム「NAPS(ニッサン・アンチ・ポリューションシステム)」を装着したことが関係しています。そして輸出モデルは従前の2.600ccから2.800ccのL28E型エンジンの変更で排気量アップした「ダットサン280Z(HLS30)」へとチェンジされています。また北米モデルは5マイルバンパーと呼ばれるショックアブソーバ付きの大型バンパーが装着されています。
  • 1976年:「フェアレディZ-T」が追加されています。このモデルは「フェアレディ・Z-L」をベースにFM/AMマルチカセットステレオ、電動式リモコンフェンダーミラー、パワーウインドウなどを追加装備した上級グレードでアルミホイールをオプション設定しています。昭和51年度排出ガス規制の施行に伴い、「排気ガス還流装置 (EGR) 」などを追加装備。そして、型式が「A-S30・A-GS30」から「C-S31・C-GS31」と変更されています。
  • 1978年:「S30型/S31型」の登場から10年のモデルライフも「S130型」へのフルモデルチェンジにより生産終了となりました。

「ダットサン(日産):フェアレディZ(S30)」:スペック

  • 年式:1972年モデル
  • 型式:HS30H型
  • 全長 × 全幅 × 全高:4,305mm × 1,690mm × 1,285mm
  • ホイールベース:2,305mm
  • トレッド(F/R):1,355mm / 1,345mm
  • 車両重量:1,010kg
  • エンジン型式:L24(240Z/240ZG) / L20(Z/Z-L) / S20(Z432)
  • エンジン形式:直列6気筒 SOHC SUツインキャブ / 直列6気筒 DOHC ソレックス製3連キャブ(Z432)
  • 排気量:2,393cc(L24)/ 1,998cc(L20) / 1,989cc(S20)
  • ボア×ストローク:87.0mm×73.7mm(L24)/ 78.0mm×69.7mm(L20)/ 82.0mm×62.8mm(S20)
  • 圧縮比:8.8(L24)/ 9.5(L20/S20)
  • 最高出力:150PS / 5,600rpm (L24)130PS / 6.000rpm(L20) / 160PS / 7,000rpm(S20)
  • 最大トルク:21.0kgm / 4,800rpm(L24)17.5kgm / 4.400rpm(L20) / 18.0kgm / 5.600rpm(S20)
  • 駆動方式:FR
  • トランスミッション:5MT
  • サスペンション(F/R):マクファーソンストラット / マクファーソンストラット
  • ブレーキ(F/R):ディスク / LTドラム
  • タイヤ(F/R):175HR14
  • 最高速度:210km/h
  • 0-400km/h加速:15.8秒
  • 0-100km/h加速:8.5秒

「S30型系の再販モデル」

  • (出典:www.geibunsha.co.jp)

ボディタイプは各種検討されており、スケッチで終わったモデルには4人乗りスポーツワゴンなどもあり、1966年に描いたスケッチをもとに、アメリカ在住で自動車レストア専門家の「安宅二弥」氏によって1台だけ再現され、2014年8月サンディエゴの日産主催の「Zコンベンション」において公開されています。

  • (出典:carview.yahoo.co.jp)

1996年に北アメリカでの「フェアレディ・300ZX(Z32型系)」の販売が中止になった後、ファンからの要望で北米日産が新品・中古パーツを集めてレストアして「ダットサン・240Z」を限定販売する企画が立ち上がり、「ビンテージZ」と名付けられて販売されたこともありました。しかし、レストアには予想以上の費用と時間がかかり採算が合わない上、応募者が殺到したため、当初200台の予定が39台にとどまりその後、中止となっています。また「ビンテージZ」には、受注ベースの車両もあったことと、全て地元の板金工場やショップが仕上げた為、個々の車体の仕上がりや仕様には様々なものがあるようです。しかし、メーカーが総力をあげて車をレストア販売するという異例の企画は当時画期的なものでした。ちなみに画像の「ビンテージZ」は、「東京オートサロン2018」で開催された「東京オートサロン・オークション with BH Auction」に出品された個体で、オレンジのボディカラーの「1996 Datsun 240Z (HLS30)」の落札価格は、1,200万円でした。もう一台のシルバーのボディカラーの「1996 Datsun 240Z (HLS30)」の落札価格は、900万円ということでした。


型式の詳細」

  • H(搭載エンジン):L20(無記号)・S20(P)・L24(H)・L26(R)・L28(H)
  • L(ハンドル位置):右仕様(無記号)・左仕様(L)
  • G(ホイールベース):標準定員2名(無記号)・ロング定員4名(G)
  • S30(基本型式):昭和50年排ガス規制前(S30)・昭和51年排ガス規制後(S31)
  • 型式の頭に、昭和50年排出ガス規制適合車は「A-」、昭和51年排出ガス規制適合車は「C-」がそれぞれ付与される(日本国内販売車のみ)。
  • HLS30(左ハンドル・2名乗り)の場合、同一型式でL24型エンジン搭載車と後年発売されたL28型エンジン搭載車の2種類のエンジン搭載車が存在するため、型式だけではどちらなのか判断できないが、型式に続く車台番号が前者は5桁、後者は6桁であるため車台番号まで全て分かれば判別が可能である。HLGS30のL24型エンジン搭載車は存在しません。

「カスタム」:幅広く深いチューニングベース

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S30型S31型のフェアレディZシリーズはノーマルの個体は少なくなっており、カスタマイズした個体が多いことが特徴です。ソレックスキャブレターやウェーバー製キャブレター、タコ足(等長EXマニホールド)、ストレートマフラーが定番です。エンジンはL26やL28に載せ替え排気量アップやLY型などの希少なエンジンヘッドを組み込んでいる個体も。

  • (出典:tasug.jp)

最近ではRB型などに載せ替えたりも多くなっています。主にNA仕様が多いですが、漫画「湾岸ミッドナイト」の悪魔のZのようにターボチューンを施しているカスタムマシンやゼロヨン仕様でV8などの載せ替えも。幅広く深くカスタマイズした個体が多いのが「S30Z/S31Z」の特徴かもしれません。

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管理人:CIMASHIMA

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幼い頃に近所にあったDR30スカイラインのスーパーシルエット仕様に衝撃を受けて、車の魅力に取りつかれる。その後、行きつけの駄菓子屋のオバちゃんが910ブルーバードnismoバージョンを購入し車好きが加速。そして、憧れだったDR30を免許取得後に購入し、イジって乗り回すもエンジンブローで最期を迎えてしまう。今となっては思い出となるも旧車やカスタムマシンなど、今も気になるマシンは数知れず。そんな世界の名車やカスタムマシンたちの情報をお届けするブログです。

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